アベンジャーズ
The Avengers / 2012年
『アベンジャーズ』はMCU第6作にしてフェーズ1の集大成であり、 それぞれ別の戦いを続けてきたヒーローたちが、互いへの不信や価値観の違いを乗り越え、初めて「アベンジャーズ」という一つのチームになる物語 です。
MCU公開順では第6作。物語の中心は2012年で、『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『アイアンマン2』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』で準備されてきた人物・組織・アイテムが、ここで初めて一つの事件へ集約されます。
本作では、
- トニー・スターク/アイアンマン
- スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ
- ソー
- ブルース・バナー/ハルク
- ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
- クリント・バートン/ホークアイ
- ニック・フューリー
- フィル・コールソン
- ロキ
- テッセラクト
- ロキのセプター
- チタウリ
- ヘリキャリア
- アベンジャーズ計画
といった、フェーズ1全体の要素が本格的に交差します。
最大のポイントは、最初から全員が仲間だったわけではないことです。トニーは組織を信用せず、スティーブは現代社会に馴染めず、ソーはロキを家族として連れ帰ろうとし、ブルースはハルクを恐れ、ナターシャとクリントにはS.H.I.E.L.D.の任務と個人的な過去があります。
そんな彼らがロキの策略によって一度は完全に分裂しながら、フィル・コールソンの死をきっかけに「自分のためではなく、互いと世界のために戦う」方向へ変わっていきます。
フェーズ1の各主人公を集めるクロスオーバー作品であると同時に、 MCUにおける“ヒーローがチームとして戦う”という基本構造を完成させた作品 です。
詳しいあらすじ
1. ロキとチタウリ――地球侵攻計画の始動
物語は宇宙空間から始まります。
『マイティ・ソー』の最後にビフレストから宇宙へ落下した ロキ は生き延びており、正体不明の巨大な勢力と接触していました。
ロキに語りかけるのは、後に サノス の配下であることが分かる ジ・アザー です。彼らは地球にある テッセラクト を求めており、ロキへ軍勢を貸し与える代わりに、テッセラクトを引き渡す取引を行っています。
ロキが与えられた武器が、青く光る宝石を備えた セプター です。この時点では単なる強力な武器のように見えますが、後に内部には マインド・ストーン が存在していたことが明らかになります。
ロキ自身の目的は、地球を支配して王になることです。『マイティ・ソー』では父オーディンから認められたいという承認欲求が暴走しましたが、本作ではさらに進み、 「人間は自由を持つから苦しむ。自分が支配すれば秩序を与えられる」 という独裁的な思想へ変化しています。
つまり本作の戦いは、単に宇宙人が地球へ攻めてくる話ではありません。ロキという一人の敗北した王子の欲望と、宇宙のさらに巨大な勢力の思惑が結びついたことで始まります。

2. S.H.I.E.L.D.によるテッセラクト研究
地球では、 S.H.I.E.L.D. がテッセラクトの研究を進めていました。
第二次世界大戦でレッド・スカルが兵器へ利用し、その後ハワード・スタークが海底から回収したテッセラクトは、長い年月を経てS.H.I.E.L.D.の管理下へ移っています。
研究施設では、『マイティ・ソー』でジェーン・フォスターと研究していた エリック・セルヴィグ博士 が中心となり、テッセラクトから安定してエネルギーを引き出す方法を研究していました。
施設の警備責任者として配置されているのが クリント・バートン/ホークアイ です。
S.H.I.E.L.D.長官 ニック・フューリー は、テッセラクトが突然自発的に活動を始めたことから異常を察知します。本来こちら側から装置を起動するはずのものが、まるで“向こう側”から扉を開けようとしているかのように動き始めたのです。
S.H.I.E.L.D.はテッセラクトを無限に近いエネルギー源として研究していましたが、その物体が 地球と宇宙をつなぐ入口にもなり得る ことを、まだ完全には理解していませんでした。

