キャプテン・マーベル
Captain Marvel / 2019年
『キャプテン・マーベル』はMCU公開順第21作、フェーズ3の作品であり、 自分をクリー人の戦士「ヴァース」だと信じていたキャロル・ダンヴァースが、失われた過去とクリー帝国の嘘を知り、誰かに与えられた役割ではなく自分自身の意思で「キャプテン・マーベル」へ立つ物語 です。
本編の主な舞台は1995年で、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の第二次世界大戦パートより後、『アイアンマン』より前に位置します。そのため若き日のニック・フューリーやフィル・コールソン、S.H.I.E.L.D.がまだアベンジャーズを知らなかった時代が描かれます。
本作ではタロス、マリア・ランボー、ヨン・ロッグ、マー・ベル、グースらが登場し、テッセラクトやペガサス計画、 アベンジャーズ計画誕生のきっかけ まで描かれます。序盤の「クリーは正義、スクラルは侵略者」という構図が反転し、キャロルが 自分が何者なのかを他人に決めさせない自由 を取り戻すことが物語の中心です。
詳しいあらすじ
1. ハラで生きるクリー戦士「ヴァース」
物語開始時、 キャロル・ダンヴァース は自分をクリー人の戦士 ヴァース だと信じ、クリー帝国の母星 ハラ で暮らしていました。
彼女には約6年前より前の記憶がなく、断片的な悪夢の中で女性の姿や飛行機の事故を見るだけです。一方、身体には強大なエネルギーを放つ能力があり、首にはその力を制御する装置が付けられています。
上官である ヨン・ロッグ は、感情を抑え、力を完全に制御することこそ優れた戦士の条件だと教えます。キャロルは彼を恩人であり師と信じ、自分はクリーに救われ、能力もクリーから与えられたものだと思っています。
しかし後に、この「教え」自体が彼女を支配する仕組みだったと判明します。キャロルは 記憶、名前、敵味方、力の意味まで他者に定義された状態 から物語を始めます。
2. スプリーム・インテリジェンスとスターフォース
キャロルは任務前、クリー帝国を統治する人工知能 スプリーム・インテリジェンス と接触します。
スプリーム・インテリジェンスは対面する者が最も尊敬する人物の姿で現れますが、記憶を失ったキャロルには、その女性が誰なのか分かりません。この姿の人物こそ、後に地球で ウェンディ・ローソン博士/マー・ベル だったと判明します。
キャロルはヨン・ロッグ率いる精鋭部隊 スターフォース へ所属し、ミン・エルヴァ、コラスらとともに任務へ向かいます。目的は、惑星トルファで行方不明となったクリーの工作員を救出することです。
クリー側は、 スクラル人 を他人の姿や近年の記憶までコピーする危険な侵略種族だと説明しており、キャロルもそれを疑わず使命として戦っています。
3. スクラルの罠と記憶の探索
トルファでの救出作戦は、スクラル側が仕掛けた罠でした。
スクラルの指導者 タロス はクリー人へ擬態してスターフォースを誘い込み、戦闘の中でキャロルを捕らえます。スクラル側が欲しいのは彼女の能力ではなく、失われた記憶の中にある特定の情報でした。
キャロルは装置によって記憶を探られ、地球らしき場所、空軍基地、パイロット仲間の マリア・ランボー 、そしてスプリーム・インテリジェンスと同じ顔をしたローソン博士の姿を断片的に見ます。
スクラルは記憶の中に隠された座標を探します。キャロル自身にも意味は分かりませんが、「クリーになる以前の人生」があった可能性が浮かびます。彼女は拘束を破って脱出し、 自分の過去が存在する地球 へ向かいます。
4. 1995年の地球へ墜落するキャロル
脱出ポッドで地球へ向かったキャロルは、1995年のロサンゼルスにある ブロックバスター へ墜落します。
