シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
Captain America: Civil War / 2016年
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はMCU第13作、フェーズ3の第1作であり、 これまで世界を救ってきたアベンジャーズが、「強大な力を誰が管理するべきか」という問題と、スティーブ・ロジャースとトニー・スタークそれぞれの個人的な事情によって分裂していく物語 です。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』までのMCUでは、ヒーローたちは対立しながらも最終的には共通の敵へ立ち向かってきました。しかし本作では、ラゴスでの民間人被害、国連が制定する ソコヴィア協定 、バッキー・バーンズを巡る問題、ハワード・スターク夫妻暗殺の真相、そしてソコヴィアで家族を失った ヘルムート・ジモ の計画が重なり、アベンジャーズ自身が最大の敵となります。
ジモはアベンジャーズを力で倒そうとはしません。 彼らの内部にすでに存在する不信、罪悪感、友情、秘密を利用し、アベンジャーズ自身の手でチームを崩壊させること が狙いです。
また、 ティ・チャラ/ブラックパンサー と ピーター・パーカー/スパイダーマン がMCUへ初登場。『ブラックパンサー』『スパイダーマン:ホームカミング』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』へつながるフェーズ3屈指の重要作です。
詳しいあらすじ
1. 1991年――ウィンター・ソルジャーに与えられた暗殺任務
1991年12月16日。ヒドラに拘束されていた バッキー・バーンズ は、コードワードによって人格を封じられ、暗殺者 ウィンター・ソルジャー として任務へ送られます。
バッキーは道路上で一台の車を事故に追い込み、乗っていた男女を殺害。トランクからヒドラが求める物資を回収します。
この時点では被害者の正体も任務の意味も伏せられます。しかし「1991年12月16日」は本作を通して繰り返され、終盤でスティーブ、バッキー、トニーの関係を完全に破壊する真実へつながります。
『ウィンター・ソルジャー』で描かれた「洗脳されたバッキーの過去」を、本作はさらに一歩進め、 本人に選択権がなかった殺人を被害者側はどう受け止めるのか という問題へ踏み込みます。
2. ラゴス――新生アベンジャーズの任務
現在。ナイジェリアのラゴスで、スティーブ、ナターシャ、サム、ワンダの新生アベンジャーズは ブロック・ラムロウ/クロスボーンズ 率いる武装集団を追っています。
ラムロウたちは研究施設から生物兵器を奪おうとしますが、アベンジャーズが阻止。『エイジ・オブ・ウルトロン』のラストで結成された新チームが、すでに実戦部隊として機能していることが分かります。
追い詰められたラムロウはバッキーの名前でスティーブの注意をそらし、身体に仕込んだ爆弾を起動します。
ワンダは爆発を念動力で包み、スティーブと地上の人々を守ろうとします。しかし爆発を空中へ移動させた結果、近くの建物を直撃。そこにいた ワカンダの人道支援関係者 を含む民間人が死亡します。
ワンダは大勢を救おうとして行動しました。それでも犠牲者が出た事実は消えません。ここから「世界を救うアベンジャーズの行動を、誰が監督し、誰が責任を取るのか」という問題が一気に表面化します。
3. ワンダの罪悪感とスティーブの考え
コンパウンドへ戻ったワンダは、ニュースでラゴスの被害が繰り返し報じられるのを見ています。
スティーブは、できる限り多くの人を救うしかなく、それでも全員を救えない時があると語ります。またラムロウの自爆に気づくのが遅れた自分にも責任があると認めます。
スティーブの考えは、戦場に完璧な選択肢がないことを知る兵士としての経験から来ています。しかし外部から見れば、「自分たちで判断し、自分たちで結果を正当化している」とも見えます。
本作はこの時点から、スティーブを完全な正解としては描きません。善意と責任は別問題であり、それがソコヴィア協定の議論へつながります。
4. トニー・スタークとソコヴィアの犠牲者
トニーはMITで B.A.R.F. という記憶再現技術を披露し、1991年に両親と最後に会話した日の記憶を再現します。
若いトニーは父ハワードへ素直になれず、後になって本当は「愛している」と言いたかったと語ります。これは終盤で両親の死の真相を知る場面への重要な伏線です。
講演後、トニーは ミリアム・スペンサー という女性に呼び止められます。彼女の息子チャーリーはソコヴィアで支援活動中、ウルトロンとの戦いに巻き込まれて死亡していました。
ウルトロン誕生のきっかけを作ったトニーにとって、ソコヴィアの犠牲は以前から罪悪感の源でした。しかしここでその犠牲が「数字」ではなく、一人の若者と母親の顔を持つものになります。
トニーがソコヴィア協定へ賛成する最大の背景です。
5. サディアス・ロスとソコヴィア協定
国務長官となった サディアス・ロス がコンパウンドを訪れ、ニューヨーク、ワシントンD.C.、ソコヴィア、ラゴスの被害映像を見せます。
問題は、超人的な力を持つアベンジャーズが国境を越え、どこへ行き誰と戦うかを自分たちだけで決めていることでした。
そこで117か国が支持する ソコヴィア協定 が提示されます。アベンジャーズは国連の監督下に入り、承認された場合にのみ活動することになります。
トニー、ローディ、ヴィジョン、ナターシャは賛成寄り。スティーブとサムは反対します。
トニーはウルトロンを生んだ自分の独断を反省し、外部の制御が必要だと考えます。スティーブはS.H.I.E.L.D.がヒドラに侵食されていた経験から、組織が常に正しい保証はないと知っています。
二人とも過去作品の失敗から学んだ結果、正反対の結論へ到達していることが本作の対立を深くしています。
