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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのポスター

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

Avengers: Infinity War / 2018年

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はMCU公開順第19作、フェーズ3終盤に位置する超大作であり、 10年間のMCUで積み上げられてきたヒーロー、国家、宇宙勢力、そして6つのインフィニティ・ストーンが一つの戦争へ集約され、サノスがついに自ら宇宙の半分の生命を消す計画を実行する物語 です。

それまでの『アベンジャーズ』シリーズでは、ヒーローたちが最終的に一つの場所へ集まり、チームとして敵を倒すことが大きなカタルシスになっていました。しかし本作では事情がまったく違います。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の内戦によってアベンジャーズは分裂したままで、トニー・スタークとスティーブ・ロジャースは最後まで一度も顔を合わせません。さらに戦場はニューヨーク、宇宙、ノーウェア、ニダベリア、ヴォーミア、タイタン、ワカンダへと分散し、各チームが別々の方法で同じ敵へ対抗します。

本作で中心となるのは、これまでポストクレジットや他作品の背後で存在を示してきた サノス です。彼は単純に宇宙を支配したいのではなく、資源には限界があり生命が増え続ければ文明はいずれ滅びるという信念から、全生命の半分を無作為に消すことを「救済」だと考えています。そのために6つのインフィニティ・ストーンを集め、インフィニティ・ガントレットによって宇宙規模の虐殺を一瞬で実行しようとします。

本作では、

  • サノス
  • ブラック・オーダー/サノスの子ら
  • 6つのインフィニティ・ストーン
  • インフィニティ・ガントレット
  • ストームブレイカー
  • ニダベリア
  • ヴォーミア
  • レッド・スカルの再登場
  • ワカンダでの総力戦
  • タイタンでの対サノス戦
  • トニーとピーターの師弟関係
  • ワンダとヴィジョンの愛
  • ガモーラとサノスの歪んだ親子関係
  • ソーが抱える喪失と復讐
  • ブルース・バナーとハルクの新たな対立
  • そして「指パッチン」によるデシメーション

など、インフィニティ・サーガの核心となる要素が一気に描かれます。

また本作は、一般的なヒーロー映画のように「主人公たちが最後に勝利する」物語ではありません。ヒーローたちは何度もサノスを止める寸前まで迫りながら、それぞれの愛、怒り、迷い、判断が少しずつ噛み合わず、最後には敗北します。

『インフィニティ・ウォー』はアベンジャーズがサノスを倒す物語ではなく、サノスが自らの信念を貫き、すべてを犠牲にして“勝利する”までを描いた物語です。


物語開始前のインフィニティ・ストーンの状況

『インフィニティ・ウォー』では、これまで別々の作品に登場してきたインフィニティ・ストーンを サノスが一つずつ回収していくこと が物語の中心になります。

そのため本編へ入る前に、「映画開始時点で6つのストーンがどこにあり、誰が持っているのか」を整理しておくと、サノスが次にどこへ向かうのか、なぜ各ヒーローが狙われるのかが非常に分かりやすくなります。

ストーン 本作開始時点の状態・所在 所持者/守護者
パワー・ストーン ザンダーからすでに奪われ、インフィニティ・ガントレットに装着済み サノス
スペース・ストーン テッセラクトの内部。アスガルド難民船ステイツマンにある ロキ
リアリティ・ストーン エーテルとしてノーウェアに保管されている コレクター
ソウル・ストーン 過去作では未登場。所在も公には不明 取得者なし
タイム・ストーン アガモットの目の内部にある ドクター・ストレンジ
マインド・ストーン ヴィジョンの額に組み込まれている ヴィジョン

この時点で特に重要なのは、 サノスが映画開始前の段階ですでにパワー・ストーンを入手している ことです。

つまり本作は「サノスが最初のストーンを探し始める物語」ではありません。ヒーローたちが本格的に危機を認識するより先に、サノスはすでに行動を開始しており、残る5つを回収する段階へ入っています。


パワー・ストーン――ザンダーからサノスへ

紫色の パワー・ストーン は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場した オーブ の内部に収められていたストーンです。

ピーター・クイルが惑星モラグでオーブを入手し、その後ガモーラ、ロケット、グルート、ドラックスと行動を共にする中で、その正体がインフィニティ・ストーンだと判明します。最終的にはロナンがパワー・ストーンを利用してザンダーを滅ぼそうとしますが、ガーディアンズによって倒されました。

戦いの後、ガーディアンズはストーンを自分たちで保管せず、惑星 ザンダーのノバ軍 へ預けます。

しかし『インフィニティ・ウォー』開始前、サノスはザンダーを襲撃してパワー・ストーンを強奪しています。この襲撃自体は映画では直接描かれず、本編冒頭ですでにサノスのガントレットへ紫色の石が装着されていることで結果が示されます。

したがって、 本作開始時点で唯一すでにサノスが所有しているストーン です。


スペース・ストーン――テッセラクトを持つロキ

青色の スペース・ストーン は、長く テッセラクト という立方体の内部に収められていました。

第二次世界大戦ではレッド・スカルとヒドラがテッセラクトを兵器へ利用し、戦後はハワード・スタークが海底から回収。その後S.H.I.E.L.D.の研究対象となり、『アベンジャーズ』ではロキが地球侵攻のために奪います。

ニューヨーク決戦後、ソーはロキとともにテッセラクトをアスガルドへ持ち帰り、長く宝物庫で保管されていました。

しかし『マイティ・ソー バトルロイヤル』終盤、ロキはスルトを復活させるため宝物庫へ向かった際、テッセラクトを見つけて密かに持ち出しています。

そのため本作開始時点では、アスガルドの生存者が乗る宇宙船 ステイツマン にテッセラクトがあり、実質的な所持者はロキです。

サノスがアスガルド難民船を襲撃した最大の目的の一つが、このスペース・ストーンの回収でした。


リアリティ・ストーン――コレクターに預けられたエーテル

赤色の リアリティ・ストーン は、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』に登場した液体状の物質 エーテル の正体です。

約5,000年前、ダーク・エルフの王マレキスがエーテルを使って宇宙を闇へ戻そうとしましたが、アスガルドによって阻止され、その後長期間封印されていました。

現代ではジェーン・フォスターが偶然エーテルを体内へ取り込み、復活したマレキスとの戦いへ発展します。最終的にマレキスは倒され、エーテルは再びアスガルド側へ回収されます。

しかし当時アスガルドにはすでにテッセラクトがあり、 二つのインフィニティ・ストーンを同じ場所へ置くのは危険 だと判断されました。

そこでシフとヴォルスタッグが、宇宙の収集家 タニリーア・ティヴァン/コレクター へエーテルを預けます。

そのため本作開始時点では、リアリティ・ストーンは ノーウェアのコレクターの保管庫 にあると考えられています。


ソウル・ストーン――ここまでのMCUでは未登場

オレンジ色の ソウル・ストーン だけは、『インフィニティ・ウォー』以前のMCU作品には一度も登場していません。

テッセラクト、エーテル、オーブ、ロキのセプター、アガモットの目のような別名や容器も示されておらず、観客にとっても「6つあるインフィニティ・ストーンのうち、まだ所在が分からない最後の一つ」という状態でした。

本作開始時点でもサノスは正確な場所を把握しておらず、ストーンを手に入れた人物もいません。

実際には 惑星ヴォーミア に存在しており、テッセラクトに触れて飛ばされたレッド・スカルが、ストーンを求める者を導く番人のような存在になっています。ただしレッド・スカル自身が所有しているわけではありません。

さらにガモーラは本作開始以前の調査でソウル・ストーンの場所を突き止めていましたが、その情報がサノスへ渡れば何が起きるか理解していたため、発見した事実そのものを隠しています。

したがって物語開始時点では、 「実際の所在地はヴォーミアだが、サノスには所在不明。ガモーラだけが秘密を知っている」 という特殊な状態です。


タイム・ストーン――ドクター・ストレンジが守るアガモットの目

緑色の タイム・ストーン は、魔術師たちが守ってきた神器 アガモットの目 の内部にあります。

『ドクター・ストレンジ』では、スティーヴン・ストレンジがカマー・タージで魔術を学ぶ中、この神器に時間を操作する力があることを知ります。

ストレンジはタイム・ストーンを使って時間を逆転させ、さらにダーク・ディメンションではドルマムゥとの戦いを無限に繰り返すことで地球侵略を断念させました。

その経験を経て、ストレンジは地球を神秘的脅威から守る魔術師となり、本作開始時点ではニューヨークの サンクタム・サンクトラム を拠点としています。

アガモットの目を身につけているため、実質的な守護者・所持者は ドクター・ストレンジ です。

このため、サノス側から見ればタイム・ストーンを手に入れるには、ストレンジ本人を突破しなければなりません。


マインド・ストーン――ヴィジョンの生命と一体化した石

黄色の マインド・ストーン は、最初は『アベンジャーズ』でロキが使用した セプター の内部に隠されていました。

ロキはセプターを使ってホークアイやセルヴィグを洗脳し、ニューヨーク侵攻を進めます。ロキの敗北後、セプターは地球側へ残され、その後S.H.I.E.L.D.内部へ潜伏していたヒドラの手を経て、ソコヴィアのストラッカー基地で人体実験へ利用されました。

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ではアベンジャーズがセプターを奪還しますが、トニーとブルースが内部の知性を解析したことからウルトロン誕生へつながります。

その後ウルトロンは、ヴィブラニウムと人工細胞を使って新たな肉体を作り、セプターの宝石を額へ組み込みます。その身体へJ.A.R.V.I.S.などの要素が加わって誕生したのが ヴィジョン です。

つまり本作開始時点でマインド・ストーンは単なる保管物ではなく、 ヴィジョンの額に埋め込まれ、彼の生命活動と深く結びついている状態 です。

他のストーンのように「保管場所から持ち出せばいい」ものではなく、奪うことがそのままヴィジョンの命に関わるため、後のワカンダ戦の中心問題になります。


このように映画開始時点では、6つのストーンは サノス、ロキ、コレクター、ストレンジ、ヴィジョン、そして誰にも所有されていないヴォーミア へ分散しています。

ここからサノスは、パワー・ストーンを起点に残る5つを極めて短期間で回収していきます。

『インフィニティ・ウォー』の物語は、10年間のMCUで別々に守られてきたこれらの力が、初めて一人の手へ集まり始めるところから本格的に動き出します。


詳しいあらすじ

1. サノスの襲撃――『バトルロイヤル』直後のアスガルド難民船

物語は『マイティ・ソー バトルロイヤル』のラストからほぼ直接続きます。

アスガルドを失ったソーたちは、生き残った民を巨大宇宙船 ステイツマン へ乗せ、地球を新たな故郷にしようとしていました。しかしその航路を、巨大な宇宙船が塞ぎます。

それこそが サノス の船です。

本作開始時点ですでに戦闘はほぼ終わっており、ステイツマンの内部にはアスガルド人の遺体が散乱しています。ソーは拘束され、ロキ、ヘイムダル、ハルクも追い詰められています。

そしてサノスの左手には、すでに パワー・ストーン が装着されたインフィニティ・ガントレットがあります。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でノバ軍へ預けられたストーンは、本作開始前にサノスがザンダーを襲撃して奪っていました。

つまりヒーローたちがサノスの計画を知る頃には、彼はすでに最初のストーンを手に入れ、宇宙規模の侵攻を始めています。


2. サノスが語る「慈悲」

ステイツマンでサノスは、生き残ったアスガルド人たちへ自分の思想を語ります。

彼の目的は金や王位ではありません。

サノスは、宇宙の生命が増え続ける一方で資源には限界があり、そのままでは飢餓と文明崩壊が起きると考えています。そして自分の故郷 タイタン でも同じ危機を予測し、人口の半分を無作為に減らす案を出したものの狂人扱いされ、結果としてタイタンは滅びたと信じています。

その経験からサノスは、宇宙全体でも同じことが起きる前に、生命の半分を消さなければならないと確信します。

重要なのは、本人がこれを虐殺ではなく 「公平な救済」 だと思っていることです。貧者も富豪も、王も子どもも区別せず半分を消せば、残された半分には十分な資源が行き渡る。彼は自分を破壊者ではなく、誰も実行できない残酷な決断を引き受ける救世主だと考えています。

この歪んだ確信が、本作を通して一度も揺らぎません。


3. ハルク対サノス――力だけでは勝てない敵

ロキはサノスへ従うふりをしながら、突然ハルクを呼び出します。

『バトルロイヤル』で長期間ハルクの姿を維持していたブルースは、地球最強クラスの怪力を持つ存在です。ハルクは不意打ちでサノスへ飛びかかり、最初は連続攻撃で押し込みます。

しかしサノスはパワー・ストーンを使うまでもなく、純粋な格闘技術と身体能力だけでハルクを圧倒します。

単純な力任せではなく、相手の攻撃を受け流し、急所を狙い、短時間で完全に戦意を失わせる。これまで圧倒的な「最後の切り札」だったハルクが、正面から敗北する衝撃的な場面です。

本作は冒頭で、サノスが「アベンジャーズが今まで戦った敵とは格が違う」と明確に示します。

そしてこの敗北はブルースとハルクの関係にも大きな影響を残します。以降、ブルースが変身しようとしてもハルクは拒否し、二人の間にこれまでとは逆方向の対立が生まれます。


4. ヘイムダル最後のビフレスト

重傷を負った ヘイムダル は、最後の力を使って暗黒魔法によるビフレストを発動します。

送り出す相手はソーではなくハルクです。

ヘイムダルは、誰か一人でも地球へ警告を届けなければならないと判断し、ハルクをニューヨークへ転送します。

サノスはその行動を見逃さず、ヘイムダルを殺害します。

アスガルドで長く門番を務め、九つの世界を見守ってきたヘイムダルはここで死亡します。しかし最後の行動によって地球はサノスの襲来を知ることができました。

『バトルロイヤル』でアスガルドの民を救うため最後まで戦った人物が、本作でも自分ではなく他人を逃がすために命を使います。

ソーは目の前で親友を失います。すでに父オーディン、母フリッガ、故郷アスガルドを失っている彼に、本作は開始数分でさらに大きな喪失を与えます。


5. ロキの最期――「オーディンの息子」

サノスはロキが持っていた テッセラクト を要求します。

『バトルロイヤル』でアスガルドの宝物庫から密かに持ち出していたため、テッセラクトはステイツマンにありました。ロキは一度は拒否しますが、サノスがソーを殺そうとすると差し出します。