クリーの通信装置が壊れたため、彼女は地球の電話や家電を改造してヨン・ロッグへ連絡。自分が無事であることと、スクラルが地球へ入り込んだ可能性を報告します。
異常な墜落事件を調査するため、若き ニック・フューリー と フィル・コールソン が現れます。フューリーはスクラルが人間へ変身する姿を目撃し、地球が宇宙規模の事件へ巻き込まれていると理解し始めます。後にアベンジャーズを集める彼にとって、初の本格的な地球外生命体との接触です。
5. 列車での追跡とフューリーが知るスクラルの能力
地球へ潜入したスクラルを追って、キャロルはロサンゼルスの列車へ飛び乗ります。
敵は外見だけでは見分けられず、キャロルは一般人の姿へ擬態したスクラルと車内で激しく戦います。周囲から見れば、彼女が何の罪もない乗客へ突然襲いかかっているようにしか見えません。
フューリーも、同行するコールソンがスクラルの偽物だと気づきます。争いの末に生還し、スクラルが人間社会へ自然に入り込める存在だと理解。ここからキャロルを危険な宇宙人ではなく、協力すべき相手として見るようになります。
6. 記憶に残る店とペガサス計画
キャロルは記憶の中に繰り返し現れた店へ向かい、そこでフューリーと再び接触します。
彼女が持つ情報とS.H.I.E.L.D.の記録を照合すると、記憶に現れる女性が ウェンディ・ローソン博士 であり、彼女が空軍施設で進められていた極秘研究 ペガサス計画 に関わっていたことが分かります。
さらに彼女自身が、かつて空軍パイロット キャロル・ダンヴァース としてローソンと行動し、1989年の事故で死亡したと記録されていました。「ヴァース」は、割れたドッグタグの「DanVERS」の一部から付けられた名にすぎません。自分の名前まで奪われていたと知り、クリーへの疑いが深まります。
7. ペガサス基地で見つかるローソンの記録
キャロルとフューリーは、ローソンが研究していた空軍施設へ向かいます。
そこには事故に関する記録が残されており、ローソンが通常の地球人科学者ではなかったこと、そしてキャロルとマリアが彼女のテストパイロットだったことが明らかになります。
施設ではローソンが飼っていた猫のような生き物 グース とも出会います。そこへS.H.I.E.L.D.上官ケラーの姿をしたタロスが現れますが、二人はクインジェットを奪って脱出し、事故当時を知るマリア・ランボーのもとへ向かいます。キャロルは、クリーの命令ではなく 地球で自分を知っていた人間 から真実を探し始めます。
8. マリアとモニカ――キャロル・ダンヴァースの人生
ルイジアナでキャロルを迎えたマリアは、6年前に死んだと思っていた親友の帰還に衝撃を受けます。
マリアの娘 モニカ・ランボー もキャロルを「キャロルおばさん」のように慕っており、二人は写真や思い出の品を使って彼女の過去を語ります。
キャロルとマリアは、女性が戦闘機の実戦パイロットとして扱われにくかった時代に、ともに限界へ挑んだ親友でした。ローソンは二人の能力を評価し、自分の研究へ参加させていました。
キャロルは、能力を得る前から何度転んでも立ち上がり、飛ぶことを諦めない人間だったと知ります。クリーは彼女に人格を与えたのではなく、 もともとあった人生を覆い隠していた のです。
9. タロスが明かすもう一つの真実
マリアの家へタロスが現れますが、彼は戦うのではなく話し合いを求めます。
タロスが持っていたのは、1989年の事故直前に記録されたブラックボックスの音声でした。そこには、ローソンとキャロルが乗る機体をヨン・ロッグが追撃した事実が残されていました。
事故後、ローソンは自分の本名が マー・ベル であり、クリー人であることを明かします。彼女はクリー帝国の戦争に疑問を持ち、迫害されるスクラルを逃がすため、彼らがクリーの支配から遠く離れた場所へ移動できる ライトスピード・エンジン を開発していました。