6. ペギーの死とスティーブの決意
協定への回答を迫られる中、 ペギー・カーター が亡くなります。
葬儀で弔辞を読むのは シャロン・カーター 。彼女がペギーの姪だったことをスティーブはここで知ります。
シャロンは、世間が間違った方向へ進んでいると思うなら、自分が正しいと信じる場所に立ち続けるべきだというペギーの信念を紹介します。
この言葉がスティーブの決意を固めます。
スティーブは国や政府そのものを否定しているのではありません。しかし『ウィンター・ソルジャー』を経た彼は、 権威に従うことと正しいことをすることは必ずしも同じではない と考えています。
7. ウィーン爆破――ティ・チャカ国王の死
ソコヴィア協定の批准式がウィーンで開催され、ナターシャ、ワカンダ国王 ティ・チャカ 、王子 ティ・チャラ らが出席します。
しかし会場近くで爆弾が炸裂し、ティ・チャカが死亡。
監視映像から容疑者として特定されたのは バッキー・バーンズ でした。
父を失ったティ・チャラはワカンダの新国王となり、同時にブラックパンサーとしてバッキーへの復讐を誓います。
ここでティ・チャラはトニーと並行する人物として配置されます。二人とも「家族を殺された男」であり、犯人だと思う相手への怒りに支配されます。
ただし終盤で、二人は正反対の選択をすることになります。
8. ヘルムート・ジモの計画
爆破の真犯人は、ソコヴィア人の ヘルムート・ジモ です。
ジモはヒドラの元工作員から、バッキーの洗脳コードと1991年12月16日の任務について情報を奪います。さらにバッキーに似せた姿を監視映像へ残し、ウィーン爆破犯に仕立て上げました。
彼は超人軍団を作りたいわけでも世界を支配したいわけでもありません。
ジモの狙いは、スティーブが絶対に見捨てられないバッキーを世界的なテロリストにし、アベンジャーズ内部の対立を決定的にすることです。
アベンジャーズの能力ではなく、人間関係を攻撃する。
これがジモというヴィランの最大の特徴です。
9. ブカレスト――ブラックパンサー初登場
バッキーの居場所がブカレストで特定され、スティーブは政府部隊より先に彼のもとへ向かいます。
バッキーは記憶を少しずつ取り戻しながら一人で生活しており、ウィーン爆破を否定します。
武装部隊が突入するとバッキーは逃走。そこへ ブラックパンサー が現れ、父の仇として彼を追います。
スティーブはバッキーを守り、サムも加勢。市街地から高速道路、トンネルまで激しい追跡戦が続き、最終的にウォーマシンと警察が介入して全員を拘束します。
この場面では、スティーブは友人を守り、ティ・チャラは父の仇を討ち、政府はテロ容疑者を逮捕し、バッキーは生き延びようとしています。
全員が自分を正しいと考えていることが、本作の構造を象徴しています。
10. ベルリン――スティーブとトニーの交渉
ベルリンの施設で、トニーはスティーブへ再び協定への署名を求めます。
一時はスティーブも妥協を考えます。しかしワンダが本人の意思に反してコンパウンドから出られない状態だと知り、考えを変えます。
トニーにとっては世論からワンダを守る安全措置です。
スティーブにとっては、「協定に従わない超人が自由を制限される未来」の実例です。
同じ行動を二人が正反対に解釈することで、交渉は決裂します。
それでもこの時点では、二人はまだ互いを友人と考えています。本当に関係が壊れるのはシベリアです。
11. ジモがバッキーを再洗脳する
精神鑑定医になりすましたジモは施設へ潜入し、停電を起こしてバッキーと二人きりになります。
ヒドラのノートからコードワードを読み上げると、バッキーは再びウィンター・ソルジャーへ変化。
トニー、ナターシャ、シャロン、ティ・チャラ、サム、スティーブらを次々と退けて逃走します。
ジモはその間に、1991年12月16日の任務とシベリア施設について必要な情報を聞き出します。
ジモの目的はバッキーを暴れさせること自体ではありません。
必要なのは、アベンジャーズをさらに疑心暗鬼にし、最後の舞台であるシベリアへ導くことでした。
12. 5人のウィンター・ソルジャー
洗脳から戻ったバッキーは、シベリアに自分以外の 5人のウィンター・ソルジャー が冷凍保存されていると説明します。
彼らはスーパーソルジャー血清で強化され、バッキー以上に危険な戦闘員でした。
1991年にバッキーがハワードの車から奪った物資こそ、彼らを作るための血清です。
スティーブたちはジモが5人を解放すると考え、シベリアへ向かうことを決めます。
この判断には世界を守る目的がありますが、政府と十分に情報共有せず独断で行動する点は、協定賛成派が問題視していた部分そのものでもあります。
13. ワンダとヴィジョン――守ることと自由
コンパウンドではワンダが事実上の軟禁状態にあります。
ヴィジョンは彼女を守るためだと考えていますが、ワンダにとっては能力を恐れられ、自由を奪われている状態です。
そこへ引退していた クリント・バートン/ホークアイ が現れ、スティーブのためにワンダを連れ出します。
ヴィジョンが止めようとすると、ワンダは能力で彼を地下へ叩き落とします。
クリントは、外へ出れば人々から恐れられるかもしれないが、それでも戦うと決めるなら立ち上がるしかないと伝えます。
『エイジ・オブ・ウルトロン』に続き、クリントはワンダが自分の意思でアベンジャーとして立つきっかけを作ります。
14. アントマン参戦
スティーブ側にはスティーブ、バッキー、サム、ワンダ、クリントが集まります。
さらにサムの紹介で スコット・ラング/アントマン が参加。
スコットはキャプテン・アメリカ本人を前に完全に舞い上がります。
『アントマン』では局地的な事件を解決したばかりのスコットが、ここで一気にアベンジャーズ級の戦いへ参加します。
彼がスティーブ側につく理由は政治思想というより、サムから頼まれ、キャプテン・アメリカを信頼しているからです。