サノスはテッセラクトを砕き、内部の スペース・ストーン をガントレットへ装着。これで2つ目のストーンを手に入れます。

ロキはその後、サノスに協力するような言葉を口にしながら短剣を隠し持ち、最後の暗殺を試みます。しかしサノスには完全に見抜かれ、首を絞められます。

死の直前、ロキは自分を 「オーディンの息子」 と名乗ります。

『マイティ・ソー』以来、自分がヨトゥンヘイムの血を引くことに苦しみ、家族や王位への複雑な感情を抱えてきたロキが、最後には自らアスガルドの家族を選んだ瞬間です。

サノスはロキを殺し、「今回は復活しない」と告げます。何度も死を偽装してきたロキですが、この死は本物です。


6. ステイツマン崩壊――ソーだけが宇宙に残される

サノスと ブラック・オーダー はスペース・ストーンで船から去り、その直後ステイツマンは爆発します。

ソーは宇宙空間へ投げ出され、無数の残骸の中を漂います。

アスガルドは『バトルロイヤル』で国土を失いましたが、「アスガルドは場所ではなく民だ」という希望は残されていました。本作はその生き残りさえサノスに襲わせ、ソーからさらに多くを奪います。

ただしアスガルド人全員が死亡したわけではなく、一部はサノス襲撃前後に別の船で逃れていたことが後に分かります。それでもソーの目から見れば、家族と民を再び守れなかったという事実だけが残りました。

本作のソーを動かすのは王としての使命より、 サノスへの復讐と「次こそ止める」という執念 です。


7. ハルク、サンクタム・サンクトラムへ墜落

ヘイムダルに送られたハルクは、ニューヨークの サンクタム・サンクトラム へ隕石のように墜落します。

そこで人間の姿へ戻ったブルース・バナーを見つけたのが、 スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジウォン です。

ブルースは混乱しながらも、地球へ迫っている存在の名を告げます。

「サノスが来る」

『ドクター・ストレンジ』まで魔術側で進んでいた物語と、『アベンジャーズ』のヒーローたち、そして『ガーディアンズ』側の宇宙の脅威が、この瞬間に一本へ接続します。

ストレンジは魔術師として地球を神秘的脅威から守る立場にあり、彼が身につけている アガモットの目 にはタイム・ストーンが収められています。

サノスにとって地球は、残るストーンのうち2つが同時に存在する最重要地点でした。


8. トニーとペッパー――「普通の未来」の直前

一方の トニー・スターク は、ニューヨークで婚約者 ペッパー・ポッツ と歩いていました。

『シビル・ウォー』で一度距離ができた二人は関係を修復しており、トニーは子どもがいる夢を見たことを話します。自分たちに娘が生まれたら「モーガン」と名づけることまで考えています。

『アイアンマン』の頃には将来や家庭などほとんど考えなかったトニーが、ようやくペッパーとの穏やかな人生を現実のものとして想像し始めていました。

しかしそこへストレンジがポータルで現れ、ブルースが続きます。

ブルースとトニーの再会は『エイジ・オブ・ウルトロン』以来です。しかし喜ぶ時間はありません。

トニーが長年恐れてきた 「ニューヨーク決戦の向こう側にいた、本当の宇宙規模の敵」 がついに地球へ向かっているからです。


9. 6つのインフィニティ・ストーン

サンクタムでウォンは、トニーとブルースへインフィニティ・ストーンの歴史を説明します。

宇宙誕生以前に存在した6つの特異点が、ビッグバンによって6つの石へ変化したもの。それぞれが、

  • 空間――スペース・ストーン
  • 精神――マインド・ストーン
  • 現実――リアリティ・ストーン
  • 力――パワー・ストーン
  • 時間――タイム・ストーン
  • 魂――ソウル・ストーン

という宇宙の根本的な側面を支配します。

サノスはこれらをすべて集め、インフィニティ・ガントレットで同時に使用しようとしています。

地球には、ストレンジが守るタイム・ストーンと、 ヴィジョン の額にあるマインド・ストーンがあります。

ブルースはアベンジャーズを集めるべきだと言いますが、トニーはすぐに返答できません。

地球最大の危機が迫っているのに、アベンジャーズはまだ『シビル・ウォー』の分裂を引きずっているのです。


10. トニーがスティーブへ電話できない理由

ブルースはスティーブ・ロジャースへ連絡するよう促します。

トニーは『シビル・ウォー』の最後にスティーブから送られた古い携帯電話を今も持っています。スティーブは「必要なら連絡してくれ」と残していました。

しかしトニーは電話をかけられません。

ソコヴィア協定をめぐる対立、バッキーが両親を殺した事実、そしてそれをスティーブが知りながら黙っていたこと。二人の関係は、ただ意見が違うというだけではなく個人的な傷まで残したままです。

『アベンジャーズ』と『エイジ・オブ・ウルトロン』では何度対立しても最後は同じ戦場へ立ったトニーとスティーブですが、本作では ついに一度も再会しません

サノスの勝利を生む最大の背景の一つが、最強のヒーローチームが戦いの始まる前から分裂していたことです。


11. ブラック・オーダー、ニューヨークへ

その時、ニューヨーク上空に巨大なリング状の宇宙船が出現します。

降りてきたのはサノスの配下、 エボニー・マウカル・オブシディアン です。

ブラック・オーダーはサノスに仕える精鋭で、本人たちは彼を父のように崇拝しています。エボニー・マウは念動力で物体を自在に操り、サノスの思想を宗教的な言葉で広める知略型。カル・オブシディアンは巨大な肉体と武器で正面突破する戦士です。

彼らの狙いはストレンジのタイム・ストーン。

トニー、ストレンジ、ウォン、ブルースが迎撃しますが、ブルースはハルクへ変身しようとしても失敗します。

これまで「ブルースがハルクを抑える」ことに苦しんでいたのに、今度はブルースが必要としている時に ハルク側が出てこない という逆転が起きます。


12. アイアンマン・マーク50――トニーの技術の到達点

トニーは胸のリアクター型装置からナノ粒子を展開し、 アイアンマン・マーク50 を装着します。

スーツ全体がナノテクノロジーで構成され、身体の周囲へ瞬時に形成されるだけでなく、戦況に応じて盾、ブレード、ミサイル、推進器などをその場で作り変えられます。

洞窟で鉄板を組み上げたマーク1から始まったアイアンマン技術が、ほとんど思考と同時に形状を変えられる段階まで進化しています。

トニーがカル・オブシディアンと交戦する中、ウォンがポータルを開き、カルを雪山のような遠方へ飛ばすことに成功します。

一方ストレンジはエボニー・マウと戦いますが、魔術で作った構造物さえ念動力で崩され、徐々に追い詰められます。

技術、魔術、宇宙人が同じニューヨークの街で交戦する光景は、10年かけて広がったMCUの世界が完全に一つになったことを象徴します。


13. ピーター・パーカー、スクールバスから戦場へ

ニューヨークを移動中だったスクールバスで、 ピーター・パーカー/スパイダーマン のスパイダーセンスが危険を察知します。

巨大宇宙船を見たピーターは、親友ネッドに注意を引いてもらい、バスを抜け出して戦場へ向かいます。

『スパイダーマン:ホームカミング』の最後で、トニーはピーターを正式なアベンジャーズへ加入させようとしました。しかしピーター自身が「親愛なる隣人」でいる道を選び、一度は断っています。

それでも本当に危機が起きれば、誰かに呼ばれなくても飛び込むのがピーターです。

彼はエボニー・マウに捕らえられたストレンジを追い、高高度まで上昇する宇宙船へしがみつきます。しかし空気が薄くなり、意識を失いかけます。

トニーは遠隔操作で アイアン・スパイダー・スーツ を送り、ピーターの命を救います。


14. ストレンジを追って宇宙船へ

エボニー・マウは、タイム・ストーンを首から外せないと知るとストレンジ本人を宇宙船へ連れ去ります。

トニーは船を追跡して内部へ侵入。ピーターも地球へ戻るよう命じられますが、結局そのまま船へ乗り込みます。

地上ではウォンがサンクタムを守るため残り、ブルースはトニーたちと別れることになります。

ここで地球側のヒーローは完全に二分されます。

トニー、ピーター、ストレンジは宇宙へ。

ブルースは地球へ残り、後にスティーブたちと合流します。

『シビル・ウォー』で分裂したアベンジャーズが緊急事態でもすぐ集合できなかった結果、サノスへの対抗戦力は最初から別々の戦場へ分散します。


15. ガーディアンズがアスガルド船の救難信号を受信

宇宙では、 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー がステイツマンから発せられた救難信号を受信します。

ピーター・クイル、ガモーラ、ドラックス、ロケット、グルート、マンティスは現場へ向かい、無数の残骸の中から一人だけ宇宙船の窓へ衝突してくる男を発見します。

それがソーです。

ガーディアンズはソーを船内へ運び、マンティスが感情を読み取ります。

ソーが目覚めると、彼らは互いに初対面ながら一気にMCU宇宙側の物語が合流します。ドラックスはソーの肉体を「海賊と天使の子ども」のようだと評し、クイルはソーの存在に妙な対抗心を燃やします。

しかしソーが語る内容は深刻です。

サノスがストーンを集めており、すでにパワーとスペースの2つを持っている。次に狙う場所にも心当たりがありました。


16. サノスを知るガモーラ

ガモーラはサノスの計画を誰より理解しています。

彼女は幼い頃、自分の惑星へ侵攻したサノスによって家族と故郷を奪われました。サノスは住民を二列に分け、片方を虐殺します。そして一人になったガモーラを気に入り、養女として育てました。

ガモーラはサノスのもとで暗殺者として鍛えられましたが、その思想を受け入れたことはありません。

彼女は仲間へ、サノスが6つすべてのストーンを手に入れれば、指を鳴らすだけで宇宙の半分を消せると説明します。

さらにガモーラ自身は、サノスがまだ知らない重要な情報を持っていました。

最後まで所在不明だった ソウル・ストーンの場所 です。

この情報を守るため、彼女はクイルへ残酷な約束を求めます。

もし自分がサノスに捕まったら、 ためらわず自分を殺してほしい と。


17. ソーの新しい武器――ニダベリアへ

ソーは、今のムジョルニアなき状態ではサノスを倒せないと判断します。

そこで向かうことを決めたのが、アスガルドの王たちの武器を鍛えてきたドワーフの鍛冶場 ニダベリア です。

かつてムジョルニアもそこで作られました。

ソーはサノスを殺せる新たな武器を求め、ロケットとグルートを連れて出発します。ロケットは強力な武器への興味から同行し、グルートもついていきます。

一方、クイル、ガモーラ、ドラックス、マンティスは、リアリティ・ストーンが保管されている ノーウェア へ向かいます。

ここでガーディアンズも二手に分かれます。

サノスを止めるために必要な「武器」を作るソーのチームと、「ストーン」を守ろうとするガモーラのチーム。

本作は同じ目的を持つ仲間たちを意図的に分断し、それぞれが別の場所でサノスへ迫る構成になっています。


18. 宇宙船で拷問されるストレンジ

エボニー・マウの宇宙船では、ストレンジがタイム・ストーンを渡すよう拷問されていました。

アガモットの目には魔術的な防護がかけられており、無理に奪えば危険です。そのためマウは本人に解除させようとします。

トニーとピーターは船内で救出方法を考えます。

ピーターが持ち出したのは、映画『エイリアン』を応用した作戦でした。

トニーは船体に穴を開け、エボニー・マウを宇宙空間へ吸い出します。ストレンジも引き込まれかけますがピーターが救出し、トニーが穴を塞ぎます。

圧倒的な念動力でニューヨークのヒーローたちを苦しめたマウは、真正面から倒すのではなく 宇宙船という環境そのものを利用して排除 されます。

トニーとピーターの即興的な発想が噛み合った勝利です。


19. 「地球へ戻るか、サノスへ向かうか」

ストレンジを救出した後、トニーたちは宇宙船の進路をどうするか話し合います。

ストレンジは地球へ戻ってタイム・ストーンを守るべきだと主張します。しかしトニーは、サノスが地球へ来るのを待てば大きな被害が出るうえ、敵に主導権を握られると考えます。

そこで逆に、サノスの故郷 タイタン へ向かい、こちらから迎え撃つことを提案します。

ニューヨーク決戦以来、トニーは「宇宙の向こうから次の敵が来る」恐怖を抱え続けてきました。ウルトロンを作ったのも、その敵を地球へ到達させる前に防ぐためでした。

今回は同じ恐怖に対し、巨大な自動防衛システムではなく 自分自身が宇宙へ出て敵を止める 道を選びます。

ストレンジは反対しつつも同行します。ただしタイム・ストーンを守る使命を最優先し、必要ならトニーやピーターを見捨てても石を守ると明言します。


20. ピーター、正式にアベンジャーズへ

宇宙船の中で、トニーはピーターに地球へ帰るよう何度も求めます。

ピーターはまだ高校生です。しかも相手は、ハルクを倒し宇宙規模の虐殺を進めるサノス。トニーにとってピーターをこの戦いへ巻き込むことは、最も避けたいことでした。

それでもピーターは、自分だけ安全な場所へ戻って地球が滅びたら後悔すると訴えます。

『ホームカミング』でトニーはピーターへ「スーツがなければ何者でもないなら、そのスーツを持つ資格はない」と教えました。本作のピーターは、豪華なアイアン・スパイダーを与えられたから戦うのではなく、自分の意思で危険な場所へ残ります。

