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スパイダーマン:ホームカミングのポスター

スパイダーマン:ホームカミング

Spider-Man: Homecoming / 2017年

『スパイダーマン:ホームカミング』はMCU公開順第16作、フェーズ3の第4作であり、 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でアベンジャーズの戦いを経験した高校生ピーター・パーカーが、「大きな事件を解決して認められること」ではなく、目の前の人々を守ることこそスパイダーマンの役割だと学ぶ物語 です。

本作ではクモに噛まれた経緯やベンおじさんの死を改めて描かず、すでに能力を持つピーターの「ヒーローとしての精神的な成長」に焦点を当てます。

ニューヨーク決戦の残骸から生まれたバルチャー、ダメージ・コントロール局、トニー製スパイダーマン・スーツ、AI「カレン」、ネッドやMJなど、後のMCUへ長くつながる要素も多数登場します。

本編は『シビル・ウォー』から数か月後の 2016年秋ごろ に位置します。冒頭の「8年後」という表示はMCU全体の時系列とは一致せず、現在では時系列上の不整合として整理されています。


詳しいあらすじ

1. ニューヨーク決戦の後始末

2012年、アベンジャーズとチタウリの戦いで破壊されたニューヨークでは、残骸処理業者 エイドリアン・トゥームス が瓦礫の撤去を請け負っていました。

ところが政府とトニー・スターク側が関与する ダメージ・コントロール局 が現れ、仕事を突然引き継ぎます。人員や機材へ投資していたトゥームスは大きな損失を受けます。

怒った彼は、すでに回収していたチタウリの残骸を政府へ返さず、部下の フィニアス・メイソン に解析させます。そして宇宙技術を利用した武器や飛行装備を作り、闇市場へ密売するようになります。

本作のヴィランは、 アベンジャーズが勝利した後の「後始末」から生まれた存在 です。


2. アベンジャーズに憧れるピーター

『シビル・ウォー』でトニー・スタークにスカウトされた ピーター・パーカー は、ドイツでキャプテン・アメリカたちと戦った経験に興奮していました。

しかしニューヨークへ戻ると、トニーは彼を正式なアベンジャーズには加えず、学校生活へ戻って地域の人々を助けるよう求めます。連絡役の ハッピー・ホーガン も、ピーターから届く活動報告をほとんど相手にしません。

クイーンズへ戻ったピーターは、自転車泥棒や近所のトラブルを解決する「親愛なる隣人」として活動しますが、本人はもっと大きな事件を解決してトニーに認められたいと考えています。


3. チタウリ兵器を使うATM強盗

ある夜、ピーターはアベンジャーズのマスクをかぶったATM強盗に遭遇します。

犯人たちは普通の銃ではなく、トゥームス一味がチタウリ技術から作った高出力兵器を持っていました。ピーターは強盗を止めますが、戦闘の余波で近所の店まで破壊されます。

これまで見たことのない兵器が街へ流れていると知ったピーターは、自分で出所を追い始めます。

その夜、スパイダーマン姿で自室へ戻ったところを親友の ネッド・リーズ に見つかり、正体まで知られてしまいます。以降ネッドは、ピーターの最初の本格的な協力者になります。