本作のチーム分けが、単純な協定賛成・反対だけではないことが分かります。
15. ピーター・パーカー/スパイダーマン初登場
トニーはクイーンズで高校生 ピーター・パーカー を訪ねます。
ピーターはすでに特殊能力を得て、自作スーツとウェブ・シューターで街の人助けをしていました。
トニーは映像から正体を特定し、なぜヒーロー活動をするのか尋ねます。
ピーターは、力があるのに何もしなければ、その後に起きた悪いことも自分の責任になると考えています。
これはMCU版スパイダーマンにおける「大いなる力には大いなる責任が伴う」という思想の表現です。
トニーは新しいスーツを与え、ドイツへ同行させます。
ここからトニーとピーターの師弟に近い関係が始まり、『ホームカミング』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』へ続きます。
16. ライプツィヒ・ハレ空港――アベンジャーズ内戦
空港で二つのチームが対峙します。
スティーブ側 - キャプテン・アメリカ - ウィンター・ソルジャー - ファルコン - スカーレット・ウィッチ - ホークアイ - アントマン
トニー側 - アイアンマン - ウォーマシン - ブラック・ウィドウ - ブラックパンサー - ヴィジョン - スパイダーマン
トニーは最後まで投降を求め、スティーブもシベリアの危険を説明します。しかし互いに相手を信用できず、戦闘へ入ります。
重要なのは、ほとんどのメンバーが殺し合うつもりではないことです。
相手は昨日までの仲間であり、目的は拘束や足止めです。
しかし超人同士の戦闘では、殺意がなくても一つのミスが取り返しのつかない結果につながります。
17. スパイダーマン対キャプテン・アメリカ
ピーターはウェブでスティーブの盾を奪い、その強度や投擲技術に興奮しながら戦います。
能力では非常に強力ですが、経験ではスティーブが上。スティーブはピーターを制圧し、出身地を尋ねます。
ピーターが「クイーンズ」と答えると、スティーブは「ブルックリン」と返します。
二人はニューヨークの庶民的な地域出身で、「力があるなら人を助ける」という根本的な価値観も近い人物です。
それでも情報不足と立場の違いで敵同士になっていることが、本作の内戦を象徴しています。
18. ジャイアントマン
スコットは戦況を変えるため、ピム粒子を逆利用して巨大化。 ジャイアントマン となります。
巨大な身体でトニー側を足止めしますが、ピーターが『スター・ウォーズ』のAT-ATを倒す方法を思いつき、脚へウェブを巻きつけます。
トニーとローディも連携し、スコットを転倒させます。
本作で初披露された巨大化能力は、後の『アントマン&ワスプ』『エンドゲーム』でも重要な戦力になります。
19. ナターシャの選択
スティーブ側の目的は空港戦で勝つことではなく、スティーブとバッキーをシベリアへ向かわせることです。
格納庫でブラックパンサーが二人を止めようとすると、ナターシャがティ・チャラを攻撃して逃がします。
ナターシャは協定賛成派ですが、政府を無条件に信頼しているわけではありません。
彼女が最も重視していたのはアベンジャーズが一つでいることでした。
空港で仲間同士が本格的に戦う状況まで進んだことで、命令に従うだけでは解決できないと判断したのです。
20. ローディの墜落
スティーブとバッキーを追うサムへ、ヴィジョンがエネルギー攻撃を放ちます。
サムが回避したため、光線は後方のウォーマシンへ直撃。
スーツが停止し、ローディは高高度から墜落します。
命は助かりますが脊髄を損傷し、両脚に麻痺が残ります。
ここで空港戦の雰囲気は完全に変わります。
仲間同士の「手加減した戦い」でも、本当に取り返しのつかない被害が起こることが示されます。
協定を巡る理性的な議論として始まった内戦は、現実の傷を残しました。
21. ラフト刑務所
サム、ワンダ、クリント、スコットは逮捕され、海上刑務所 ラフト へ収容されます。
ワンダは特に厳重に拘束され、能力を使えない状態にされています。
スティーブが恐れていた「政府の管理下で超人の自由が奪われる」という状況が現実になります。
一方で彼らは実際に国際協定を無視し、空港で大規模戦闘を行った側でもあります。
本作は最後まで、どちらか一方だけを完全な正義にはしません。
22. トニーが真相へたどり着く
トニーは事件を調べ、バッキーの精神鑑定医が偽物だったこと、ウィーン爆破にも不審点があることを知ります。
つまりスティーブは正しかった。
トニーはラフトでサムからシベリアの情報を聞き、政府の命令を無視して単独で向かいます。
ここで協定支持者だったトニー自身が、「許可を待っていては間に合わない」と判断して独断行動を取ります。
シベリアでスティーブと再会したトニーは一時的に和解し、三人でジモを止めようとします。
内戦がここで終わる可能性もありました。
23. ジモの本当の目的
シベリア施設にいた5人のウィンター・ソルジャーは、すでにジモによって殺されていました。
ジモは超人軍団を作るつもりなど最初からありませんでした。
彼はソコヴィアの戦いで妻、息子、父を失っています。
アベンジャーズを力で倒そうとしても、彼らは結束すれば勝ってしまう。
だからジモは、 彼ら自身に互いを壊させる ことを選びました。
外敵に倒された組織は再建できる。しかし内側から崩れた組織は終わる。
ジモが最後に用意した武器は、銃でも兵器でもなく「真実」でした。
24. ハワードとマリア・スターク暗殺の真相
ジモは1991年12月16日の映像を再生します。
車に乗っていたのは ハワード・スタークとマリア・スターク 。
洗脳されたバッキーが車を襲い、ハワードを殴り殺し、マリアの首を絞めて殺害していました。
トニーは両親が殺される瞬間を目の前で見せられます。
そしてスティーブに「知っていたのか」と尋ねます。
スティーブはバッキーが実行犯だとは知らなかったものの、ヒドラが両親の死へ関与していた可能性は知っていたと認めます。