トニーはついに彼を認め、 「アベンジャーズへようこそ」 と正式に加入を告げます。

ピーターが夢見ていた瞬間ですが、その直後に待っているのは最も過酷な戦いです。


21. ワンダとヴィジョン――戦いから離れた二人

地球では、 ワンダ・マキシモフヴィジョン がスコットランドのエディンバラで密かに会っています。

『シビル・ウォー』後、ソコヴィア協定の対象となったワンダはスティーブ側の逃亡メンバーです。一方ヴィジョンはトニー側に残っていましたが、二人は離れていても関係を深め、恋人として会うようになっていました。

ヴィジョンは人間に近い姿を取り、アベンジャーズとしての任務ではなくワンダと過ごす人生を考え始めています。

しかし額には マインド・ストーン があります。

ヴィジョンは最近ストーンから異常を感じており、何かが近づいていることを察知しています。

ワンダとの時間を選びたいという個人的な願いと、ストーンを持つ存在として世界規模の戦いから逃れられない現実が、二人へ迫ります。


22. プロキシマ・ミッドナイトとコーヴァス・グレイヴの奇襲

二人の前に、ブラック・オーダーの プロキシマ・ミッドナイトコーヴァス・グレイヴ が現れます。

狙いはヴィジョンのマインド・ストーンです。

コーヴァスの武器はヴィブラニウム製のヴィジョンの身体さえ貫き、重傷を負わせます。さらにその刃の影響で、ヴィジョンは本来持つ位相変化能力を十分に使えなくなります。

ワンダは強大な力で応戦しますが、ヴィジョンを守りながら二人を相手にするのは困難です。

追い詰められたところへ現れるのが、 スティーブ・ロジャース、ナターシャ・ロマノフ、サム・ウィルソン です。

『シビル・ウォー』後に地下へ潜っていたメンバーが、久しぶりにアベンジャーズとして戦場へ戻ります。

スティーブは以前より長い髪とひげを生やし、星印を外した制服を着ています。国家の象徴「キャプテン・アメリカ」ではなく、仲間を守るために動く一人の兵士としての姿です。


23. アベンジャーズ基地で再び集まる地球組

スティーブたちはワンダと負傷したヴィジョンを連れ、 アベンジャーズ基地 へ向かいます。

そこには ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン とブルースがいます。

ローディはソコヴィア協定へ従う側でしたが、サノスが迫る状況で政府からスティーブたちを逮捕するよう命じられても拒否します。『シビル・ウォー』で重傷を負った後も協定を支持していましたが、今は書類上の立場より現実の危機を優先します。

ブルースはナターシャと再会します。『エイジ・オブ・ウルトロン』で互いに特別な感情を持ちながら、ハルクがクインジェットで去って以来の再会です。

しかし感情を整理する余裕はありません。

ブルースはサノスの危険性を全員へ説明し、ヴィジョンのストーンを守る方法を考えます。


24. ヴィジョンが提案する「自分を殺す」という方法

ヴィジョンは、サノスがマインド・ストーンを狙うなら最も確実な方法は ストーンそのものを破壊すること だと考えます。

マインド・ストーンと似たエネルギーを持つワンダなら破壊できる可能性があります。

ただしストーンはヴィジョンの生命と深く結びついています。

破壊すればヴィジョン自身も死ぬ可能性が極めて高い。

ヴィジョンは「一人の命と宇宙全体なら選択は明らかだ」と考え、自分を犠牲にするよう求めます。しかしワンダは受け入れられません。

『シビル・ウォー』では、ヴィジョンは大局的な計算からソコヴィア協定を支持していました。本作でも論理的には自分の死が正解だと分かっています。

しかしワンダとの関係を通して人間的な感情を深めた今、 自分の命が誰かにとって交換可能な数字ではない ことも知っています。

スティーブも「命は交換しない」と言い、別の方法を探すと決めます。


25. ワカンダならヴィジョンを救える

ブルースはヴィジョンの構造を確認し、彼がマインド・ストーンだけで動いているわけではないと気づきます。

ヴィジョンはJ.A.R.V.I.S.、ウルトロン由来の構造、トニーとブルースの技術、ヘレン・チョの人工組織、ヴィブラニウムなど複数の要素から成り立っています。

もしストーンとの神経接続を安全に切り離せれば、マインド・ストーンを失ってもヴィジョン自身は生きられる可能性があります。

その高度な処置を行える場所としてスティーブが選ぶのが ワカンダ です。

『ブラックパンサー』で世界へ門戸を開くと決めたばかりのワカンダは、世界最高水準のヴィブラニウム技術を持っています。

スティーブにとっては、バッキーを治療してくれた国でもあります。

地球組はヴィジョンの命を捨てるのではなく、 救いながらストーンも守る という最も難しい道を選び、ワカンダへ向かいます。


26. ノーウェア――すでに奪われていたリアリティ・ストーン

クイル、ガモーラ、ドラックス、マンティスは ノーウェア へ到着します。

リアリティ・ストーンは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』の後、アスガルドからコレクターへ預けられた エーテル です。

一行がコレクターの施設へ入ると、そこにはサノスがいて、コレクターを尋問しているように見えます。

ガモーラは隙を突いてサノスへ何度も刃を突き立て、ついに殺したように見えます。

しかしすべてが幻でした。

サノスはすでにリアリティ・ストーンを入手しており、ノーウェアの状況そのものを作り変えていたのです。

紫色の巨体が崩れ、現実が反転すると、サノスは何事もなかったように姿を現します。

ここでガーディアンズは、ストーンを守るために到着したのではなく、 すでに3つ目を手に入れたサノスの罠へ自分から入ってしまった ことを知ります。


27. クイルがガモーラとの約束を実行する

サノスはガモーラを連れ去ろうとします。

ガモーラはクイルへ、以前交わした約束を思い出させます。

「捕まったら自分を殺して」

クイルは銃を向けます。

愛する相手を自分の手で殺さなければ、宇宙の半分が危険にさらされる。到底受け入れられない選択ですが、ガモーラ自身が強く求めます。

クイルは涙を流しながら引き金を引きます。

しかし発射された弾はリアリティ・ストーンの力で泡へ変えられます。

サノスはクイルが本当に約束を守ろうとしたことを見て、ある意味では感心します。そしてガモーラを連れ去ります。

この場面は後のワンダとヴィジョンの選択と対になっています。

愛する者を犠牲にしてでも全体を救えるのかという問いが、本作では何度も別の人物へ突きつけられます。


28. サノスと幼いガモーラ――歪んだ親子関係

サノスの船で、ガモーラは自分が幼い頃に故郷を襲われた記憶を思い出します。

サノスは住民を二つの集団に分け、片方を殺害していました。その間、幼いガモーラへ小さなナイフを見せ、刃の上で指のバランスを取る遊びを教えます。

彼女が虐殺を見ないよう視線を自分へ向けさせながら、サノスは「宇宙の均衡」を教えていました。

サノスはガモーラの家族を殺し、本人を誘拐し、殺人者として育てた人物です。

それでもサノス本人は、本気でガモーラを娘として愛していると考えています。

この矛盾が本作のサノスを最も不気味にしています。

彼は愛を知らない怪物ではありません。 愛情を持ちながら、それでも自分の使命のためなら愛する者を犠牲にできる人物 です。


29. ネビュラへの拷問とソウル・ストーンの秘密

サノスはガモーラがソウル・ストーンの場所を知っていると疑っています。

ガモーラは否定しますが、サノスはすでに ネビュラ を捕らえていました。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の後、ネビュラはサノスを殺すため単独で向かいましたが失敗し、拘束されていました。

サノスはネビュラの身体を機械的に分解しながら拷問し、彼女の記憶データからガモーラがソウル・ストーンの場所を発見していた事実を示します。

ガモーラは妹を救うため、ついに場所を教えます。

ヴォーミア

ガモーラは宇宙の半分を守るため秘密を守ろうとしましたが、目の前で妹が苦しむことには耐えられませんでした。

本作ではヒーロー側の「愛」が強さであると同時に、サノスから見れば利用できる弱点にもなっています。


30. ヴォーミアとレッド・スカルの再登場

サノスとガモーラは、荒涼とした惑星 ヴォーミア へ到着します。

そこで二人を待っていたのは、黒いローブをまとった謎の番人でした。

その正体は、かつて『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でテッセラクトに触れ、宇宙へ飛ばされた ヨハン・シュミット/レッド・スカル です。

レッド・スカルはテッセラクト=スペース・ストーンを求めた罰として、自分では手に入れられないストーンへ他者を導く存在になっていました。

彼はサノスへ、ソウル・ストーンは他の石と違い、ただ奪うことはできないと説明します。

手に入れるためには、魂の価値を理解していることを証明しなければならない。

その代価は、 愛する者の魂 です。

「魂には魂を」。

ガモーラはその条件を聞き、サノスには愛する者などいないから失敗したと笑います。

しかしサノスは静かに涙を流します。


31. ガモーラの死――サノスが最も大切なものを捨てる

ガモーラは、サノスが自分を愛していることを理解します。

彼女は自ら崖から飛び降りて犠牲になることを防ごうとしますが、サノスは止めます。

そして娘の手を取り、崖の下へ投げ落とします。

サノスは本当に苦しんでいます。

だからこそソウル・ストーンは彼を認めます。

目を覚ましたサノスの手には、オレンジ色の ソウル・ストーン があります。

本作のサノスは自分だけ安全な場所から他人へ犠牲を要求する人物ではありません。自分の使命が正しいという確信のため、唯一心から愛していた娘まで自ら殺します。

その事実は彼の行為を正当化しません。

むしろ、 間違った思想を信じ切った人間がどこまで残酷になれるか を示しています。

この時点でサノスは4つのストーンを保有し、残りはタイム・ストーンとマインド・ストーンだけになります。


32. ニダベリア――滅ぼされたドワーフの鍛冶場

ソー、ロケット、グルートは ニダベリア へ到着します。

しかし、かつて星のエネルギーを利用して神々の武器を作っていた巨大な鍛冶場は停止していました。

生き残っていたのは、ドワーフ王 エイトリ ただ一人です。

サノスは以前ニダベリアを襲い、ドワーフたちへ インフィニティ・ガントレット を作らせていました。完成後、二度と同じものを作れないよう他のドワーフを皆殺しにし、エイトリの両手まで金属で封じています。

ソーは、サノスを止められなかったエイトリを責めません。

自分自身も多くを失い、失敗し続けてきたからです。

代わりに、今からサノスを殺せる武器を作ろうと励まします。

ここで作られることになるのが、王の武器であり、ビフレストを呼び出す力も持つ戦斧 ストームブレイカー です。


33. ソーが星の力を受け止める

ストームブレイカーを鍛えるには、停止したニダベリアの巨大炉へ再び星のエネルギーを通す必要があります。

ロケットとソーは装置を動かして炉を再起動しますが、星の光を通す開口部が閉じてしまいます。

ソーは自ら身体を使って装置を固定します。

目の前から放たれる恒星のエネルギーを全身で受け止めながら、エイトリが武器を完成させるまで耐え続けます。

ソーは致命傷に近い状態まで焼かれ、倒れます。

完成したストームブレイカーには柄がありません。

そこでグルートが自分の腕を伸ばし、熱せられた武器の二つのパーツをつなぎ、その腕を切り離して柄にします。

ストームブレイカーが完成するとソーの力が回復し、雷神として再び立ち上がります。

ムジョルニアを失ったソーが、喪失の末に自分の意思で手に入れた新たな武器です。


34. ワカンダへ――スティーブとバッキーの再会

地球組はワカンダへ到着します。

国王 ティ・チャラ/ブラックパンサー はスティーブたちを受け入れ、ヴィジョンの治療へ全面協力します。

スティーブは、ワカンダで治療を受けていた親友 バッキー・バーンズ とも再会します。バッキーはヒドラの洗脳から回復し、農作業をしながら静かな生活を送っていましたが、危機を前に新しいヴィブラニウム製の左腕を受け取り戦場へ戻ります。

ヴィジョンを診た シュリ は、マインド・ストーンと彼の神経接続が複雑ではあるものの、少しずつ切り離せると判断します。

ブルースがヴィジョンの構造を説明すると、シュリはより単純な方法を即座に指摘し、ブルース自身が感心します。

ここでワカンダの技術力が、トニーやブルースの科学とは別系統で世界最高峰にあることが改めて示されます。


35. タイタンでガーディアンズとアイアンマンたちが激突

一方、エボニー・マウの宇宙船は タイタン へ到着します。

トニー、ピーター、ストレンジが降り立つと、そこへクイル、ドラックス、マンティスも現れます。

互いに相手をサノスの手下だと誤解し、いきなり戦闘になります。

トニーはドラックスとクイルを相手にし、ピーターはマンティスを止め、ストレンジは魔術で応戦します。

クイルがピーターへ銃を向け、トニーがドラックスへ武器を向ける膠着状態になりますが、「サノス」という共通の敵の名前からようやく誤解が解けます。

本来なら夢の共演であるアベンジャーズとガーディアンズの初対面ですが、最初は協力ではなく衝突から始まります。

そしてトニーとクイルという、どちらも自分がリーダーだと思っている二人が早速張り合います。


36. 滅びた故郷タイタンとサノスの論理

タイタンはかつて高度な文明を持つ豊かな惑星でしたが、現在は廃墟です。

重力も不安定になり、巨大な構造物が崩壊したまま浮かんでいます。

後に現れたサノスは、ストレンジへ自分の故郷だった頃のタイタンをリアリティ・ストーンで見せます。

人口増加と資源不足によって文明が崩壊する前、サノスは「人口の半分を無作為に減らす」案を出しました。誰が死ぬかは完全に公平に決めるべきだと考えていましたが、誰にも受け入れられませんでした。