4. リズのパーティーとバルチャー

ピーターは片思いしている先輩 リズ のパーティーへ招かれますが、会場近くで異常な光を見つけて抜け出します。

そこではトゥームスの部下たちが、チタウリ技術を改造した武器を アーロン・デイヴィス へ売ろうとしていました。

ピーターが介入して追跡すると、巨大な金属翼を装着した バルチャー が登場。ピーターを上空へ連れ去り、そのまま落下させます。

スターク製スーツのパラシュートにも絡まり、ピーターは湖へ墜落しますが、遠隔操作されたアイアンマンに救出されます。


5. トニーの警告を無視して捜査を続ける

トニーはピーターへ、危険な武器の件には大人側で対応しているので深入りしないよう警告します。

しかしピーターには「子ども扱いされた」と感じられます。敵が落とした紫色のエネルギーコアをネッドと解析し、さらにトゥームスの部下へ発信器を取り付けます。

信号がワシントンD.C.方面へ向かったため、ピーターは学力コンテストの遠征を利用して追跡します。

移動中、ネッドはスターク製スーツに 「補助輪モード」 が設定されていると発見。解除すると、多数のウェブ機能や音声AI 「カレン」 が使用可能になります。

ピーターは装備が強くなれば自分も一流のヒーローになれると考えます。


6. ダメージ・コントロール局の倉庫

ワシントンでトゥームス一味を追ったピーターは、彼らがダメージ・コントロール局の輸送車から宇宙技術を盗もうとしている現場へ遭遇します。

強奪を妨害しますが、逆に輸送車へ閉じ込められ、そのまま巨大な保管施設へ運ばれてしまいます。

そこでカレンの分析から、学校へ持ち込んだ紫色のコアが 放射線を受けると爆発する危険物 だと判明します。

しかしコアはネッドが持ったままです。

ピーターは自分の捜査によって、知らないうちに友人たちまで危険へ巻き込んでいたことに気づき、急いで施設から脱出します。


7. ワシントン記念塔で仲間を救う

ネッドが持っていたコアは保安検査のX線を浴び、 ワシントン記念塔 のエレベーター内で爆発します。

リズたちが乗ったエレベーターは高所で破損し、落下寸前になります。

ピーターは塔の外壁を登り、スターク製スーツの機能を使って内部へ侵入。落下するエレベーターをウェブで止め、仲間たちを救出します。

スパイダーマンは学校でも人気者になりますが、そもそもの危険物を持ち込んだのはピーターです。

ヒーローとして活躍していても、自分の未熟な判断が別の危機を作っていることを示す場面です。


8. スタテン島フェリーの武器取引

ピーターはアーロン・デイヴィスから、トゥームス一味の次の取引が スタテン島フェリー で行われると聞き出します。

現場では犯罪者 マック・ガーガン らが武器を購入しようとしていました。ピーターが介入するとFBIも突入し、トニー側が本当に捜査を進めていたことが分かります。

しかしバルチャーとの戦闘で高出力兵器が暴発し、フェリーが真っ二つに裂けます。

ピーターは大量のウェブで船体をつなごうとしますが支えきれず、トニー本人がアイアンマンとして現れて乗客を救います。

ピーターは敵を捕まえることに夢中になり、守るべき一般人を自分の独断で危険へさらしてしまいました。


9. トニーがスーツを没収する

事故後、トニーはピーターを厳しく叱ります。

ピーターは「スーツがあればもっと上手くできる」と訴えますが、トニーは、 スーツなしでは何者でもないなら、そのスーツを持つ資格はない という考えを示し、スターク製スーツを回収します。

ピーターはAI、特殊機能、アベンジャーズの後ろ盾を一度に失います。

しかしこの出来事によって初めて、「トニーに認められるため」ではなく、 自分がなぜスパイダーマンを続けるのか を考えなければならなくなります。


10. 普通の高校生へ戻るピーター

スーツを失ったピーターは、一度ヒーロー活動から距離を置いて学校生活へ戻ります。

学力コンテストの仲間と過ごし、勇気を出してリズを ホームカミング・パーティー へ誘います。リズも受け入れ、ようやく普通の高校生として大切な時間を過ごせそうになります。

本作タイトルの「ホームカミング」は学校行事の名称ですが、一度アベンジャーズの世界へ飛び出したピーターが、クイーンズと日常へ戻る物語でもあります。

しかしパーティー当日、リズの家へ迎えに行ったピーターを玄関で迎えたのは エイドリアン・トゥームス でした。


11. バルチャーはリズの父親だった

ピーターはここで初めて、バルチャーがリズの父親だと知ります。

トゥームス自身も最初はピーターの正体に気づいていません。しかし車で二人を学校へ送る途中、リズがピーターの不可解な行動について話したことで、ワシントンやパーティーでスパイダーマンと遭遇した日時が一致すると気づきます。