スクラルは侵略者ではなく、生き残る場所を探す難民でした。「敵」と教えられていた側の事情を知り、キャロルが信じてきた戦争の構図は完全に崩れます。
10. 1989年の事故とキャロルの力の正体
ブラックボックスの音声と戻り始めた記憶から、キャロルは事故の全貌を思い出します。
ヨン・ロッグに撃墜された後、マー・ベルはライトスピード・エンジンの動力源を守ろうとしますが、ヨン・ロッグに撃たれて死亡します。彼はキャロルへ動力源の場所を問いただします。
しかしキャロルは渡すことを拒み、自らエンジンを撃って破壊。爆発したエネルギーを全身に浴びたことで、現在の強大な能力を得ました。
エンジンのエネルギー源は、地球で長く研究されていた テッセラクト でした。
その後ヨン・ロッグはキャロルをハラへ連れ帰り、クリーの血で命を救う一方、記憶を奪って自軍の兵士として利用していました。序盤の英雄譚は、実際には 敵の力を奪って兵器へ変える計画 だったのです。
11. マー・ベルの研究所とスクラル難民
マー・ベルが残した座標をもとに、キャロル、フューリー、マリア、タロスは改造したクインジェットで宇宙へ向かいます。
地球軌道上には、レーダーから隠されたマー・ベルの研究施設が残されていました。内部で見つけたのは兵器ではなく、タロスの妻や子どもを含む スクラル人の難民たち です。
彼らは6年間ここで身を潜め、タロスの帰りを待っていました。施設にはライトスピード・エンジン開発のための テッセラクト も残されています。キャロルは、軍の所属ではなく目の前で追われる人々を守ることを選びます。
12. スターフォースの襲撃とスプリーム・インテリジェンスによる支配
キャロルたちの動きを追っていたヨン・ロッグとスターフォースが研究所へ到着します。
キャロルは拘束され、再びスプリーム・インテリジェンスの精神世界へ送られます。スプリーム・インテリジェンスは、クリーが彼女を救い、能力を与え、居場所まで用意したのだと主張し、従うよう迫ります。
しかしキャロルは、子どもの頃から空軍時代まで何度倒れても立ち上がってきた記憶を思い出します。彼女を作ったのはクリーではなく、 失敗しても立ち上がり続けた自分自身 でした。
キャロルは首に付けられていた制御装置を破壊します。
「力を抑えるために必要」と教えられた装置こそ、彼女を制限するものだったのです。ここが本作最大の転換点です。
13. 本来の力を解放するキャロル
制御装置から解放されたキャロルは、それまでとは比較にならない力を発揮します。
スターフォースの兵士たちを圧倒し、飛行能力まで自力で使えるようになります。ヨン・ロッグの「感情を抑えろ」「自分を証明しろ」という評価基準から離れ、誰の許可もなく自分の力を使い始めます。
一方、マリアはクインジェットを操縦してミン・エルヴァと空中戦を展開します。特殊能力を持たないマリアも、優れた操縦技術と判断力で娘や仲間を守ります。
フューリーとスクラル難民を守ったのはグースでした。実はグースは猫ではなく、体内から巨大な触手を伸ばし、多数の物体を収納できる宇宙生物 フラーケン です。
グースは追手を飲み込み、さらにテッセラクトまで体内へ収納します。
14. ロナンの艦隊と地球へのミサイル攻撃
ヨン・ロッグは、クリー帝国の最高告発者 ロナン・ジ・アキューザー へ地球への攻撃を要請します。
ロナンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でザンダーを滅ぼそうとしたクリー人であり、本作ではそれより約19年前の姿が描かれます。部下のコラスもスターフォースの一員として行動しており、宇宙側のMCU史がつながります。
ロナンの艦隊は地球へ弾道ミサイルを発射しますが、完全に力を解放したキャロルは宇宙空間へ飛び出し、ミサイルを次々と破壊。さらに艦隊の一部まで単独で撃破します。
その圧倒的な力を目撃したロナンは地球から撤退します。