そしてタイタンは滅びました。

この経験が、サノスにとって自説が正しかった「証拠」になっています。

しかし彼は、資源を増やす、文明構造を変える、ストーンの力で別の解決を行う可能性を考えません。

一度自分が正しいと思った答えを宇宙全体へ強制しているだけであり、その確信こそが彼の最大の危険性です。


37. ドクター・ストレンジが見る1400万605通りの未来

ストレンジはタイム・ストーンを使い、これから起こる可能性を高速で確認します。

その数は 14,000,605通り

サノスとの戦いがどのように進み、どの選択をすればどんな結果になるのかを見続けます。

トニーが「勝てる未来はいくつあった」と尋ねると、ストレンジは答えます。

一つだけ。

この瞬間以降、ストレンジの行動は単純なその場の勝敗だけでは判断できなくなります。

彼はその「一つの未来」へ到達するために必要な出来事を知っている可能性があります。

後にタイム・ストーンをサノスへ渡す行動も、初めに宣言した「トニーを犠牲にしてでも石を守る」という方針と矛盾して見えますが、この未来視を踏まえると意味が変わります。

本作の敗北は、最終的な勝利へ必要な過程なのかもしれないという唯一の希望がここに残されます。


38. ネビュラ脱出――タイタンへ向かう

サノスの船では、拘束されていたネビュラが機械の身体を利用して脱出します。

彼女はガモーラたちと合流するため通信を送り、行き先をタイタンに指定します。

ネビュラは幼い頃からガモーラと競わされ、負けるたびにサノスによって身体を機械へ置き換えられてきました。

以前はその苦しみをガモーラへの憎しみに変えていましたが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』で二人はようやく本音をぶつけ合い、姉妹として和解しました。

だからこそネビュラは、今度はガモーラを一人でサノスのもとへ置いておけません。

彼女の目的は「父を倒す」だけでなく、 姉を取り戻すこと へ変わっています。

しかしタイタンへ到着した時、すでにガモーラは戻れない場所へ連れて行かれていました。


39. ワカンダへ押し寄せるアウトライダーズ

ワカンダ上空へブラック・オーダーの巨大輸送船が現れます。

プロキシマ・ミッドナイトとカル・オブシディアンは、無数の生物兵器 アウトライダーズ を投入します。

ワカンダの首都を守るエネルギー・シールドへ、アウトライダーズは自分の身体が焼けることも構わず殺到します。

彼らは知性ある軍隊というより、サノスの命令で敵へ襲いかかる消耗品です。

ティ・チャラは オコエ、ムバク、ドーラ・ミラージュ、ジャバリ族、ワカンダ軍 を率いて防衛線を作ります。

スティーブ、ナターシャ、サム、ローディ、バッキー、ブルースも参加します。

ブルースはハルクを呼び出せないため、トニーが残していた ハルクバスター・マーク2 へ搭乗します。

宇宙の命運を決める戦いが、地球ではワカンダという一国を最後の防衛線として始まります。


40. シールドを一部開放する危険な決断

アウトライダーズはワカンダのシールドを正面から突破できません。

しかし彼らは防壁を回り込み、ヴィジョンのいる都市部へ向かおうとします。

そのままではシュリの研究室が直接狙われます。

そこでティ・チャラとスティーブは、あえてシールドの一部を開き、敵を自分たちの正面へ誘導する決断をします。

開いた瞬間、数え切れないアウトライダーズが一斉になだれ込みます。

ティ・チャラが突撃し、スティーブが並んで走り、両軍が正面衝突します。

ここではサノス本人がいないにもかかわらず、地球側は圧倒的な物量に押されます。

『アベンジャーズ』のニューヨーク決戦では6人が一つの円陣になりましたが、本作ではそのチームが分裂したまま、ワカンダ側だけで宇宙軍を受け止めなければなりません。


41. タイタンの作戦――ガントレットを外す

タイタンでは、トニーたちがサノスを倒すため作戦を立てます。

正面から力で倒すのではなく、マンティスの感情操作で意識を抑え、その間に インフィニティ・ガントレットを外す というものです。

サノスが到着すると、ストレンジ、トニー、ピーター、クイル、ドラックス、マンティスが連携して攻撃します。

ストレンジはポータルと拘束魔術を使い、ピーターはポータル間を飛びながら連続攻撃。トニーはナノスーツの火力で押し込み、ドラックスとクイルも拘束へ加わります。

マンティスがサノスの頭へ触れ、ついに意識を押さえ込みます。

ピーターとトニーはガントレットを引き抜き始めます。

本作でヒーローたちがサノスを止めることへ最も近づいた瞬間です。

あと数秒あれば、歴史は変わっていた可能性があります。


42. ネビュラがガモーラの死を悟る

そこへネビュラが到着します。

マンティスはサノスの感情を読み、「悲しんでいる」と気づきます。

クイルはガモーラの居場所を尋ねますが、サノスは明確に答えません。

ネビュラはサノスがソウル・ストーンを持っていること、そしてガモーラが戻っていないことから真相を理解します。

サノスはガモーラを殺した。

クイルは信じられず、サノスへ問い詰めます。

サノスがガモーラを犠牲にしたことを認めると、クイルの怒りが爆発します。

トニーは作戦を優先しろと必死に止めますが、クイルはサノスの顔を銃で殴り続けます。

その衝撃でマンティスの支配が外れ、サノスが覚醒します。

ガントレットはあと少しで外れるところでした。

愛する者を失った怒りが、宇宙を救う最後の数秒を壊してしまうという、極めて残酷な転換点です。


43. サノス対ドクター・ストレンジ

自由になったサノスは、タイタンのヒーローたちを一人ずつ圧倒します。

中でもストレンジとの戦いでは、インフィニティ・ストーンと魔術の能力が真正面からぶつかります。

ストレンジは無数の分身を作り、魔術の拘束を伸ばします。サノスはソウル・ストーンなどの力を利用して本体を見抜き、スペースやパワーの力で攻撃します。

ストレンジがミラー・ディメンションを利用しても、サノスはストーンによって破壊します。

『ドクター・ストレンジ』では時間操作が最終的な切り札でしたが、今回は相手も宇宙の法則そのものを操作できる複数のストーンを持っています。

最終的にストレンジも倒され、タイム・ストーンはまだ魔術で隠されたままですが、サノスを止める戦力はほぼトニー一人になります。


44. アイアンマン対サノス――トニーの悪夢との対面

トニーはマーク50のすべてを使い、サノスへ単独で挑みます。

ナノ粒子から巨大な打撃装置、刃、盾、推進器を次々と形成し、サノスへ攻撃を重ねます。

そしてついにサノスの頬から一滴の血を流させます。

しかしそれだけでした。

サノスはトニーの名前を知っています。

トニーが「自分を知っているのか」と問うと、サノスは答えます。

ニューヨークの戦い以来、トニーは宇宙から来る脅威を恐れ続けてきました。一方サノスも、地球側で自分の侵攻を止め得る人物としてトニーを認識していました。

二人は直接会ったことがないのに、何年も互いの存在に影響されてきた関係です。

トニーが最も恐れていた敵が、ついに目の前へ現れます。


45. トニーが刺される――ストレンジの選択

サノスはトニーのナノスーツを次々と破壊します。

ナノ粒子には限りがあり、攻撃や防御へ使うほど他の部分が薄くなっていきます。

最後にはトニー自身の形成した刃を奪い、そのまま腹部へ突き刺します。

サノスはトニーの勇気を認めながら、殺そうとします。

その瞬間、ストレンジが止めます。

彼は魔術で隠していた タイム・ストーン を出し、「トニーを助けるなら渡す」と提案します。

サノスは約束を受け入れ、5つ目のストーンを手に入れて地球へ向かいます。

トニーは驚きます。

ストレンジは直前まで「トニーやピーターよりストーンを優先する」と言っていたからです。

しかし彼は1400万605通りの未来を見ています。

この選択は敗北ではなく、 唯一の勝利へ必要な手順 である可能性が強く示されます。


46. 「終盤だ」――ストレンジが知っている未来

サノスが去った後、トニーはストレンジへ「なぜストーンを渡した」と問い詰めます。

ストレンジは詳しく説明せず、ただ 「終盤だ」 と告げます。

彼が見た一つの勝利の未来には、トニーが生きていること、サノスが一度ストーンを集めること、そしてこの後起きる何かが必要なのでしょう。

ここで重要なのは、ストレンジが今すぐの勝利を捨てている可能性があることです。

タイタンでサノスを止められなかったとしても、その失敗自体がもっと先の勝利へ必要なのかもしれない。

ただし他の誰もその内容を知りません。

トニーもピーターも、自分たちがこの後どれほど大きな犠牲を払うのか分からないまま、ストレンジの選択を受け入れるしかありません。


47. ソー、ロケット、グルートがワカンダへ降臨

ワカンダではアウトライダーズの物量に地球側が押され始めます。

その時、空からビフレストの光が落ちます。

現れたのは ソー、ロケット、グルート です。

ストームブレイカーを手にしたソーは雷をまとい、広範囲のアウトライダーズを一撃で吹き飛ばします。

『バトルロイヤル』でムジョルニアがなくても雷神であることを理解したソーが、今度はその力を最大限に導く新武器まで手にしています。

スティーブは突然現れたグルートへ名乗り、グルートの言葉を名前だと勘違いして「スティーブ・ロジャース」と返します。

絶望的だった戦況は一気に反転します。

本作の中で最も「アベンジャーズらしい援軍到着」の瞬間ですが、それでもサノス本人はまだ戦場へ到着していません。


48. ハルクを待つのをやめるブルース

ブルースはハルクバスターを操りながらカル・オブシディアンと戦います。

スーツは破壊され、ブルースは危機に陥ります。

彼は再びハルクへ助けを求めますが、ハルクは出てきません。

そこでブルースはついに考えを変えます。

「自分とハルクには話し合うことがある」と認めながら、 今はハルクがいなくても自分で戦う ことを選びます。

破損したハルクバスターの腕を利用してカルをシールドへ押し込み、撃破します。

『インクレディブル・ハルク』以来、ブルースの問題は「ハルクという巨大な力をどう制御するか」でした。本作ではその力を失った時、ブルース自身がヒーローとして何をできるのかが試されます。

ハルクがいなくても、ブルースはアベンジャーズです。

この対立は次の『エンドゲーム』で二つの人格を統合する方向へつながります。


49. ブラック・オーダーの最期

ワカンダの戦場ではブラック・オーダーも次々と倒されます。

プロキシマ・ミッドナイトはナターシャ、オコエ、ワンダの三人と戦い、最後はワンダの力で巨大な戦闘機械の進路へ投げ込まれます。

カル・オブシディアンはブルースによって撃破されます。

コーヴァス・グレイヴは戦場の混乱に乗じて研究室へ侵入し、ヴィジョンを襲います。負傷したスティーブも苦戦しますが、最後はヴィジョン自身がコーヴァスの武器を使って背後から刺し、倒します。