スティーブが黙っていた理由はバッキーを守りたかったからでしょう。
しかしトニーから見れば、友人が両親の死について重大な事実を隠していたことになります。
ここでソコヴィア協定という政治問題は完全に消えます。
25. 「彼は僕の友達だ」「僕もそうだった」
トニーはバッキーへ襲いかかります。
スティーブは、バッキーは洗脳されていて選択の余地がなかったと説明します。
しかしトニーは理屈ではなく、母親を殺される映像を見た直後の息子として動いています。
スティーブが「彼は僕の友達だ」と言うと、トニーは 「僕もそうだった」 と返します。
この一言が本作の悲劇を象徴します。
トニーにとって傷になったのは、バッキーが両親を殺したことだけではありません。
スティーブが真実を隠し、最後の瞬間まで自分よりバッキーを選んだことです。
『アベンジャーズ』以来積み上げた二人の友情が、ここで完全に崩れます。
26. アイアンマン対キャプテン・アメリカ&ウィンター・ソルジャー
シベリア地下施設で最後の戦闘が始まります。
空港戦とは違い、今度は感情が完全に暴走しています。
トニーはバッキーを殺そうとし、スティーブは必死に止めます。
バッキーの金属腕はアイアンマンのアーク・リアクターへ届きかけますが、トニーがユニビームで左腕を破壊。
トニーはスーツの戦闘解析でスティーブの格闘パターンを読み、反撃します。
最終的にスティーブは盾でアイアンマンのアーク・リアクターを破壊し、戦闘不能にします。しかしトニーを殺しません。
立ち去ろうとするスティーブへ、トニーは「その盾は父が作った。お前にはふさわしくない」と叫びます。
スティーブは立ち止まり、盾をその場へ置いて去ります。
これは武器を捨てただけではありません。
スティーブが政府公認の「キャプテン・アメリカ」という立場から離れ、ただのスティーブ・ロジャースとして自分の信念を選ぶ象徴的な場面です。
27. ティ・チャラが復讐を手放す
ブラックパンサーもシベリアまでジモを追っていました。
そこでジモがウィーン爆破の真犯人だと知り、彼の家族がソコヴィアで死亡した経緯を聞きます。
同時に、施設の中ではトニーが両親の復讐のためバッキーを殺そうとしています。
ティ・チャラは、自分も父の復讐に支配され、同じ道を進んでいたことに気づきます。
そして復讐が彼らを蝕んでいる、自分はもうそこから降りると決意。
ジモが自殺しようとすると阻止し、生きたまま法の裁きへ引き渡します。
トニーが復讐へ飲み込まれる場面と同時に、ティ・チャラは復讐を手放します。
本作で最も明確な成長の一つです。
28. ジモの「勝利」
拘束されたジモにエヴェレット・ロスは、計画が失敗したと思うかと問いかけます。
しかしジモは満足しています。
スティーブとトニーは決裂し、ローディは重傷、スティーブ側の仲間は犯罪者となり、アベンジャーズは事実上崩壊しました。
ジモは特殊能力を持たない人間です。
それでも、ロキやウルトロンにもできなかった「アベンジャーズというチームの破壊」を成し遂げました。
この意味で本作の勝者に最も近い人物はジモです。
そしてこの分裂が、『インフィニティ・ウォー』でサノスが地球へ来た時にアベンジャーズが一つではない状況へ直接つながります。
29. ローディのリハビリ
トニーは両脚に麻痺が残ったローディのリハビリを手伝います。
スターク製の歩行補助装置を使い、ローディは再び歩く訓練を始めます。
ローディは、自分は協定へ署名したこと自体を後悔していないと語ります。
判断した時点で正しいと思ったことを選んだ以上、その結果も受け入れるという姿勢です。
これは作品が「協定賛成派は間違っていた」と単純に結論づけないための重要な場面です。
30. スティーブからの手紙
トニーのもとへスティーブから手紙と古い携帯電話が届きます。
スティーブは両親の死について真実を隠していたことを謝罪。
そして、何かあった時には連絡してほしいと伝えます。
二人の関係は壊れましたが、スティーブは完全に縁を切るつもりではありません。
同じ頃、ロスからラフトへの侵入を知らせる連絡が入ります。
トニーは事情を察しながら積極的には止めません。
彼もまた、最後にはスティーブたちを完全な敵として扱うことを選びませんでした。
31. スティーブ、ラフトから仲間を救出
ラフトへ侵入したスティーブは、サム、ワンダ、クリント、スコットらを解放します。
ここでスティーブは完全に政府の管理下から離れます。
協定へ署名せず、国際的な逃亡者となり、盾も手放しました。
以降はサムやナターシャらと秘密裏に活動することになります。
一方クリントとスコットは家族との生活を優先し、後に司法取引を受けて自宅軟禁となります。
アベンジャーズは消滅したわけではありません。
しかし一つの組織ではなく、 トニー側とスティーブ側に分断された状態 でフェーズ3を進むことになります。
ミッドクレジットシーン
バッキーはワカンダに保護されています。
洗脳コードが残っている以上、再び誰かに利用される可能性があるとして、自ら冷凍睡眠へ入ることを選びます。
スティーブはティ・チャラへ、バッキーを匿えば他国から追及されると警告します。
しかしティ・チャラはそれを受け入れます。
画面には巨大なブラックパンサー像とワカンダの景色が映し出されます。
本編で復讐を手放したティ・チャラが、今度はバッキーの治療と保護を引き受ける場面です。
『ブラックパンサー』、そしてバッキーが洗脳を克服して復帰する『インフィニティ・ウォー』へつながります。
ポストクレジットシーン
クイーンズへ戻ったピーターは、空港戦で負った傷をメイおばさんに心配されています。
メイが部屋を出ると、トニーから受け取ったウェブ・シューターから赤い光が伸び、天井へ スパイダー・シグナル が投影されます。
ピーターとトニーの関係が空港戦だけで終わらないことを示し、そのまま『スパイダーマン:ホームカミング』へつながります。
主要キャラクターまとめ

スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ
『ウィンター・ソルジャー』でS.H.I.E.L.D.内部にヒドラが潜伏していた事実を経験したため、組織へ判断を委ねることに強い警戒心を持っています。
協定には、政府が常に正しいとは限らないとして反対します。
一方、本作ではバッキーへの友情によって客観性を失う弱点も描かれます。ハワード夫妻の死へヒドラが関わっていた可能性をトニーへ話さなかったことが、決裂を決定的にしました。
最後には盾を手放し、政府公認のキャプテン・アメリカという立場から離れます。


トニー・スターク / アイアンマン
『エイジ・オブ・ウルトロン』で自分の独断が大惨事を招いたことへの罪悪感から、ソコヴィア協定を支持します。
以前は政府による管理を嫌っていたトニーが、今度は自分自身の判断を完全には信用できなくなっている点が大きな変化です。
終盤では両親の死の真相を知り、理性的な協定支持者から復讐に支配された一人の息子へ変わります。
バッキーが洗脳されていたと理解していても感情を止められず、スティーブとの友情も崩壊します。

バッキー・バーンズ / ウィンター・ソルジャー
ヒドラに長年洗脳され暗殺者として利用されていたスティーブの親友。
本作ではウィーン爆破犯に仕立て上げられ、ジモによって再び洗脳されます。
本人の意思ではなかったとしても、自分の手で多くの人を殺した記憶が残っています。
特にハワードとマリア・スターク暗殺が、トニーとの間に取り返しのつかない問題を生みます。
最後は再び利用される危険を避けるため、ワカンダで自ら冷凍睡眠へ入ります。