彼女は一部隊の戦士ではなく、 宇宙艦隊さえ退けられる存在 だったことが示されます。
15. ヨン・ロッグとの決着
地上へ戻ったキャロルの前にヨン・ロッグが立ちはだかります。
彼は能力に頼らず、自分と一対一の格闘で戦って「本当の実力を証明しろ」と挑発します。これまでのキャロルなら、師に認められるためその勝負を受けていたかもしれません。
しかしキャロルは必要のない証明には付き合わず、フォトンブラストでヨン・ロッグを吹き飛ばします。
キャロルはもうヨン・ロッグのルールで自分の価値を測りません。彼を殺さずハラへ送り返し、スプリーム・インテリジェンスへ「戦争を終わらせに行く」と伝えるよう告げます。
クリーに作られた兵士ヴァースはここで終わり、キャロル・ダンヴァースが完全に自分の人生を取り戻します。
16. スクラルとともに宇宙へ向かうキャロル
戦いの後、キャロルはマリアとモニカのもとへ戻ります。
地球にはようやく取り戻した家族同然の友人がいますが、キャロルはすぐ地球へ残る道を選びません。マー・ベルが果たせなかった目的を引き継ぎ、タロスたちスクラル難民が安全に暮らせる新天地を探すため宇宙へ向かうと決めます。
モニカはキャロルを引き止めません。むしろ母マリアにも宇宙へ行くよう勧めるほど、キャロルが戦う理由を理解しています。
キャロルは過去へ戻るのではなく、その記憶を持って新しい使命を選びます。 「何者だったか」を知り、「これから何者になるか」を自分で選ぶ 結末です。
17. フューリーの目の傷と非常用ポケベル
キャロルは宇宙へ出発する前、フューリーのポケベルを改造します。
通常の通信範囲では届かない彼女へ緊急時に連絡できる特別な装置となり、キャロルは「本当の緊急事態の時だけ使う」よう伝えます。
このポケベルこそ、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のポストクレジットでフューリーがデシメーション直前に起動した装置です。
また、フューリーの左目の傷の原因も本作で判明します。彼はグースを完全に普通の猫のように扱っていましたが、抱き上げた際に爪で引っかかれ、後に左目を失うことになります。
後のフューリーの重々しい印象とは対照的に、片目を失う原因はグースでした。
18. 「アベンジャーズ計画」の名前が生まれる
キャロルが去った後、フューリーは今後さらに地球外の脅威が現れる可能性を考え始めます。
一人の強力なヒーローへ頼るのではなく、特殊な能力を持つ者たちを集めて地球を守る構想です。当初の資料には別の名称が使われていましたが、フューリーはキャロルが空軍時代に使っていたコールサイン 「アベンジャー」 を目にします。
そして計画名を書き換え、 「アベンジャーズ・イニシアチブ」 とします。
『アイアンマン』より前に、フューリーが超人的な人物を集める必要性を感じ、なぜ「アベンジャーズ」と名付けたのかが描かれます。キャロル自身は初期メンバーではありませんが、 チーム誕生の発想と名称の原点の一つ です。
ミッドクレジットシーン
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のデシメーション後。
生き残った スティーブ・ロジャース、ナターシャ・ロマノフ、ブルース・バナー、ジェームズ・ローズ たちは、フューリーが消滅直前に起動したポケベルをアベンジャーズ・コンパウンドで解析していました。
しかし突然、ポケベルの信号が途切れます。
メンバーが原因を調べようとした直後、背後にキャロルが現れ、フューリーの居場所を尋ねます。
1995年に宇宙へ旅立ったキャロルが、フューリーの救難信号を受けて約23年ぶりに地球へ戻ったことを示し、そのまま『アベンジャーズ/エンドゲーム』へつながる場面です。
ポストクレジットシーン
1995年。