ストーン奪取のため地球へ送られたサノスの精鋭たちは、アベンジャーズとワカンダ軍によってほぼ全滅します。

しかし彼らを倒しても意味はありません。

サノス本人が5つのストーンを持ってワカンダへ向かっているからです。


50. シュリの作業は間に合わない

シュリは研究室でヴィジョンからマインド・ストーンを切り離す作業を続けます。

神経接続を一つずつ再構築しなければならず、時間がかかります。

しかしコーヴァスの侵入によって作業は中断され、ヴィジョンは戦場へ出ます。

これで「ヴィジョンを生かしたままストーンだけを外す」という希望はほぼ失われます。

サノスが到着するまでに残された方法は、ヴィジョンが最初から提案していた一つだけです。

ワンダがマインド・ストーンを破壊する。

それは同時にヴィジョンを殺すことになります。

スティーブたちは「命は交換しない」としてここまで戦ってきました。しかし時間切れが迫り、ついに最も残酷な選択を避けられなくなります。


51. サノス、ワカンダへ到着

スペース・ストーンの光とともに、サノスがワカンダへ現れます。

彼のガントレットには、パワー、スペース、リアリティ、ソウル、タイムの5つがそろっています。

残るのはヴィジョンのマインド・ストーンだけです。

ブルース、スティーブ、ティ・チャラ、オコエ、ローディ、バッキー、サムたちが次々とサノスへ向かいます。

しかし5つのストーンを持つサノスにはほとんど通用しません。

一人ずつ払いのけられ、ティ・チャラもローディもサムも簡単に倒されます。

スティーブはサノスの腕を両手で受け止め、一瞬だけ踏みとどまります。

人間としては驚異的な抵抗ですが、サノスは驚いた後に力を入れ、スティーブを殴り倒します。

ここまで強大なヒーローたちが集まっても、完成寸前のガントレットの前では時間を稼ぐことすら難しくなっています。


52. ワンダがヴィジョンを殺す決断

ヴィジョンはワンダへ、ついにストーンを破壊してほしいと頼みます。

ワンダは泣きながら拒みますが、ヴィジョンは「もう時間がない」と伝えます。

彼女は片手でサノスを抑えながら、もう片方の手でマインド・ストーンへエネルギーを集中させます。

この場面でワンダは、クイルがノーウェアで果たせなかった選択を実行します。

愛する相手を自分の手で殺せば、サノスの計画を止められる。

ヴィジョンはワンダを見つめながら、彼女を安心させるように最後まで言葉をかけます。

そしてマインド・ストーンが爆発。

ヴィジョンの身体も崩れ、地面へ倒れます。

ワンダは宇宙を救うため、最も愛する人物を自分の手で殺すことに成功します。

一度は、サノスより先に必要な犠牲を払ったのです。


53. タイム・ストーンがすべてを無意味にする

サノスは破壊されたヴィジョンの前へ歩み寄ります。

ワンダは絶望しながら座り込みます。

しかしサノスのガントレットには、すでに タイム・ストーン があります。

彼は時間を逆行させます。

砕け散ったヴィジョンの身体が元に戻り、破壊されたマインド・ストーンも復元されます。

ワンダが自分の手で愛する者を殺した決断そのものが、サノスによってなかったことにされます。

サノスはヴィジョンの額からマインド・ストーンを力ずくで引き抜きます。

ヴィジョンの身体から色が失われ、今度こそ完全に死亡します。

これで6つのインフィニティ・ストーンがすべてそろいます。

本作で最も残酷なのは、ヒーローたちが犠牲を払わなかったことではありません。

必要な犠牲を払っても、サノスの方が一手上だったことです。


54. ソーの一撃――「頭を狙うべきだった」

6つのストーンがそろった瞬間、空から雷とともにストームブレイカーが飛んできます。

ソーが投げた一撃です。

サノスはガントレットから巨大なエネルギーを放ちますが、ストームブレイカーはその光を押し切り、サノスの胸へ深く突き刺さります。

ソーは倒れたサノスへ近づき、「言っただろう」と復讐を果たしたように見えます。

ロキとヘイムダル、アスガルドの民を殺された怒りを込め、さらに武器を押し込みます。

しかしサノスはまだ生きています。

そしてソーへ言います。

「頭を狙うべきだった」

ソーの目的はサノスを止めることだけでなく、苦しませ、自分の顔を見せて復讐を実感させることでもありました。

そのわずかな違いが、サノスへ最後の動作を行う時間を与えます。


55. 指パッチン――サノスの勝利

サノスはインフィニティ・ガントレットを装着した左手の指を鳴らします。

強烈な光が走り、サノス自身も一瞬別の場所へ移ります。

そこで幼いガモーラの姿と向き合い、「代償は何だったの」と問われます。

サノスは答えます。

「すべてだ」

現実へ戻るとガントレットは焼け焦げていますが、サノスはスペース・ストーンで姿を消します。

一見すると何も起きていないように見えます。

しかし数秒後、ワカンダの戦場でバッキーがスティーブへ近づきます。

そして突然、身体が灰のように崩れ始めます。

サノスの計画は成功しました。

宇宙の全生命の半分が、完全に無作為で消え始めます。


56. ワカンダで消えていく仲間たち

最初に消えるのは バッキー です。

スティーブが名前を呼ぶ間もなく、親友は灰になって風へ消えます。

続いて ティ・チャラ がオコエの目の前で消滅します。国王を支えようとしたオコエの手は空を切ります。

グルートもロケットの前で消えます。

ロケットは長く仲間を失うことを恐れてきた人物ですが、今度は自分だけが残されます。

さらに ワンダ、サム も消滅。

ワンダはヴィジョンを二度失った直後、自分自身も消えます。

ワカンダに残るのはスティーブ、ナターシャ、ブルース、ローディ、ソー、ロケット、オコエ、ムバクらです。

彼らは何が起きたか理解できません。

戦争には勝ったように見えたのに、目の前で仲間が次々と消えていきます。


57. タイタン――ピーター・パーカーの最期

タイタンでも同じ現象が起きます。

マンティスが最初に異変を感じ、消えます。

続いてドラックス、クイルも灰になります。

ストレンジはトニーを見つめ、 「ほかに方法がなかった」 という意味の言葉を残して消滅します。

彼はこの未来を知っていました。

そしてピーターの身体にも異変が起きます。

スパイダーセンスによって他の人より早く自分の消滅を感じ取ったピーターは、恐怖に震えながらトニーへ「死にたくない」と訴えます。

最後はトニーに抱かれ、謝りながら灰になります。

『ホームカミング』以来、トニーはピーターを守ろうとしてきました。

ニューヨーク決戦後に見た「仲間が全滅し、自分だけ生き残る」という悪夢が、最も残酷な形で現実になります。

タイタンに残されたのは トニーとネビュラ だけです。


58. 「ああ神よ」――スティーブが受け入れられない敗北

ワカンダでスティーブは地面に座り込みます。

周囲には灰だけが残り、勝利の歓声もありません。

ソーはサノスを止める寸前まで行きました。

ワンダはヴィジョンを自分の手で殺しました。

スティーブたちはブラック・オーダーとアウトライダーズを倒しました。

タイタンではガントレットを外す直前まで行きました。

それでも結果は変わりません。

スティーブはただ、 「ああ、神よ……」 と呟きます。

これまでどれほど不利な戦いでも、最後には立ち上がり続けたキャプテン・アメリカが、何をすればいいのか分からないまま物語が終わろうとします。

ヒーロー映画で当然と思われていた「最後にはなんとかなる」という前提そのものが崩されます。


59. サノスが見る朝日

指パッチンの後、サノスは静かな惑星へ移動しています。

ガントレットと左腕は大きく焼けています。

彼は小さな家の前へ座り、朝日を眺めます。

以前ガモーラへ、計画を終えたら「感謝する宇宙で朝日を見る」と語っていました。

そして実際にその場所へたどり着きました。

本作の最後に笑うのはアベンジャーズではなくサノスです。

仲間たちは死亡・消滅し、宇宙の半分は失われ、サノスは自分の使命を達成したと思っています。

『アベンジャーズ』のニューヨーク決戦ではサノスの存在がポストクレジットで初めて示されました。

そこから6年。

何度も背景に現れた男がついに自ら動き、MCU史上初めてヒーロー側へ完全な敗北を与えて物語を終えます。


ポストクレジットシーン

ニック・フューリーからキャプテン・マーベルへの救難信号

本編終了後、ニューヨークでは ニック・フューリーマリア・ヒル が車で移動しています。

突然、前方の車が制御を失い、ヘリコプターも建物へ墜落します。しかし運転手もパイロットもいません。

ワカンダやタイタンだけでなく、地球全体で人々が消え始めていることが分かります。

マリア・ヒルもフューリーの目の前で灰になります。

フューリー自身も身体が崩れ始めますが、その直前、車から特殊なポケベル型通信機を取り出して緊急信号を送ります。

フューリーが完全に消えた後、地面に落ちた端末の画面へ表示されるのは、赤・青・金の星を組み合わせたようなマークです。

これは キャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベル のシンボル。

つまりフューリーは、自分たちでは対処できない宇宙規模の危機が起きた時の最後の手段として、長年連絡を取っていなかったキャロルへ救難信号を送りました。

この場面が次作『キャプテン・マーベル』、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』へ直接つながります。


主要キャラクターまとめ

サノス

サノス

本作の実質的な主人公とも言える存在です。

これまで『アベンジャーズ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『エイジ・オブ・ウルトロン』などで背後に姿を見せてきましたが、本作ではついに自ら6つのインフィニティ・ストーンを集めます。

サノスの思想の出発点は故郷タイタンの滅亡です。人口増加と資源不足を予測し、住民の半分を無作為に減らす案を出したものの拒絶され、最終的に文明が崩壊しました。その経験から「自分だけが宇宙の未来を正しく理解している」と確信しています。

彼が恐ろしいのは、単なる破壊欲や支配欲では動いていないことです。

本人は全生命の半分を消すことを、残る半分を救うための慈悲だと本気で考えています。さらに自分の家族や部下だけを例外にするのではなく、完全に無作為で半分を消すことを「公平」だと考えます。

しかし、その公平さは犠牲になる側の意思を完全に無視しています。

サノスは自分の故郷で一度拒絶された答えを、インフィニティ・ストーンという圧倒的な力を得ることで宇宙全体へ強制します。

ガモーラへの感情も重要です。

彼はガモーラの家族を殺し、本人を誘拐して殺人者へ育てた加害者です。それでも本人は彼女を本当に娘として愛しており、ヴォーミアではその愛が本物だからこそソウル・ストーンを得ます。

つまりサノスは「愛を知らない怪物」ではありません。

愛していても、使命のためならその相手を自分の手で犠牲にできる怪物です。

最終的にサノスは6つのストーンを集め、宇宙の半分の生命を消すことに成功します。映画の最後では朝日を見ながら穏やかに微笑み、自分が宇宙を救ったと確信しています。

本作はヒーローたちの敗北だけでなく、サノスにとっては長年追い続けた目的を達成した「勝利の物語」でもあります。

トニー・スターク / アイアンマン

トニー・スターク / アイアンマン

本作のトニーは、『アベンジャーズ』以来抱え続けてきた恐怖と真正面から向き合います。

ニューヨーク決戦でポータルの向こうに巨大な宇宙軍を見たことで、「いつかもっと大きな敵が地球へ来る」と確信し、その恐怖からウルトロンまで作りました。

そして本作で、その悪夢の中心だったサノス本人がついに現れます。

物語開始時のトニーはペッパーと婚約し、子どものいる未来まで考えています。以前のように自分だけで生きるのではなく、家庭を持つ未来へ進み始めていました。

しかし危機を知ると、地球で待つのではなく自らタイタンへ向かいます。

ピーターを危険から遠ざけようとしながらも、最終的には彼の覚悟を認めて正式なアベンジャーズへ加入させます。二人の関係は上司と部下というより、父と息子に近いものへ変化しています。

タイタンではサノスへ単独で挑み、マーク50のほぼすべてを使って戦いますが、力の差は埋まりません。

そして最後、ピーターが自分の腕の中で消えます。

『エイジ・オブ・ウルトロン』でワンダに見せられた「仲間が全滅し、自分だけ生き残る」という恐怖が現実になります。

しかもスティーブとは『シビル・ウォー』以来一度も再会できません。

本作のトニーは、世界を守るための準備を誰より続けてきたのに、最も恐れていた瞬間にすべてを守れなかった人物です。

この敗北とピーターの死が、『エンドゲーム』でのトニーの決断へ直結します。

スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ

スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ

『シビル・ウォー』後、スティーブはソコヴィア協定に違反した逃亡者として活動しています。

本作では星条旗の盾も政府公認の肩書も持たず、長い髪とひげを生やした姿で登場します。

それでも本質は何も変わっていません。

ワンダとヴィジョンが襲われれば即座に助け、ヴィジョンが「自分を犠牲にすれば宇宙を救える」と言っても、別の方法がある限り命を捨てることを認めません。

スティーブの信念を象徴するのが 「命は交換しない」 という考えです。

彼は戦争で何度も仲間を失っていますが、だからこそ「大きな目的のためなら一人を当然のように犠牲にしてよい」という論理を簡単には受け入れません。

ワカンダではティ・チャラたちとともに最前線へ立ち、サノス本人にも素手で立ち向かいます。

しかし最後にはバッキーが目の前で消えます。

『ザ・ファースト・アベンジャー』で一度失い、『ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー』を通してようやく取り戻した親友を、今度は何もできないまま再び失います。

本作ではトニーと一度も再会しません。

アベンジャーズの二人の中心人物が分裂したまま別の惑星と地球で戦い、敗北すること自体が、『シビル・ウォー』の内戦が残した最も大きな代償です。

ソー

ソー

本作で最も多くを失い、それでも最後までサノスを直接殺そうと追い続ける人物です。

開始時点ですでに、母フリッガ、父オーディン、ムジョルニア、故郷アスガルドを失っています。

さらに冒頭でヘイムダルとロキを目の前で殺され、アスガルド難民船まで破壊されます。

それでもソーは折れません。

ガーディアンズに救出されると、サノスを倒せる武器を求めてニダベリアへ向かいます。エイトリの絶望を前にしても立ち止まらず、自ら恒星のエネルギーを受けてストームブレイカーを完成させます。

ロケットとの会話では、自分がこれまで失ってきた家族や友人を数えながら、それでも「まだ生きているから戦う」姿勢を見せます。

ワカンダへの到着は戦況を一変させ、最終的にはストームブレイカーをサノスの胸へ突き刺すところまで成功します。

しかしソーは確実に即死させる頭部ではなく胸を狙います。

それは単に狙いを外したというより、サノスに自分の姿を見せ、ロキたちの復讐を実感させたかったからでもあります。

その数秒が指パッチンを許します。

ソーにとって本作の敗北は、「力が足りなかった」だけではありません。

サノスを止めることより復讐を完成させることを一瞬優先した結果、宇宙の半分を失ったという強烈な罪悪感になります。

この傷が『エンドゲーム』のソーを大きく変えます。

ブルース・バナー / ハルク

ブルース・バナー / ハルク

冒頭でハルクはサノスに正面から敗北します。

その後ヘイムダルによって地球へ送られ、ブルースへ戻りますが、それ以降ハルクは何度呼ばれても変身を拒否します。

一見するとサノスを恐れて出てこないようにも見えますが、本作で重要なのは、ブルースとハルクの関係そのものが限界へ来ていることです。

これまでブルースはハルクを「必要な時だけ利用し、不要になれば抑える」立場でもありました。

『バトルロイヤル』ではハルク側にも独立した人格と意思があることがはっきり描かれています。

そのため本作では、ブルースが一方的に「出てこい」と命令してもハルクが従いません。

ワカンダではハルクバスターに乗り込み、最初は変身できないことへ苛立ちますが、最後にはハルクを待つことをやめ、自分自身でカル・オブシディアンを倒します。

科学者ブルースも、ハルクとは別に一人のアベンジャーであることを証明します。

本作で決着しなかった二人格の問題は、『エンドゲーム』で スマート・ハルク として統合される流れへつながります。

ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ

ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ

『シビル・ウォー』ではトニー側としてソコヴィア協定へ署名しましたが、最後にはスティーブとバッキーを逃がし、その後政府から離れています。

本作ではスティーブ、サムとともに地下で活動し、ワンダとヴィジョンを救出します。

ナターシャは特殊能力もアーマーも持ちませんが、プロキシマ・ミッドナイトのような宇宙の強敵を相手にしても最前線へ立ちます。

ワカンダではオコエと連携し、最後にはワンダも加わってプロキシマを倒します。

またブルースとの再会も描かれます。

『エイジ・オブ・ウルトロン』で互いに想いを持ちながら、ブルースが突然地球を離れたため二人の関係は止まったままでした。本作では再会しても短い挨拶しかできず、個人的な感情を整理する前に宇宙規模の危機へ入ります。