ヘルムート・ジモ
ソコヴィアで妻、息子、父を失った元特殊部隊/情報機関関係者。
特殊能力を持たず、アベンジャーズと直接戦って勝てるとは考えていません。
ウィーン爆破、バッキーの洗脳コード、1991年の映像を利用し、チームを内部から崩壊させます。
「アベンジャーズより強い敵」ではなく、 アベンジャーズが抱えていた亀裂を正確に突いた敵 です。
逮捕されても目的は達成しており、後に『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で再登場します。


ティ・チャラ / ブラックパンサー
本作でMCU初登場。
父ティ・チャカを失い、バッキーへの復讐に走ります。
しかしジモが真犯人だと知り、トニーが復讐へ飲み込まれる姿を見て、自分も同じ道を進んでいたと気づきます。
最後はジモを殺さず、法の裁きへ引き渡します。
復讐の連鎖を自分の意思で止めた人物として、トニーとの対比になっています。

ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ
協定には賛成しますが、政府を無条件に信頼しているわけではありません。
彼女が重視しているのはアベンジャーズが一つでいることです。
そのためトニー側に参加しながら、空港ではスティーブとバッキーを逃がします。
白黒を明確に分けず、状況に応じて判断する元スパイらしい立場です。

サム・ウィルソン / ファルコン
スティーブの最も信頼する現在の仲間。
協定に反対し、バッキーについてもスティーブを信じて行動します。
ラフトへ収監された後もスティーブを裏切らず、トニーが単独で助けに行くと判断した時だけシベリアの情報を渡します。
この信頼関係は、後のキャプテン・アメリカ継承へつながります。