リズを降ろした後、トゥームスはピーターへ正体を見抜いたことを告げます。

娘をワシントンで救ってくれたことには感謝するとしつつ、今後商売を邪魔すればメイや大切な人々も殺すと脅します。

敵が 家族を愛する父親でもある ことが、本作最大の仕掛けです。


12. 誰にも認められなくても戦う

ピーターは一度リズと会場へ入りますが、トゥームスが今夜も大きな計画を実行しようとしていると気づきます。

スターク製スーツはなく、トニーから任務を与えられたわけでもありません。成功してもアベンジャーズ入りを約束されているわけではありません。

それでもピーターはホームカミングを離れ、以前自作した ホームメイド・スーツ を着て戦いへ向かいます。

序盤は「トニーに認められたい」から大事件を追っていました。しかし今は、 危険を知っている自分が止めるべきだから戦う と決めています。

ここで初めて、ピーターは自分の意思だけでスパイダーマンを選びます。


13. ショッカー戦とネッドの支援

学校を出ようとしたピーターの前に、二代目ショッカーとなった ハーマン・シュルツ が現れます。

ホームメイド・スーツしかないピーターは強力なガントレットに苦戦しますが、ネッドの協力によって勝利します。

その後ネッドは学校のコンピューターからトゥームスを追跡し、自ら望んでいた 「イスの男」 としてピーターを支援します。

ピーターはトニーの庇護から離れ、自分で判断して行動するようになりますが、一人ですべてを解決するわけではありません。

自立とは誰の助けも借りないことではなく、自分で責任を持って仲間と協力することだと分かります。


14. 瓦礫の下から立ち上がる

トゥームスの隠れ家へたどり着いたピーターに対し、トゥームスは「スタークのような大物は自分たちのような人間を気にも留めない」と語ります。

ピーターが退かないと分かると、建物の支柱を破壊し、ピーターを大量の瓦礫の下へ埋めます。

一人になったピーターは恐怖で泣き、「助けて」と叫びます。しかし水たまりに映る自分の顔と破れたマスクを見て、自分自身を奮い立たせます。

そしてスターク製スーツもアイアンマンの救援もないまま、自分の力で瓦礫を持ち上げます。

スーツが自分をスパイダーマンにしているのではないと証明する、本作最大の成長場面です。


15. アベンジャーズ・タワーの積荷強奪

トゥームスの最後の狙いは、 アベンジャーズ・タワー から新基地へ運ばれる大量の装備でした。

輸送機にはスターク製装備だけでなく、過去の戦いで回収された危険物も積まれています。

トゥームスは飛行中の輸送機へ侵入し、ピーターも機体へ飛び移って戦います。戦闘で輸送機は制御を失いますが、ピーターは市街地への墜落を避けることを優先し、コニーアイランド付近へ誘導します。

この時のピーターは、もう手柄のために戦っていません。

危険な技術が犯罪者へ流れ、人々が傷つくことを止めるために行動しています。


16. バルチャーを倒し、命まで救う

墜落後もトゥームスは装備を持って逃げようとします。

しかし長年使用してきたウィング・スーツは損傷し、限界に達していました。ピーターは爆発の危険を警告しますが、トゥームスは飛び立とうとしてスーツが爆発します。

ピーターは敵を見捨てず、炎の中からトゥームスを救出します。そして積荷と一緒にウェブで固定し、ハッピーへ知らせを残します。

トゥームスはピーターや家族を脅し、何度も命を奪おうとした敵です。それでも救うことで、ピーターは 敵を倒すことより人を死なせないことを優先できるヒーロー へ成長します。


17. リズとの別れ

トゥームスは逮捕され、リズ一家はニューヨークを離れることになります。

ピーターは学校でリズと別れますが、自分がスパイダーマンであることは説明できません。

これまでピーターは、パーティー、学力コンテスト、ホームカミングなど大切な場面で何度も突然姿を消してきました。ヒーローとして街を救えても、秘密を守るため人間関係を失うことがあります。

リズの後を継いで学力コンテスト・チームのリーダーになったミシェルは、自分を 「MJ」 と呼ぶよう仲間へ伝えます。


18. アベンジャーズ加入を断るピーター

事件後、ハッピーはピーターをアベンジャーズの新基地へ招きます。

トニーは彼の働きを認め、正式な アベンジャーズ加入 と新しい高性能スーツを提案します。これは序盤のピーターが最も望んでいた未来です。

しかしピーターは申し出を断り、今はクイーンズで「親愛なる隣人」として活動すると決めます。

帰宅すると、トニーから返却されたスターク製スーツが置かれていました。今のピーターにとってスーツは、自分をヒーローにするものではなく、ヒーローである自分が使う装備です。

そして着替えた瞬間、 メイおばさん にスパイダーマン姿を見られ、本編は終わります。


ミッドクレジットシーン

刑務所へ入ったトゥームスは、フェリーでの取引相手だった マック・ガーガン と再会します。

ガーガンはスパイダーマンを恨む仲間がいると語り、トゥームスが正体を知っているという噂を聞いたと尋ねます。しかしトゥームスは否定し、ピーターの秘密を守ります。

ピーターがリズを救い、最後にはトゥームス自身まで助けたことが影響していると考えられます。

ガーガンは原作で スコーピオン となる人物で、将来のヴィラン化を示す伏線でもあります。


ポストクレジットシーン

学校教材として本編中にも登場した キャプテン・アメリカの教育ビデオ が流れます。

スティーブは「忍耐」の大切さを真面目に語りますが、長いエンドクレジットを待った観客へのメタ的なジョークです。

同時に、アベンジャーズが戦場だけでなく学校教材にまで登場するほど、MCU世界の日常へ浸透していることも分かります。


主要キャラクターまとめ

ピーター・パーカー / スパイダーマン
ピーター・パーカー / スパイダーマン(2)