ナターシャ自身は指パッチンを生き残ります。

仲間や世界の半分を失った後も残された人々をつなぐ役割を担うことになり、『エンドゲーム』ではアベンジャーズを維持する中心人物の一人になります。

ピーター・パーカー / スパイダーマン

ピーター・パーカー / スパイダーマン

『ホームカミング』後のピーターは、正式なアベンジャーズ入りを一度断り、学生生活とヒーロー活動を両立していました。

しかしニューヨークへ宇宙船が現れると、誰かから命じられる前に戦場へ向かいます。

トニーから地球へ帰るよう何度言われても、地球そのものが危険なら自分だけ戻れないと主張し、タイタンまで同行します。

その覚悟を認めたトニーから正式に アベンジャーズ加入 を告げられます。

本作ではアイアン・スパイダー・スーツを初めて本格運用し、宇宙空間への対応、機械脚、瞬間展開などスターク製スーツの性能を最大限に使います。

タイタン戦ではストレンジのポータルを利用してサノスへ連続攻撃し、ガントレットを外す作業にも参加します。

しかし最後には指パッチンの対象となります。

スパイダーセンスのためか自分の消滅を早く察知し、トニーへ「死にたくない」と訴える姿は、超人であってもまだ高校生であることを強く思い出させます。

彼の死はトニーへ最も深い傷を残し、『エンドゲーム』でトニーが再びサノスとの戦いへ戻る大きな理由になります。

スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ

スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ

本作ではタイム・ストーンの守護者であり、戦い全体の未来を唯一見ることができた人物です。

序盤では「ストーンを守るためならトニーやピーターを犠牲にする」と明言し、魔術師として個人の感情より宇宙規模の使命を優先します。

タイタンではタイム・ストーンを使い、1400万605通りの未来を確認。その中で勝利できる未来は一つだけだと知ります。

その後のストレンジは、その一つの未来を実現するために行動していると考えられます。

そのため、サノスに殺されかけたトニーを救うため、自らタイム・ストーンを差し出します。

表面的には守護者として最悪の選択ですが、未来視の後であることが重要です。

さらに消滅直前にはトニーへ、他に方法はなかったことを示します。

本作終了時点では誰にも意味が分かりませんが、『エンドゲーム』まで見ると、 トニーが生き残ることそのものが唯一の勝利に必要だった と分かります。

ストレンジは本作の敗北を止めなかった人物ではなく、敗北の先にある唯一の勝利へ全員を進ませた人物です。

ワンダ・マキシモフ / スカーレット・ウィッチ

ワンダ・マキシモフ / スカーレット・ウィッチ

本作ではヴィジョンとの恋愛と、「愛する者を自分の手で殺せるか」という究極の選択が中心になります。

『シビル・ウォー』後、ワンダは逃亡生活を送りながらヴィジョンと密かに会い、二人は互いを人生のパートナーとして考えるまでになっています。

しかしマインド・ストーンを破壊できる可能性があるのは、同じストーン由来の力を持つワンダだけです。

ヴィジョン自身から頼まれても、ワンダは最初拒否します。

それでも最後、サノスが目前まで迫ったことで決断します。

片手でサノスを押し止めながら、もう片方でヴィジョンのストーンを破壊するという非常に強力な力を見せます。

そして本当にヴィジョンを殺し、宇宙を守るための犠牲を払い切ります。

しかしサノスがタイム・ストーンで時間を戻し、その犠牲を無意味にします。

ワンダは愛する相手の死を二度連続で目撃した直後、自身も消滅します。

この経験は復活後も深い傷として残り、『エンドゲーム』でのサノスへの怒り、さらに『ワンダヴィジョン』での喪失と現実改変へつながります。

ヴィジョン

ヴィジョン

本作ではマインド・ストーンの保持者であるため、サノスの計画の最後の標的になります。

『エイジ・オブ・ウルトロン』で誕生した当初は人類を外側から観察するような存在でしたが、ワンダとの関係を通して非常に人間的な感情を持つようになりました。

ヴィジョンは自分が死ねばマインド・ストーンを破壊できると理解し、最初から犠牲になることを提案します。

一方スティーブたちは、彼を単なるストーンの容器として扱わず、一人の仲間として救う方法を選びます。

ワカンダでシュリがストーンの切り離しを試みますが間に合いません。

最後にはヴィジョン自身がワンダへ破壊を頼み、彼女の手で一度死亡します。

しかし時間を戻したサノスに蘇らされ、今度は額からストーンを力ずくで引き抜かれて二度目の死を迎えます。

ヴィジョンの死は単にアベンジャーズが一人減っただけではありません。

マインド・ストーン、J.A.R.V.I.S.、トニー、ブルース、ウルトロン、ワンダという複数のMCU要素が集まって生まれた存在が失われ、ワンダのその後の人生を大きく変えます。

ガモーラ

ガモーラ

本作でサノスの思想と感情を最も深く理解している人物です。

幼い頃にサノスへ故郷を襲われ、家族を失い、そのまま養女として連れ去られました。

サノスのもとで暗殺者として育てられた後に離反し、ガーディアンズという新しい家族を得ました。

本作ではソウル・ストーンの場所を唯一知っており、その秘密が物語の最大の鍵になります。

サノスに捕まれば情報を奪われると分かっているため、クイルへ自分を殺すよう頼みます。

クイルは実際に引き金を引きますが、リアリティ・ストーンによって阻止されます。

その後ネビュラの拷問を見せられ、妹を救うためヴォーミアの場所を明かします。

そしてヴォーミアで、自分がサノスにとって本当に愛する存在だったことを知ります。

それはガモーラにとって救いではありません。

自分の家族を殺した男の歪んだ愛情が本物だったからこそ、自分の命がソウル・ストーンの代価として成立してしまいます。

ガモーラの死はクイル、ネビュラ、そしてサノス本人に大きな影響を与え、特に『エンドゲーム』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』まで続く大きな変化の起点になります。

ピーター・クイル / スター・ロード

ピーター・クイル / スター・ロード

本作ではガモーラとの関係が深まり、同時にその愛情がサノスとの戦いで致命的な弱点にもなります。

ガモーラから「サノスに捕まったら自分を殺してほしい」と頼まれ、ノーウェアでは本当に引き金を引きます。

つまりクイルには宇宙を守るため愛する相手を犠牲にする覚悟がなかったわけではありません。

しかしサノスによってその選択を無効化され、ガモーラは連れ去られます。

タイタンでサノスを拘束した際、ネビュラからガモーラが殺されたと知ると、クイルは感情を抑えられません。

ガントレットを外す寸前だったにもかかわらずサノスを殴り、作戦を崩してしまいます。

結果だけ見れば宇宙規模の失敗です。

しかし本作は、クイルだけを単純な戦犯として描く構造ではありません。

ソーも復讐心から頭ではなく胸を狙い、ガモーラもネビュラを救うため秘密を明かし、ワンダもヴィジョンをすぐには殺せませんでした。

愛する者を失った時に完全な合理性を保てるのかという本作全体の問いを、クイルは最も激しい形で体現しています。

ロケット

ロケット

ソーとグルートとともにニダベリアへ向かいます。

武器好きのロケットは最初、ストームブレイカーの製造にも強い興味を示しますが、ソーとの会話では意外なほど思いやりのある一面を見せます。

ソーが父、母、弟、友人、故郷を次々と失ったことを語ると、ロケットは軽口だけで流さず、彼の心が限界に近いことを理解します。

自分の機械義眼をソーへ渡す場面もあります。

ワカンダではバッキーの銃や腕へ興味を示しながら戦い、グルートとともにアベンジャーズ側へ加わります。

しかし最後、グルートが目の前で消えます。

ガーディアンズの他メンバーもほぼ全員消滅し、本作終了時点でロケットは仲間の生死さえ分からないまま地球へ取り残されます。

普段は他人を遠ざけるロケットが、ようやく家族を得た後にその家族を一度に失うことになります。

グルート

グルート

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』後に成長し、本作では反抗的なティーンエイジャーのような姿になっています。

序盤は携帯ゲームばかり見て、ロケットに注意されても反抗します。

しかしニダベリアでストームブレイカーの柄が必要になると、自分の腕を伸ばし、熱せられた武器をつなぎ合わせて切断します。

普段は面倒くさそうにしていても、仲間が本当に必要とする場面では迷わず自分の身体を使います。

完成したストームブレイカーによってソーは復活し、ワカンダへビフレストで移動できるようになります。

つまりグルートの行動がなければ、ソーはサノスへ最後の一撃を与えるところまで到達できませんでした。

指パッチンではロケットの目の前で消滅します。

ロケットに向けた最後の言葉は、二人の関係が単なる相棒以上の家族になっていたことを示します。

ネビュラ

ネビュラ

サノスに反旗を翻したもう一人の養女です。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』後、単独でサノス暗殺へ向かいますが失敗し、捕虜となっています。