フューリーのデスクへやって来たグースが苦しそうに身体を震わせ、体内へ収納していたテッセラクトを吐き出します。
これによって、マー・ベルの研究施設にあったテッセラクトが再びS.H.I.E.L.D.の管理へ戻り、後の『アベンジャーズ』でペガサス計画の研究対象となっている流れがつながります。
主要キャラクターまとめ

キャロル・ダンヴァース / キャプテン・マーベル
元アメリカ空軍パイロット。1989年の事故でテッセラクト由来のエネルギーを浴び、クリーに記憶を消されて「ヴァース」としてスターフォースへ加入します。
本作では、 自分の力も人生も他人に評価してもらう必要はない と理解し、クリーの支配を脱してスクラル難民を守るため宇宙へ旅立ちます。

ニック・フューリー
1995年当時のS.H.I.E.L.D.エージェント。キャロルやクリー、スクラルとの事件を通して、通常の軍や諜報機関では対処できない脅威を知ります。その経験が、特殊な力を持つ者を集める アベンジャーズ計画の発想源 になります。

タロス
スクラル人の指導者。序盤では敵として登場しますが、実際にはクリーの攻撃で故郷を失い、家族と仲間を探していました。目的は征服ではなく生存であり、本作の 敵味方の反転 を象徴します。後の『ファー・フロム・ホーム』『シークレット・インベージョン』にも登場します。

マリア・ランボー
キャロルの空軍時代の親友で、モニカの母。優秀なパイロットとしてローソンの研究へ参加していました。記憶を失ったキャロルへ 能力を得る前の彼女がどんな人間だったか を伝える、地球との最大のつながりです。

モニカ・ランボー
マリアの娘で、幼い頃からキャロルを慕っています。後に『ワンダヴィジョン』で成長した姿が登場し、『マーベルズ』ではキャロルと再会するため、ランボー家とキャロルの関係の出発点となる人物です。

ヨン・ロッグ
スターフォース隊長でキャロルの師。実際にはマー・ベルを殺し、事故後のキャロルをハラへ連れ帰った張本人です。「感情を制御しろ」と教えながら力を抑え、 自分の価値を他人の評価へ委ねる状態 を象徴します。

マー・ベル / ウェンディ・ローソン博士
地球ではウェンディ・ローソン博士として活動したクリー人科学者。戦争に疑問を持ち、スクラル難民を逃がすためライトスピード・エンジンを開発しました。彼女の研究と意思が、キャロルの新しい使命へ受け継がれます。

グース
猫のように見える宇宙生物 フラーケン 。触手でスターフォース兵を拘束し、テッセラクトまで体内へ収納します。フューリーの左目の傷を作った張本人でもあり、コミカルながら物語上も重要な存在です。
スプリーム・インテリジェンス
クリー帝国を統治する人工知能。キャロルにはマー・ベルの姿で現れ、「クリーに救われた」と思い込ませて能力と思想を管理します。クリー帝国という 体制そのものの支配 を象徴する存在です。
重要アイテム・組織
テッセラクト
内部に スペース・ストーン を持つ青い立方体。マー・ベルがライトスピード・エンジンの動力へ利用し、その爆発がキャロルの能力の源になります。本作後はグースを経てS.H.I.E.L.D.へ戻り、『アベンジャーズ』へつながります。
ライトスピード・エンジン
マー・ベルがスクラル難民をクリー帝国の支配圏外へ逃がすために開発した超光速移動技術。テッセラクトのエネルギーを動力とし、その爆発がキャロルの能力を生みます。
ペガサス計画
本作時点では空軍施設で進められていたテッセラクト研究計画。ローソンのライトスピード・エンジン研究にも使われ、後の『アベンジャーズ』冒頭のテッセラクト研究へつながります。
クリー帝国とスターフォース
高度な科学技術と軍事力を持つ宇宙文明。スターフォースはヨン・ロッグ率いる精鋭部隊で、ミン・エルヴァやコラスが所属します。本作ではクリー側の 「自分たちは正義」というプロパガンダ も重要です。