3. ロキの出現とホークアイの洗脳
テッセラクトが暴走し、施設内にワームホールが形成されます。
その中から現れたのがロキでした。
突然の侵入者に対してフューリーたちは武器を向けますが、ロキはセプターを使って兵士たちを次々と倒します。そしてセプターの先端をクリントとセルヴィグの胸へ当て、二人の精神を支配します。
ロキの洗脳を受けた者は目が青く変化し、本人の技能や知識を保ったままロキへ忠実に従うようになります。
ここでホークアイが最初からアベンジャーズ側に立たないことが重要です。『マイティ・ソー』ではS.H.I.E.L.D.の狙撃手として短時間登場したクリントですが、本作では彼の高い戦闘能力が敵側で使われることになります。
ロキはテッセラクトを奪い、セルヴィグとクリントを連れて施設を脱出します。
直後、テッセラクトのエネルギーによって地下施設が崩壊。フューリー、 マリア・ヒル 、コールソンらは辛うじて脱出しますが、S.H.I.E.L.D.は重要なエネルギー源と研究者、そして優秀なエージェントを一度に失います。
ここでフューリーは、長年準備してきた アベンジャーズ計画 を本格的に動かすことを決断します。

4. ブラック・ウィドウ――ブルース・バナーを探す任務
S.H.I.E.L.D.が最初に動かす人物の一人が、 ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ です。
ナターシャはロシア人犯罪組織のもとへ潜入し、椅子に縛られ尋問されているように見えます。しかし実際には、あえて捕まることで相手から情報を引き出していました。
そこへコールソンから連絡が入り、クリントが敵の手に落ちたことを知らされます。ナターシャは一瞬で拘束を解き、複数の男たちを制圧して任務へ向かいます。
彼女が派遣された先はインドのコルカタ。目的は、 ブルース・バナー をアベンジャーズ計画へ協力させることです。
ブルースは『インクレディブル・ハルク』以降も人目を避けて暮らし、医師として貧しい人々を助けながらハルクを抑えています。
S.H.I.E.L.D.がブルースを必要とする理由は、戦闘力だけではありません。彼はガンマ線研究の世界的専門家であり、テッセラクトが放つ微弱なガンマ線を追跡できる数少ない科学者です。
つまりフューリーは「ハルクを戦わせる」ことを主目的としているのではなく、まず ブルース・バナーという科学者 を必要としていました。

5. ナターシャとブルース――静かな緊張
ナターシャは幼い少女を利用した連絡でブルースを廃屋へ誘い出します。
彼女は「S.H.I.E.L.D.はあなたを捕まえるつもりはない」と説明し、テッセラクト捜索への協力を求めます。
しかしブルースは簡単には信じません。
彼は突然声を荒らげ、自分が怒ったらどうするつもりなのかとナターシャへ迫ります。ナターシャは動揺しながら銃へ手を伸ばし、建物の外ではS.H.I.E.L.D.の部隊が待機しています。
するとブルースはすぐ普段の穏やかな表情へ戻ります。今の怒りは、ナターシャたちが本当に自分を信用しているのか確かめるための演技でした。
この場面から、ブルースが『インクレディブル・ハルク』の頃より大きく変わっていることが分かります。以前は心拍数が上がること自体を恐れていましたが、現在は自分の怒りとハルクの関係を以前より深く理解しています。
一方ナターシャは、普段ほとんど感情を見せない彼女がハルクの存在には本気で恐怖を抱いていることを見せます。
二人の関係は、本作の後半でハルクが暴走した際に再び重要になります。