サノスは彼女の機械化された身体を分解するように拷問し、ガモーラからソウル・ストーンの場所を聞き出すための材料にします。

その後自力で脱出し、タイタンへ到着します。

そこでサノスがソウル・ストーンを持ち、ガモーラだけがいないことから、姉が殺されたと誰より早く理解します。

ネビュラはかつてガモーラを憎んでいました。

しかし本当は、サノスに苦しめられた自分を姉に助けてほしかったという感情を持っています。

ようやく和解した直後にガモーラを失ったため、サノスへの憎しみはさらに深まります。

指パッチンを生き残り、タイタンではトニーと二人だけになります。

この組み合わせが『エンドゲーム』冒頭の宇宙漂流へつながります。

ティ・チャラ / ブラックパンサー

ティ・チャラ / ブラックパンサー

『ブラックパンサー』直後のワカンダ国王として登場します。

国を世界へ開くと決断したばかりのティ・チャラは、本作で早くもその選択を実行することになります。

スティーブたちからヴィジョンを救う協力を求められると、マインド・ストーンを狙う宇宙軍との戦争になると分かったうえで受け入れます。

ワカンダの技術、軍隊、エネルギー・シールドを地球全体のために提供し、自らブラックパンサーとして最前線へ立ちます。

アウトライダーズ戦ではスティーブと並んで先頭を走り、国王でありながら兵士たちの後ろへ隠れません。

指パッチンではオコエの目の前で消滅します。

国を世界へ開いた直後、その国王自身が突然失われるため、ワカンダも政治的・社会的に巨大な空白を抱えることになります。

オコエ

オコエ

ドーラ・ミラージュ隊長としてティ・チャラとワカンダを守ります。

ナターシャ、ワンダと協力してプロキシマ・ミッドナイトを倒すなど、超人や宇宙人が集まる戦場でも一歩も引きません。

ティ・チャラが指パッチンで消えた時には、支えようと手を伸ばしますが、その身体は灰になり、オコエだけが残されます。

国王への忠誠を人生の中心としてきた人物にとって、守るべき国王が何の前触れもなく消える瞬間です。

それでもオコエは生存し、『エンドゲーム』では混乱した世界でワカンダを支える側に残ります。

シュリ

シュリ

ワカンダの天才科学者であり、ヴィジョンからマインド・ストーンを安全に切り離す役目を担います。

ブルースがヴィジョンの複雑な構造を説明すると、より効率的な神経接続方法を即座に指摘し、世界最高クラスの科学者であるブルースさえ驚かせます。

彼女なら十分な時間があればヴィジョンを生かしたままストーンを取り外せた可能性があります。

しかしブラック・オーダーの侵入によって作業は中断されます。

本作では戦闘より科学面で地球を救う鍵を握っており、ワカンダが単にヴィブラニウム兵器を持つ国ではなく、医学・情報・人工生命研究でも最先端であることを示します。

バッキー・バーンズ / ホワイトウルフ

バッキー・バーンズ / ホワイトウルフ

『シビル・ウォー』後、ワカンダでヒドラの洗脳を解除する治療を受けていました。

本作では精神的に安定し、農作業をする穏やかな生活を送っています。

しかしサノスの軍が迫ると、ティ・チャラから新しいヴィブラニウム製左腕を受け取り、スティーブと再び同じ戦場へ立ちます。

長い間「ウィンター・ソルジャー」という他人の武器にされてきたバッキーが、自分の意思で世界を守るため銃を持つという点が重要です。

ワカンダではロケットと共闘し、アウトライダーズを迎撃します。

指パッチンでは最初期に消滅し、スティーブの目の前で灰になります。

スティーブにとって、ようやく救い出した親友を再び失う瞬間になります。

ジェームズ・“ローディ”・ローズ / ウォーマシン

ジェームズ・“ローディ”・ローズ / ウォーマシン

『シビル・ウォー』ではソコヴィア協定を支持し、その戦いで下半身に重傷を負いました。

本作でも政府や国連とのつながりを持っていますが、スティーブたちが基地へ現れた時、命令通り逮捕することを拒否します。

ローディは協定そのものを否定したわけではありません。

しかし地球が滅びかねない状況で、政治的対立を優先することが現実的ではないと判断しています。

ワカンダではウォーマシンとして大量のアウトライダーズへ空爆を行い、前線を支援します。

指パッチンを生き残るため、『エンドゲーム』ではオリジナル・アベンジャーズ以外の主要生存メンバーとして再び戦います。

サム・ウィルソン / ファルコン

サム・ウィルソン / ファルコン

『シビル・ウォー』後もスティーブと行動を共にし、地下活動を続けています。

エディンバラではワンダとヴィジョンを救出し、ワカンダでは空中からアウトライダーズを攻撃します。

スティーブが政府の肩書を失った後も離れず、個人として彼を信頼していることが分かります。

指パッチンではローディが通信で呼びかけている最中に消滅します。

サムの消失によって、スティーブはバッキーとサムという現代で得た最も近い仲間を同時に失うことになります。

エボニー・マウ

エボニー・マウ

ブラック・オーダーの中でも最も知略と特殊能力に優れた人物です。

強力な念動力を使い、ニューヨークではストレンジの魔術を相手に優位へ立ちます。

サノスを救世主として崇拝し、侵略される側へ「サノスの子となることは救いだ」と語るなど、その思想を宗教的に広める役割も持ちます。

タイム・ストーンを直接外せなかったためストレンジごと宇宙船へ連れ去り、拷問して解除させようとします。

しかしトニーとピーターの作戦によって船外へ吸い出され死亡します。

ブラック・オーダーは圧倒的な強敵ですが、彼ら自身もサノスの大義のため使い捨てられる存在です。

カル・オブシディアン

カル・オブシディアン

ブラック・オーダーの巨漢戦士です。

巨大な肉体と変形する武器を持ち、ニューヨークではアイアンマンとブルースを追い詰めます。

ニューヨークではウォンのポータルによって一度地球の別地点へ飛ばされますが、その後ワカンダ戦へ再登場します。

ハルクバスターに乗ったブルースと戦い、スーツを大きく破壊します。

最終的にはブルースによってワカンダのエネルギー・シールドへ押し込まれ死亡します。

ハルクが出てこない状況でブルース自身が倒したことに意味がある敵です。

プロキシマ・ミッドナイト

プロキシマ・ミッドナイト

コーヴァス・グレイヴとともにエディンバラでワンダとヴィジョンを襲撃します。

槍状の武器を使う高い戦闘能力を持ち、ナターシャとも互角に近い戦いを行います。

ワカンダではアウトライダーズの指揮役として再び登場し、ナターシャとオコエを相手に戦います。

最後はワンダが介入し、巨大な戦闘機械へ投げ込まれて死亡します。

ワンダにとっては、自分とヴィジョンの穏やかな生活を最初に破壊した敵でもあります。

コーヴァス・グレイヴ

コーヴァス・グレイヴ

ブラック・オーダーの暗殺者タイプの戦士です。

彼の槍はヴィジョンのヴィブラニウム製身体を貫き、位相変化能力まで妨害します。

この最初の負傷によって、ヴィジョンは本作を通して本来の強さを十分に発揮できません。

ワカンダでは正面戦闘の裏で研究室へ侵入し、シュリの作業を中断させます。

スティーブを追い詰めますが、最後はヴィジョン自身がコーヴァスの武器を使って刺し殺します。

ヴィジョンに最初の傷を与えた武器が、最後には持ち主自身を倒すことになります。

エイトリ

エイトリ

ニダベリアのドワーフ王で、ムジョルニアを含むアスガルドの武器を作ってきた鍛冶師です。

サノスに脅されてインフィニティ・ガントレットを製造しましたが、約束を破られて同胞を全員殺され、自身の両手も封じられました。

そのためソーが訪れた時には絶望しています。

しかしソーに励まされ、最後の力でストームブレイカーを完成させます。

サノスの最強装備と、それを倒す可能性を持つ武器の両方が同じニダベリアで作られている点が重要です。

ヘイムダル

ヘイムダル

本作冒頭で死亡しますが、その最後の行動が地球を救うための警告になります。

重傷を負いながら暗黒魔法でビフレストを使い、ハルクを地球へ送ります。

その結果ブルースがストレンジとトニーへサノスの存在を知らせ、地球側が戦いの準備を始めることができます。

サノスに殺される直前まで、九つの世界を守る門番としての役割を果たしました。

ロキ

ロキ

『バトルロイヤル』を通じてソーとの関係を修復し、アスガルドの民とともに地球へ向かっていました。

サノスを前にすると、ソーの命を救うためテッセラクトを差し出します。

その後は自分の得意な欺瞞を使ってサノスへ近づき、暗殺を試みますが見抜かれます。

最後に自らを「オーディンの息子」と名乗ることで、長く苦しんできた出自の問題に自分なりの答えを出します。

サノスに首を絞められ死亡し、ソーにとって本作最大の復讐理由の一つになります。

重要アイテム・組織

インフィニティ・ガントレット

6つのインフィニティ・ストーンを同時に保持・使用するための巨大な左手用ガントレットです。

サノスがニダベリアのドワーフたちへ作らせました。

一つのストーンだけでも生身の存在には危険ですが、ガントレットによってサノスは複数の石の力を組み合わせて使用できます。

6つすべてがそろうと、指を鳴らすだけで宇宙全体へ作用するほどの力を発揮します。

ただし指パッチン後はガントレットとサノスの左腕自体が大きく損傷しており、無限の力を完全な無傷で使えるわけではありません。


ストームブレイカー

ソーがニダベリアで新たに作った戦斧です。

エイトリによれば王の武器に相当する特別な装備で、非常に強力な雷を扱えるだけでなく、 ビフレストを呼び出す力 も持ちます。

炉の完成時に柄がなかったため、グルートが自分の腕を切り離して柄にします。

ワカンダではサノスがガントレットから放ったエネルギーを押し切り、胸へ深く突き刺さるほどの威力を見せます。

サノスを倒せる可能性を実際に証明した数少ない武器です。


アイアンマン・マーク50

トニーが本作で使用するナノテクノロジー型アイアンマン・アーマーです。

胸部の装置からナノ粒子が全身へ広がり、瞬時に装着できます。

固定された装備だけでなく、その場でブレード、盾、推進器、拘束装置、大型打撃装置などへ形状を変化させます。

一方でナノ粒子の総量には限界があり、タイタンでサノスとの戦いが長引くほどスーツの再生が追いつかなくなります。

トニーの技術力の到達点であると同時に、「最高のスーツでもサノスには届かない」ことを示す装備です。


アイアン・スパイダー・スーツ

『スパイダーマン:ホームカミング』の最後にトニーがピーターへ見せた新型スーツです。

本作で初めて実戦投入されます。

高高度・宇宙空間への対応能力を持ち、背中から複数の機械脚を展開できます。

トニーがピーターを守るために用意していた装備であり、宇宙船へ吸い上げられて酸欠になったピーターを救います。

正式なアベンジャーズとしてのピーターを象徴するスーツでもあります。


ハルクバスター・マーク2

ハルクが変身を拒否するため、ブルースがワカンダ戦で使用します。

『エイジ・オブ・ウルトロン』の対ハルク用アーマーを発展させた大型スーツです。

今回はトニーではなくブルース本人が乗るという逆転が特徴です。

最後は破損しながらも、ブルースが自分の判断でカル・オブシディアンを倒します。

「ハルクの代用品」として始まりますが、ブルース自身が戦士になるための装備として機能します。


ブラック・オーダー / サノスの子ら

サノスに仕える4人の精鋭、

  • エボニー・マウ
  • カル・オブシディアン
  • プロキシマ・ミッドナイト
  • コーヴァス・グレイヴ

からなる部隊です。

サノス本人がすべての惑星へ行くのではなく、彼らが各地でストーンを回収し、侵略軍を指揮します。

本作ではタイム・ストーンとマインド・ストーンを狙って地球へ派遣されます。

4人ともヒーローたちによって倒されますが、最終的にはサノス本人が目的を達成します。


アウトライダーズ

サノス軍がワカンダへ投入する大量の生物兵器です。

四本腕の獣のような外見を持ち、自分の命をほとんど顧みず標的へ殺到します。

ワカンダのシールドへ身体が焼かれながら押し寄せる姿からも、個々の生命ではなく物量で敵を圧倒するための存在だと分かります。

サノスが掲げる「生命の均衡」という思想とは裏腹に、彼自身の軍では生命が完全な消耗品として扱われています。


ワカンダ

本作の地球側最終決戦の舞台です。

『ブラックパンサー』でティ・チャラが世界へ国を開くと決めた直後、その技術と軍事力が地球全体を守るため使用されます。

ヴィジョンからマインド・ストーンを安全に切り離せる可能性がある唯一の場所として選ばれ、シュリが処置を担当します。

さらにエネルギー・シールド、ドーラ・ミラージュ、ジャバリ族を含むワカンダ軍がサノス軍と正面衝突します。

地球で最も秘密主義だった国家が、人類全体の最後の砦になるという大きな転換です。


タイタン

サノスの故郷だった惑星です。

かつては高度な文明と豊かな都市を持っていましたが、人口と資源の問題によって滅亡し、現在は重力まで不安定な廃墟になっています。

サノスにとっては「自分の警告を誰も聞かなかった結果」の象徴です。

そのため宇宙の半分を消す計画を正当化する最大の根拠になっています。

トニー、ピーター、ストレンジ、クイル、ドラックス、マンティス、ネビュラがサノスと直接戦う舞台でもあります。


ヴォーミア

ソウル・ストーンが存在する惑星です。

レッド・スカルがストーンの番人として存在しており、求める者へ「愛する魂を犠牲にしなければならない」という条件を伝えます。

本作ではサノスがガモーラを犠牲にしてソウル・ストーンを獲得します。

他のストーンの所在地と違い、単純な戦闘や盗みでは攻略できない場所であり、持ち主の感情そのものを代価として要求する特殊な地点です。


ニダベリア

ドワーフたちが神々の武器を鍛えてきた巨大な宇宙鍛冶場です。

中性子星のエネルギーを利用して金属を鍛造します。

ムジョルニアやインフィニティ・ガントレットもここで作られました。

サノスによってほぼ壊滅させられましたが、ソーたちが炉を再起動し、ストームブレイカーを完成させます。

サノスの力を成立させた場所であると同時に、サノスを倒し得る武器を生み出した場所でもあります。


ステイツマン

『マイティ・ソー バトルロイヤル』でアスガルドの生存者たちが乗り込んだ巨大宇宙船です。

地球を目指していましたが、本作冒頭でサノス軍に襲撃されます。

ここでヘイムダルとロキが死亡し、テッセラクトが奪われます。

『バトルロイヤル』の希望に満ちたラストを、本作が開始直後に破壊する舞台です。


ベネター

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが使用する宇宙船です。

ステイツマンの救難信号を受けて現場へ向かい、ソーを救出します。

その後ガーディアンズの各チームが分かれる起点となり、タイタンにも関わります。

本作終了時にはタイタン側の生存者であるトニーとネビュラが宇宙へ取り残されるため、『エンドゲーム』冒頭の重要な移動手段になります。


MCU的に重要なポイント

1. インフィニティ・サーガ10年分の物語が初めて完全に合流する

本作は、それまで別々のシリーズで進んできた物語を一つへ集約します。

『アイアンマン』から続くトニーとアベンジャーズ、『マイティ・ソー』のアスガルド、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宇宙社会、『ドクター・ストレンジ』の魔術、『ブラックパンサー』のワカンダ、『スパイダーマン』のピーターなどが、サノスとインフィニティ・ストーンを中心に同じ事件へ参加します。

『アベンジャーズ』がフェーズ1の集合なら、本作は MCU全体の世界観そのものの集合 です。


2. サノスがついに自ら行動する

『アベンジャーズ』のポストクレジットで初登場して以来、サノスは長く背後の存在でした。

ロキ、ロナン、ガモーラ、ネビュラなどを通して間接的に物語へ影響してきましたが、本作では部下任せにせず、自らストーンを集めます。

しかも本作の構造はサノスの行動を中心に進みます。

ストーンを一つずつ集め、最も愛するガモーラまで犠牲にし、最後には目的を達成します。

この意味で本作は、アベンジャーズ映画でありながら サノスの“ヒーローズ・ジャーニー”を反転させたような作品 でもあります。


3. 6つのインフィニティ・ストーンがすべてそろう

これまでMCUでは、

  • テッセラクト
  • ロキのセプター
  • エーテル
  • オーブ
  • アガモットの目

など、別々の名称と形でストーンが登場してきました。

本作でそれらがすべてサノスのガントレットへ集まり、最後にソウル・ストーンも加わります。

インフィニティ・サーガという長期物語の中心アイテムが、ここで初めて完全な形になります。


4. パワー・ストーンを守っていたザンダーが本編開始前に襲撃される

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の最後でパワー・ストーンはノバ軍へ預けられました。

しかし本作開始時、サノスはすでにそれを所有しています。

つまりザンダーは本編の外で襲撃され、ノバ軍はストーンを守れませんでした。

ヒーローたちが危機を認識する以前から、サノスの戦争が始まっていることを示す重要な設定です。


5. ロキが死亡する

フェーズ1から繰り返し登場し、『アベンジャーズ』では地球侵攻の中心となったロキが、本作冒頭でサノスに殺されます。

最後に「オーディンの息子」と自ら名乗ったことで、長く続いた家族と出自の問題にも一つの答えを出します。

この死はソーの復讐心を決定的にし、MCUの初期から続いた主要人物の一人が退場することで、本作が過去作品の延長ではなく 本当に取り返しのつかない戦争 であることを最初に示します。


6. ヘイムダルが死亡する

ヘイムダルもステイツマンでサノスに殺されます。

しかし死亡直前にハルクを地球へ送り、サノスの襲来を知らせます。

アスガルドの門番として最後まで「他者を必要な場所へ送る」役割を果たした人物です。

ロキとヘイムダルを同じ冒頭で失うことで、『バトルロイヤル』終了直後のソーは再び大きな喪失へ突き落とされます。


7. レッド・スカルが約70年ぶりに再登場する

『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でテッセラクトに触れて消えたレッド・スカルが、ヴォーミアでソウル・ストーンの番人として再登場します。

テッセラクトに飛ばされた後、ストーンを求めた罰として「自分では決して所有できない石へ他者を案内する存在」になっていました。

フェーズ1初期の未解決要素が、インフィニティ・ストーンを通じてここへ回収されます。


8. ガモーラが死亡し、ガーディアンズの物語が大きく変わる

ガモーラは指パッチンではなく、サノスがソウル・ストーンを得るため直接犠牲にした人物です。

そのため他の消滅者とは死の性質が異なります。

この死によってクイルとネビュラはサノスへの感情をさらに強め、『エンドゲーム』で2014年の別時間軸から来たガモーラが現れることで、ガーディアンズの人間関係そのものが大きく変化します。