ピーター・パーカー / スパイダーマン

本作の主人公。15歳の高校生です。

序盤はトニーに認められ、アベンジャーズへ入ることを目標にしています。しかし失敗によってスターク製スーツを失い、最後には誰の評価も関係なくトゥームスを止めます。

正式なアベンジャーズ加入まで断ることで、 自分がどんなヒーローになるかを自分で選べる人物 へ成長します。

エイドリアン・トゥームス / バルチャー
エイドリアン・トゥームス / バルチャー(2)

エイドリアン・トゥームス / バルチャー

本作のメインヴィラン。

残骸処理の仕事をダメージ・コントロール局に奪われ、チタウリ技術を利用した武器密売を始めます。

家族を大切にする父親ですが、商売を守るためなら殺人や脅迫も行います。リズの父親でもあり、ピーターにとって敵と日常が直接つながる存在です。

トニー・スターク / アイアンマン

トニー・スターク / アイアンマン

ピーターをスカウトし、スターク製スーツを与えた先輩ヒーロー。

本作では戦力として利用するより、危険から遠ざけようとする保護者・指導者に近い立場です。

フェリー事故ではスーツを没収しますが、最後には成長を認めてアベンジャーズ加入を提案します。この疑似親子的な関係は後のMCUでも重要になります。

ネッド・リーズ

ネッド・リーズ

ピーターの親友で、偶然スパイダーマンの正体を知ります。

スーツの解析、敵の追跡、ショッカー戦の支援などを行い、自ら 「イスの男」 としてピーターを支えます。

特殊能力を持たなくても欠かせない最初の協力者です。

リズ・トゥームス

リズ・トゥームス

ピーターが片思いしている先輩で、学力コンテスト・チームの中心人物。

終盤にバルチャーの娘であることが判明します。父の犯罪は何も知りませんが、逮捕によって自分の生活まで失います。

ヒーローとヴィランの戦いの影響を受ける普通の家族として重要です。

ミシェル・ジョーンズ(MJ)

ミシェル・ジョーンズ(MJ)