ワンダ・マキシモフ / スカーレット・ウィッチ
ラゴスで民間人を死なせたことに深い罪悪感を抱きます。
周囲から危険な存在として見られ、コンパウンドに留められますが、クリントの言葉を受け、自分の意思でスティーブ側として戦うことを選びます。
ヴィジョンとの間には特別な感情が生まれ始めており、『インフィニティ・ウォー』『ワンダヴィジョン』へ続きます。

ヴィジョン
論理的な理由からソコヴィア協定を支持。
一方ワンダに対しては論理だけでは説明できない感情を抱き始めています。
空港戦では集中を欠き、誤射でローディを墜落させます。
完璧に近い人工生命体が、感情によって判断を誤る人間的な側面を見せ始める作品です。


ジェームズ・ローズ / ウォーマシン
軍人として国際的なルールを重視し、協定を支持します。
空港戦でヴィジョンの誤射を受けて脊髄を損傷。
それでも署名した判断そのものは後悔していないと語り、自分の選択と結果を引き受けます。

クリント・バートン / ホークアイ
引退していましたがスティーブの依頼で復帰。
ワンダをコンパウンドから連れ出し、空港戦へ参加します。
逮捕後はラフトへ送られますが、家族のため司法取引を受け、自宅軟禁となります。


スコット・ラング / アントマン
サムの紹介でスティーブ側へ参加。
空港戦では初めて巨大化してジャイアントマンとなります。
本作で協定違反者となったことが、『アントマン&ワスプ』で自宅軟禁されている理由です。


ピーター・パーカー / スパイダーマン
本作でMCU初登場。
クイーンズの高校生で、すでに自警活動を行っています。
「力があるのに何もしなければ、その後の悪いことも自分の責任になる」というヒーロー観を持っています。
トニーに見出されて空港戦へ参加し、ここから『ホームカミング』以降の物語が始まります。

シャロン・カーター
元S.H.I.E.L.D.、現在はCIA所属。ペギー・カーターの姪です。
スティーブへ情報を流し、没収された盾や装備を返すなど政府側にいながら支援します。