9. ヴィジョンが二度死亡する

ヴィジョンはワンダによって一度マインド・ストーンごと破壊されます。

しかしサノスが時間を戻して蘇らせ、今度はストーンを直接引き抜いて殺します。

ワンダは愛する相手の死を二度経験します。

この喪失は『エンドゲーム』後も解消されず、『ワンダヴィジョン』の物語を生み出す最大の原因になります。


10. ワンダの能力がサノスを止め得るレベルにあると示される

ワンダはマインド・ストーンを破壊しながら、片手では5つのストーンを持つサノスの前進を一時的に止めます。

本作時点ですでに、彼女の力がアベンジャーズの中でも最高クラスであることが分かります。

ヴィジョンを失った怒りは後の『エンドゲーム』でさらに爆発し、ストーンを持たない過去のサノスを単独で追い詰める力へつながります。


11. トニーとスティーブが最後まで再会しない

本作最大の構造的ポイントの一つです。

『シビル・ウォー』で決裂したアベンジャーズは、宇宙最大の危機が起きても完全には再結成できません。

トニーはタイタン、スティーブはワカンダで戦い、一度も同じ場所へ立ちません。

もし全員が最初から一つのチームだったらサノスを止められたかは断定できません。

しかし、ヒーロー側が分裂した状態で戦争を迎えたことは明確な弱点でした。

『エンドゲーム』ではこの敗北を経て、二人がもう一度向き合うことになります。


12. ピーター・パーカーが正式にアベンジャーズへ加入する

『ホームカミング』ではアベンジャーズ入りを自ら断ったピーターですが、本作では宇宙規模の危機へ自分の意思で残ります。

その覚悟をトニーが認め、宇宙船の中で正式なアベンジャーズにします。

しかし、その日のうちにピーターはトニーの腕の中で消滅します。

念願のアベンジャーズ加入と最初の宇宙戦が、同時にトニーとの最も悲劇的な別れへつながります。


13. アイアン・スパイダーが本格登場する

『ホームカミング』の最後に登場した新スーツを、ピーターが初めて実戦で着用します。

宇宙空間での生命維持、機械脚などにより、従来のスパイダーマン・スーツより大幅に能力が向上しています。

このスーツは『エンドゲーム』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でも重要な装備になります。


14. ストームブレイカーが誕生する

ムジョルニアを失ったソーの新しい象徴となる武器です。

ニダベリアでエイトリが鍛え、グルートの腕が柄になります。

ビフレストを呼び出せるため、ソーは宇宙からワカンダへ直接移動できます。

さらに6ストーン完成直後のサノスへ致命傷に近い一撃を与えられるほど強力で、インフィニティ・ガントレットへ対抗可能な武器として描かれます。


15. ブルースとハルクの関係が完全に崩れる

ハルクがサノスに敗北した後、ブルースが変身しようとしても拒否するようになります。

『アベンジャーズ』ではブルースがハルクを受け入れ、『バトルロイヤル』ではハルク側の人格が成長しました。

本作では二人の意思がぶつかり、どちらか一方が相手を支配する関係では限界があることが明確になります。

この問題が『エンドゲーム』でブルースとハルクを統合するきっかけになります。


16. ワカンダが地球全体を守る戦争へ参加する

『ブラックパンサー』の最後でティ・チャラはワカンダを世界へ開くと決断しました。

本作ではその直後、ヴィジョンを救うため秘密の技術を提供し、サノス軍との戦争まで受け入れます。

長く外部との接触を避けてきた国家が、人類全体のために最前線へ立つ最初の巨大な出来事です。


17. アベンジャーズとガーディアンズが初めて出会う

タイタンでトニー、ピーター、ストレンジがクイル、ドラックス、マンティスと出会います。

最初は敵だと誤解して戦いますが、その後共同作戦を組み、サノスからガントレットを外す寸前まで追い込みます。

地球側と宇宙側のヒーローが本格的に混ざり合うことで、MCUは「別シリーズのクロスオーバー」から一つの宇宙の物語へ完全に変わります。


18. ドクター・ストレンジが唯一の勝利の未来を見る

ストレンジは1400万605通りの未来を見て、その中で勝利できる未来は一つだけだと知ります。

その後タイム・ストーンを渡してトニーを生存させます。

本作だけを見ると不可解な行動ですが、『エンドゲーム』では、トニーが生き残り、量子世界を利用したタイム泥棒を完成させ、最後に自らストーンを使うことが勝利へ必要だったと分かります。

『インフィニティ・ウォー』の敗北そのものが、ストレンジの見た唯一の未来の途中にあります。


19. 「指パッチン/デシメーション」が発生する

サノスは6つのストーンを使い、宇宙の全生命の半分を無作為に消します。

この出来事は後に デシメーション として扱われ、地球だけでなく宇宙全体の社会・政治・家族・経済へ壊滅的な影響を残します。

MCU史上、それまでのどの戦闘よりも大きな結果をもたらした事件です。

しかも被害は都市一つや惑星一つではなく、 宇宙中の全生命の50% です。


20. オリジナル・アベンジャーズの多くが生き残る

指パッチンでは、スティーブ、トニー、ソー、ブルース、ナターシャ、ローディら主要な古参メンバーが生き残ります。

一方でピーター、ティ・チャラ、ストレンジ、ワンダ、サム、バッキー、ガーディアンズの多くなど新世代・次世代のヒーローたちが消えます。

結果として『エンドゲーム』では、MCU初期を支えたヒーローたちが「自分たちが守れなかった世界」と向き合い、失った者を取り戻す物語になります。


21. キャプテン・マーベルへの救難信号

ポストクレジットでフューリーは消滅直前、特殊な通信機を使ってキャロル・ダンヴァースへ連絡します。

フューリーがアベンジャーズ計画より以前から知る最強クラスの宇宙ヒーローを、最後の手段として呼び戻したことになります。

このシーンが『キャプテン・マーベル』を経て、『エンドゲーム』冒頭のキャロル合流へつながります。


22. 『エンドゲーム』と実質的に前後編の関係になる

『インフィニティ・ウォー』は一応一本の映画として終わりますが、物語上は完全に敗北した状態で終了します。

トニーとネビュラはタイタン、地球側はワカンダ、宇宙の半分は消滅、サノスは行方をくらませています。

そのため次の『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、通常の続編というより 本作で起きた敗北への直接的な後編 です。

インフィニティ・サーガのクライマックスはこの二作品を通して完成します。


作品のテーマ

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の中心テーマは、 「大義のために、愛するものを犠牲にできるのか」 です。

この問いはサノスだけではなく、ほぼすべての主要人物へ別の形で突きつけられます。

サノスは宇宙を救うという自分の大義のため、ガモーラを自ら崖から落とします。

クイルはガモーラから頼まれ、サノスに捕まるくらいなら自分が殺そうと引き金を引きます。

ワンダは宇宙を守るため、最後にはヴィジョンのマインド・ストーンを自分の手で破壊します。

ヴィジョンは、自分一人が死ねば宇宙を救えるなら犠牲になるべきだと考えます。

ストレンジはタイム・ストーンを守るためならトニーを犠牲にすると言いながら、未来を見た後は逆にストーンを渡してトニーを生かします。

ソーは多くの仲間を失い、サノスを確実に止めるだけでなく「復讐を本人へ分からせる」ことを求めたため、最後の一撃で頭を狙いません。

そしてスティーブは、これらとは異なる答えを示します。

「命は交換しない」

スティーブはヴィジョン一人を当然のように犠牲にすることを拒み、ワカンダまで移動して全員を救える方法を探します。

結果だけ見れば、ヴィジョンをもっと早く破壊していればサノスを止められた可能性があります。

しかし本作は、スティーブの考えが単純に間違いだったとも描いていません。

問題は、誰かの命を「計算上必要な犠牲」として簡単に扱ってよいのかということです。

サノスの思想はまさにその極端な形です。

宇宙全体の繁栄という巨大な目的を掲げれば、全生命の半分を本人たちの意思とは無関係に殺してよいと考えます。

彼の最大の欠陥は、犠牲を払える強さではありません。

自分だけが「誰を犠牲にしてよいか」を決める権利を持つと思っていることです。


もう一つの大きなテーマが、 「愛は強さであると同時に弱点でもある」 ことです。

MCUではこれまで、仲間や家族への愛がヒーローを強くする要素として描かれてきました。

本作でも同じです。

ソーはロキたちを失ったから立ち上がり、クイルはガモーラを守ろうとし、ワンダはヴィジョンを守り、ネビュラは姉を救おうとします。

しかしサノスはその感情を利用します。

ガモーラはネビュラへの愛情からヴォーミアの場所を教えます。

クイルはガモーラの死を知って冷静さを失います。

ワンダはヴィジョンをすぐに犠牲にできません。

ソーは復讐の感情から、サノスを即死させるより苦しませる一撃を選びます。

愛がなければ彼らはヒーローではありません。

しかし愛があるからこそ、完全な合理性では動けません。

本作はそれを欠点として切り捨てません。

むしろサノスの方が、感情を超えて使命を遂行できる自分を「強い」と考えます。

ところがその強さの行き着く先は、最愛の娘を殺し、宇宙の半分を消し、一人で朝日を見る姿です。

彼の勝利は完全ですが、そこに誰も残っていません。


さらに本作では、 「分裂したままでは最大の脅威へ対抗できない」 という『シビル・ウォー』から続くテーマも重要です。

トニーはスティーブへ電話をかけられません。

スティーブは政府から離れています。

ワンダとヴィジョンは秘密裏に会い、ローディは政治的立場と仲間の間に挟まれています。

その結果、サノスとの戦いは、

  • タイタンのトニーたち
  • ワカンダのスティーブたち
  • ニダベリアから来るソーたち

へ分断されます。

それぞれのチームは非常に強く、実際に何度もサノスを止める直前まで行きます。

しかし誰も全員とはつながっていません。

トニーとスティーブというアベンジャーズの二つの中心が一度も同じ戦場へ立たないことは、単なる演出ではなく本作の敗北を象徴しています。

『シビル・ウォー』でジモは「外から倒せないなら内側から壊す」と考え、アベンジャーズを分裂させました。

本作でサノスはジモと無関係ですが、結果として分裂したアベンジャーズを相手に戦うことになります。


そして最後のテーマが、 「敗北しても、それが物語の終わりとは限らない」 ことです。

本作だけを見ればヒーローたちは完全に負けます。

ガモーラ、ロキ、ヘイムダル、ヴィジョンが死亡し、多数のヒーローが消滅します。

サノスは目的を達成し、朝日を見ています。

しかしストレンジだけは、1400万605通りの未来の中に一つの勝利を見ています。

そしてその人物が、敗北の直前にトニーを生かすためタイム・ストーンを渡しました。

つまり本作のラストは、「すべて終わった」のではなく、 唯一の勝利へ続くために一度すべてを失った地点 でもあります。

それが『エンドゲーム』というタイトルそのものへつながっていきます。


まとめ

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、MCU10年間で積み上げられてきたヒーローとインフィニティ・ストーンの物語を一つに集約しながら、最後にはそのヒーローたちを敗北させるという、インフィニティ・サーガ最大級の転換点となる作品です。

アスガルド難民船を襲撃したサノスは、すでにザンダーからパワー・ストーンを奪っており、ロキからスペース・ストーンを獲得します。さらにノーウェアでリアリティ・ストーン、ガモーラを犠牲にしてヴォーミアでソウル・ストーン、タイタンでストレンジからタイム・ストーンを手に入れ、最後にワカンダでヴィジョンからマインド・ストーンを奪います。

一方ヒーロー側も決して一方的に負け続けたわけではありません。

タイタンではトニー、ストレンジ、ピーター、ガーディアンズ、ネビュラがガントレットを外す直前までサノスを拘束します。

ワカンダではスティーブ、ティ・チャラ、ワンダ、ヴィジョン、ブルース、ナターシャ、ローディ、バッキー、サム、オコエらがブラック・オーダーとアウトライダーズを退け、ソーはストームブレイカーでサノスへ致命傷寸前の一撃を与えます。

それでも、ほんの数秒、ほんの一つの判断が足りません。

クイルはガモーラを失った怒りを抑えられず、ソーは復讐を確実に味わわせるため胸を狙い、ワンダがヴィジョンを犠牲にした決断はタイム・ストーンで覆されます。

そして何より、アベンジャーズは『シビル・ウォー』で分裂したままでした。

トニーとスティーブは、宇宙の命運を決める戦争で一度も再会しません。

本作の敗北は「ヒーローが弱かったから」だけではありません。

それぞれが強く、正しいと思うことを行い、愛する者を守ろうとしたにもかかわらず、全員の選択が完全には噛み合わなかった結果です。

対するサノスは、自分の思想が正しいという一点だけは最後まで迷いません。

ガモーラを本当に愛していながら自ら殺し、6つのインフィニティ・ストーンを集め、ついに指を鳴らします。

バッキー、ティ・チャラ、グルート、ワンダ、サム、マンティス、ドラックス、クイル、ストレンジ、ピーターたちが灰となり、宇宙の全生命の半分が消滅します。

サノスは朝日を眺め、ヒーローたちは何もできず残されます。

しかし完全な絶望の中で、ストレンジだけは一つの勝利の未来を見ていました。

彼がタイム・ストーンよりトニーの命を優先した理由、フューリーが最後に送ったキャプテン・マーベルへの信号、そして生き残った初期アベンジャーズたち。

すべてが次の『アベンジャーズ/エンドゲーム』へつながります。

『インフィニティ・ウォー』は「最強のヒーローたちが集まれば勝てる」というMCUの常識を一度完全に破壊し、10年間の物語を“敗北”で終わらせることで、インフィニティ・サーガ最終章を始めた作品です。