ピーターのクラスメイト。

皮肉っぽく周囲をよく観察しており、終盤に自分を 「MJ」 と呼ぶよう仲間へ伝えます。

本作ではまだピーターとの恋愛関係はありませんが、『ファー・フロム・ホーム』『ノー・ウェイ・ホーム』で最重要人物の一人になります。

メイ・パーカー

メイ・パーカー

ピーターの叔母であり育ての親。

ヒーロー活動を知らず、普通の保護者としてピーターを心配しています。

ラストでスターク製スーツを着たピーターを目撃し、ついに秘密を知ることになります。

ハッピー・ホーガン

ハッピー・ホーガン

トニーの側近で、ピーターのお目付け役。

最初は活動報告をほとんど相手にしませんが、輸送機の積荷をピーターが守ったことで態度を変えます。

後のスパイダーマン作品でもピーターとメイを支える重要人物です。

重要アイテム・組織

スターク製スパイダーマン・スーツ

トニーがピーターのために作った高性能スーツ。

多数のウェブ機能、偵察機能、パラシュート、AIカレンなどを搭載しています。

本作では一度没収されることで、 スーツがピーターをヒーローにするのではない と示されます。


AI「カレン」

スターク製スーツに搭載された音声AI。

敵の分析やウェブ機能の選択をサポートし、ピーターは恋愛相談まで行います。

便利な一方、後半ではカレンなしでも判断し戦えるかが試されます。


ホームメイド・スーツ

トニーにスカウトされる以前からピーターが使用していた自作装備。

特殊機能はありませんが、終盤ではこの装備でトゥームスを追います。

ピーターのヒーロー性がスタークの技術から独立していることを象徴します。


バルチャーのウィング・スーツ

チタウリ由来の技術などをメイソンが再構成した大型飛行装備。

巨大な翼と鉤爪、高速飛行能力を持ち、空中戦ではスパイダーマンを圧倒します。


チタウリ技術と闇市場の兵器

ニューヨーク決戦後に残された宇宙技術を、トゥームス一味が再利用したものです。

本作では、ヒーローが勝利した後にも危険な技術が残り、 後始末を誤れば次の犯罪を生む ことが描かれます。


ダメージ・コントロール局

超人事件後の残骸や危険物を回収・保管する政府系組織。

ニューヨーク決戦後、トゥームスの仕事を引き継ぎます。

後の『ノー・ウェイ・ホーム』『ミズ・マーベル』などでも登場します。


新型スパイダーマン・スーツ

トニーが正式なアベンジャーズ加入に合わせて用意した新型スーツ。

本作ではピーターが加入を断ったため使用しません。

後の『インフィニティ・ウォー』で アイアン・スパイダー・スーツ として本格的に使われます。


MCU的に重要なポイント

1. MCU版スパイダーマンの本格的な始まり

『シビル・ウォー』で先行登場したピーターの学校生活、友人、メイとの暮らしが初めて詳しく描かれます。

MCU版ではオリジンを再説明せず、 アベンジャーズに憧れる少年が自分のヒーロー像を見つけること を新しい出発点にしています。


2. アベンジャーズの戦いが一般社会へ残した影響

バルチャーはニューヨーク決戦の後始末から生まれたヴィランです。

アベンジャーズが地球を救った一方、戦場には危険な技術が残り、復旧事業を巡って生活を失う人もいました。

巨大なヒーロー事件を普通の市民側から見る視点が本作の特徴です。


3. ダメージ・コントロール局の本格登場

超人事件後の危険物を管理する政府組織として登場します。

S.H.I.E.L.D.崩壊後、政府が超人や異星技術へ対応していく流れの一つで、後の作品では捜査・拘束にも関わるようになります。


4. トニーとピーターの疑似親子関係

トニーはピーターを戦力としてではなく、守りながら成長させるべき少年として扱います。

この関係があるからこそ、『インフィニティ・ウォー』でピーターを失うことがトニーに大きな傷を残し、『エンドゲーム』での再会にも強い意味が生まれます。


5. マイルズ・モラレスとスコーピオンへの伏線

アーロン・デイヴィスは「甥」の存在を口にします。原作ではその甥が マイルズ・モラレス です。

またマック・ガーガンは原作で スコーピオン となる人物で、ミッドクレジットでスパイダーマンへの敵意を見せます。


6. 「8年後」表記とMCU時系列

冒頭ではニューヨーク決戦から「8年後」と表示されますが、そのまま計算すると『シビル・ウォー』直後という設定と矛盾します。

MCU全体の公式時系列では、本作の主要部分は 2016年秋 として整理されています。


作品のテーマ

『スパイダーマン:ホームカミング』の中心テーマは、

「ヒーローをヒーローにするのは、肩書や装備ではなく、自分が何を選ぶか」

です。

序盤のピーターは、アベンジャーズと一緒に戦った経験から「もっと大きなことをしなければならない」と焦り、スターク製スーツの性能にも頼ります。しかしフェリー事故で人々を危険へさらし、スーツを奪われます。

その後、誰にも命令されていない状態でトゥームスの計画を知ったピーターは、ホームカミングを捨てて自作スーツで戦うことを選びます。

一方のトゥームスも、巨大な力を持つスタークたちの下で生きる「普通の側」の人間です。しかし彼は自分の家族を守るためなら他人を犠牲にしていいと考えます。

ピーターは目の前の他人を守ることを選び、トゥームスは自分の側だけを守ることを選ぶ。この違いが二人をヒーローとヴィランへ分けています。


まとめ

『スパイダーマン:ホームカミング』は、すでに超人的な能力を持つピーター・パーカーが、初めて本当の意味でスパイダーマンになるまでを描いた作品です。

『シビル・ウォー』でアベンジャーズ級の戦いを経験したピーターは、トニーに認められる大事件を求めます。しかしバルチャーを追う焦りからフェリーで大勢の乗客を危険へさらし、スターク製スーツを没収されます。

そこで初めて、ピーターはトニーの評価や高性能装備とは無関係に「自分はなぜ戦うのか」と向き合います。

ホームメイド・スーツでトゥームスを追い、瓦礫の下から自分の力で立ち上がり、最後には敵であるトゥームスまで救出。そして念願だった正式なアベンジャーズ加入を提案されても、クイーンズで人々を守る道を選びます。

MCU全体では、ニューヨーク決戦の残骸、ダメージ・コントロール局、トニーとピーターの師弟関係、アイアン・スパイダーへつながる新型スーツなど、過去と未来をつなぐ要素も多数登場します。

世界を救うアベンジャーズに憧れていた少年が、「自分の近所にいる一人を助けることも立派なヒーローの仕事だ」と理解する。

その意味で本作は、MCU版スパイダーマンの能力の起源ではなく、 ヒーローとしての精神的なオリジンを描いた作品 です。