サディアス・ロス
『インクレディブル・ハルク』以来の再登場。
国務長官としてソコヴィア協定を提示し、超人であっても国際的なルールの外に存在すべきではないという政府側の立場を代表します。
重要アイテム・組織
ソコヴィア協定
117か国が支持する、アベンジャーズなどの超人活動を国連の監督下へ置く国際協定。
「強大な力には外部からの説明責任が必要」というトニー側と、「政治組織へ良心を委ねることはできない」というスティーブ側を分裂させます。
キャプテン・アメリカの盾
ハワード・スタークがヴィブラニウムで作った盾。
終盤、スティーブはトニーに「父が作った盾だ」と言われ、その場へ置いて去ります。
武器以上に、 キャプテン・アメリカという公的な象徴 として機能します。
ウィンター・ソルジャーの洗脳コード
ヒドラがバッキーを暗殺者状態へ切り替えるコードワード。
ジモがこれを入手し、バッキーを再び洗脳します。
後にワカンダで治療され、洗脳は解除されます。
スーパーソルジャー血清
1991年にハワードが輸送していた血清。
バッキーがハワード夫妻を殺害して奪い、5人のウィンター・ソルジャーを強化するために使われました。
ラフト
海上に存在する超厳重刑務所。
協定に違反したサム、ワンダ、クリント、スコットらが収容されます。
ワカンダ
ティ・チャラの故郷。
本作では国王と王子が国際社会へ登場し、終盤でバッキーを保護します。
本格的な国家描写は『ブラックパンサー』へ引き継がれます。
ブラックパンサー・スーツ
ワカンダのヴィブラニウム技術で作られた戦闘スーツ。
銃弾やバッキーの金属腕にも耐える高い防御力を持ちます。
スパイダーマン・スーツ
トニーがピーターへ提供した高性能スーツ。
本作では一部の機能のみ登場し、『ホームカミング』で詳細が明らかになります。
MCU的に重要なポイント
1. アベンジャーズが事実上崩壊する
本作最大の出来事です。
『アベンジャーズ』で結成され、『エイジ・オブ・ウルトロン』を乗り越えたチームが、外敵ではなく内部対立によって分裂します。
この状態のままサノスの脅威を迎えることが、『インフィニティ・ウォー』の大きな背景になります。
2. スティーブとトニーの友情が崩壊
協定だけなら二人は歩み寄れた可能性があります。
決定的だったのはバッキーとハワード夫妻の問題です。
ただしスティーブは携帯電話を残し、関係修復の可能性をわずかに残します。
3. ブラックパンサー初登場
ティ・チャラがワカンダ王子、ブラックパンサーとして初登場。
父の死への復讐から始まり、最後には復讐を手放す成長を見せ、そのまま『ブラックパンサー』へつながります。
4. スパイダーマンがMCUへ合流
ピーター・パーカーがMCUへ初登場。
トニーとの関係が『ホームカミング』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』へ続きます。
5. バッキーがワカンダへ
洗脳解除のためワカンダで冷凍睡眠へ。
『インフィニティ・ウォー』では治療を終え、ワカンダ製の新しい義手を得て復帰します。
6. アントマンの巨大化能力
スコットが初めてジャイアントマンとなります。
後の作品でも重要な能力です。
7. ワンダとヴィジョンの関係
互いを特別に意識する感情が描かれ、『インフィニティ・ウォー』『ワンダヴィジョン』へ続きます。
8. スティーブが盾を手放す
政府公認のキャプテン・アメリカという立場から離れます。
『インフィニティ・ウォー』では星条旗の盾を持たず登場します。
9. ホークアイとアントマンの自宅軟禁へつながる
ラフトから救出後、家族を優先して司法取引を受けます。
『アントマン&ワスプ』『エンドゲーム』へ直接影響します。
10. ジモがアベンジャーズを内部から破壊
ジモは世界征服も超能力も求めません。
「家族を奪ったアベンジャーズを壊す」という一点だけを目的とし、彼ら自身の秘密を利用して成功します。
作品のテーマ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の中心テーマは、 「正しい目的を持つ者同士でも、正義の方法が違えば敵になり得る」 ということです。
スティーブは自由な判断を守ろうとします。
トニーは力を持つ者に外部からの責任と制御が必要だと考えます。
どちらも世界を守りたいという目的は同じです。
しかしスティーブは組織の腐敗を経験し、トニーは自分の独断が大惨事を招いた経験を持つため、正反対の結論へ到達します。
さらに後半では政治的な「正しさ」より個人的な感情が前面に出ます。
スティーブはバッキーを守りたい。トニーは両親の仇を討ちたい。ティ・チャラは父の仇を討ちたい。ジモは家族を奪ったアベンジャーズへ復讐したい。
その中で復讐を自ら手放せたのがティ・チャラでした。
もう一つのテーマは 責任 です。
能力を持つ者は善意だけを根拠に行動してよいのか。政府へ従えば責任を果たしたことになるのか。洗脳されて殺人を犯したバッキーはどこまで責任を負うのか。
本作は一つの答えを提示するのではなく、 力、自由、責任、友情、復讐が衝突した時、人はどこまで自分の正しさを信じられるのか を描いています。
まとめ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、ソコヴィア協定を巡る政治的対立と、バッキーを巡る個人的な対立が重なり、アベンジャーズが内部から崩壊していく物語です。
トニーはソコヴィアでの犠牲への罪悪感から「力には外部の管理が必要」と考え、スティーブはS.H.I.E.L.D.崩壊の経験から「組織へ良心を委ねることはできない」と考えます。どちらも過去作品で経験した失敗から導いた結論であり、一方だけが完全に正しいわけではありません。
そこへジモがバッキーの過去を利用して介入。ウィーン爆破、洗脳コード、1991年のハワード夫妻暗殺映像を使い、最後にはスティーブとトニーを直接戦わせます。
空港ではかつての仲間が二つのチームへ分かれ、ブラックパンサーとスパイダーマンがMCUへ初登場。ローディは重傷を負い、スティーブ側の仲間はラフトへ収監されます。
そしてシベリアでは協定という大義すら消え、両親を殺されたトニー、洗脳されていたバッキー、親友を守るスティーブという三人の感情が衝突します。
スティーブは盾を置き、トニーとの友情は崩壊。アベンジャーズは事実上二つに分断されます。
本作は、 「最強のチームを倒すには、より強い敵ではなく、彼ら自身に互いを敵だと思わせればいい」 というジモの計画によって、アベンジャーズ最大の弱点が人間関係そのものだったことを描いた作品です。
そしてこの分裂は、後にサノスという史上最大級の脅威が現れた時、地球最強のヒーローたちが一つのチームとして迎え撃てない状況へ直接つながっていきます。