スクラル人
他者の外見や最近の記憶をコピーできる種族。序盤では侵略者と説明されますが、実際にはクリーとの戦争で故郷を失った難民です。後の『シークレット・インベージョン』へつながります。
フラーケン
グースの本当の種族。猫に見えますが、触手を伸ばし、人間や物体を体内へ収納できます。本作ではスターフォース兵とテッセラクトを飲み込みます。
フューリーの非常用ポケベル
キャロルが宇宙へ出発する前に改造した通信装置。『インフィニティ・ウォー』でフューリーが起動し、『エンドゲーム』でキャロルが地球へ戻るきっかけになります。
MCU的に重要なポイント
1. キャプテン・マーベルの誕生
キャロル・ダンヴァースの起源が描かれます。能力がテッセラクト由来であり、ヒーロー誕生とインフィニティ・ストーンの歴史が直接結びつきます。
2. アベンジャーズ計画の発想と名称
フューリーは地球外脅威へ備える必要性を知り、キャロルの空軍時代のコールサイン「アベンジャー」から アベンジャーズ・イニシアチブ を名付けます。
3. テッセラクトの空白期間を補完する
ハワードが回収した後、『アベンジャーズ』でS.H.I.E.L.D.が研究するまでの間に、テッセラクトがマー・ベルの研究へ使われていたと判明します。
4. 若きニック・フューリーとコールソン
『アイアンマン』以前のS.H.I.E.L.D.と、フューリーが宇宙の脅威を現実として認識していく過程が描かれます。
5. クリーとスクラルの戦争を別の角度から描く
クリー帝国とスクラルの戦争が描かれ、スクラルは単純な侵略者ではなく迫害された難民として登場します。後の『シークレット・インベージョン』へつながる設定です。
6. ロナンとコラスの過去
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のロナンとコラスが1995年時点でクリー帝国側の戦力として登場します。特にロナンはキャロルの力を見て撤退し、彼女を将来的な脅威として認識します。
7. ランボー家が今後のMCUへつながる
幼いモニカ・ランボーが初登場し、キャロルとの家族同然の関係が示されます。この関係は『ワンダヴィジョン』を経て、『マーベルズ』で大きな意味を持つことになります。
作品のテーマ
本作の中心テーマは、 「自分が何者かを決める権利は誰にあるのか」 です。
キャロルは名前、故郷、恩人、敵までクリーから与えられた情報を信じていました。しかし真実を知った後はクリーへ戻ることも、地球で昔の生活へ戻ることもせず、スクラルを助ける道を自分で選びます。
ヨン・ロッグが求めたのは感情の抑制と服従ですが、キャロルが克服するのは感情ではなく、 他人の評価によって自分を小さくすること です。同時に、「敵」と教えられた相手を自分の目で確かめる重要性も描かれます。
まとめ
『キャプテン・マーベル』は、キャロル・ダンヴァースというヒーローの誕生を描くだけでなく、MCUの歴史を1995年へ遡り、ニック・フューリー、S.H.I.E.L.D.、テッセラクト、クリー帝国、スクラル、そしてアベンジャーズ計画の起源を一つの物語へ結びつける作品です。
キャロルはクリーから「力を与えられた戦士」ではなく、地球人として生きていた過去を奪われ、その力を制限されていました。真実を知った彼女はヨン・ロッグやスプリーム・インテリジェンスの評価から離れ、自分自身の意思でスクラルを守る道を選びます。
そして彼女との出会いを通して、フューリーは一人の英雄だけでは地球を守れない未来を想定し、後のアベンジャーズ計画へ進みます。物語自体は『アイアンマン』より前ですが、ミッドクレジットでは『インフィニティ・ウォー』直後へ飛び、キャロルが『エンドゲーム』へ合流するところまでを直接つなぐ、 MCUの過去とインフィニティ・サーガ終盤を結ぶ重要作 です。