6. 現代に取り残されたスティーブ・ロジャース
一方、約70年の眠りから目覚めた スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ は、現代社会へ適応しようとしていました。
彼は一人でサンドバッグを殴り続けています。
第二次世界大戦で世界を救ったものの、バッキーを失い、ペギーとの約束も果たせず、自分の知る人々の多くがすでにいない時代へ突然放り込まれました。
そこへフューリーが現れ、テッセラクトが奪われたことを説明します。
スティーブにとってテッセラクトは、レッド・スカルとヒドラが世界征服に利用しようとした危険な力です。70年前に終わったはずの戦いと同じ物体が、現代でも再び兵器や侵略に関わっていることになります。
フューリーはスティーブに任務への参加を求め、テッセラクトについて知っていることを問います。
スティーブは、あれはエネルギー源ではなく「もっと悪いものを作るために使われる」と警戒します。
現代社会に居場所を見つけられないスティーブですが、 誰かを守るため戦うという役割だけは時代が変わっても変わりません 。そのため彼は任務へ参加します。

7. スターク・タワーと新しいエネルギー
ニューヨークでは トニー・スターク が、スターク・タワーの大型アーク・リアクターを完成させていました。
『アイアンマン2』で新元素を完成させ、命の危機を乗り越えたトニーは、兵器企業だったスターク・インダストリーズをクリーンエネルギー企業へ変えようとしています。
スターク・タワーはその象徴で、独立したアーク・リアクターによって建物全体を長期間稼働させられるほどのエネルギーを生み出します。
ここへフィル・コールソンが現れ、ロキとテッセラクトの資料を渡します。
トニーは以前フューリーから「アベンジャーズには不適格」と評価され、正式メンバーではなくコンサルタント扱いになっていました。そのためS.H.I.E.L.D.の召集にも最初は皮肉を返します。
しかしテッセラクトが持つ巨大エネルギーと地球規模の危機を知り、協力を決めます。
ここで重要なのは、トニーが前作までと違い、完全に一人で問題を解決しようとしていないことです。まだ協調性には大きな問題がありますが、 自分より大きな危機へ他者と関わる準備 は少しずつ整っています。

8. ロキの計画――イリジウムを狙う
テッセラクトを奪ったロキは、ドイツのシュトゥットガルトへ向かいます。
一方、洗脳されたクリントは別行動で研究施設へ侵入し、テッセラクトを安定して作動させるために必要な イリジウム を奪います。
セルヴィグが作ろうとしているのは、テッセラクトのエネルギーを利用して宇宙へ大規模なポータルを開く装置です。しかし装置を安定化させるためには特殊な素材が必要で、そのためロキは自分自身を囮として利用します。
シュトゥットガルトでロキは群衆の前へ現れ、人々へひざまずくよう命令します。
彼は、人間は自由を求めているように見えて実際には支配されることを望んでいる、と語ります。
そこへ一人の老人が立ち上がり、ロキのような独裁者は過去にもいたと反論します。
ロキが老人を殺そうとした瞬間、 キャプテン・アメリカ が盾で攻撃を防ぎます。
第二次世界大戦で独裁思想と戦ったスティーブにとって、ロキの「人間は支配されるべきだ」という思想は、まさに自分が最も否定するものです。

9. キャプテン・アメリカとアイアンマン、初めての共闘
スティーブはロキと戦いますが、アスガルド人であるロキの力は人間を大きく上回っています。
そこへアイアンマンが到着します。
トニーは飛行能力とリパルサーでロキを圧倒し、二人でロキを拘束することに成功します。
ここがトニーとスティーブの初対面です。
しかし二人はすぐに意気投合するわけではありません。
スティーブは軍人として任務と規律を重視し、トニーは組織の命令より自分の判断を優先します。スティーブから見ればトニーは軽薄で自信過剰な男であり、トニーから見ればスティーブは昔の価値観を持つ真面目すぎる英雄です。
後にMCU全体で最も重要な関係の一つになる二人ですが、出会った時点では明確に相性が悪いことが描かれます。
ロキは抵抗をやめ、あえて捕まります。
この時点で彼の目的は逃げることではなく、 アベンジャーズ候補たちを一か所へ集め、内部から壊すこと でした。

10. ソーの乱入――三人のヒーローが激突
ロキを輸送するクインジェットへ雷が落ちます。
現れたのは ソー でした。
ソーはロキを連れ去り、地球側に任せずアスガルドへ連れ戻そうとします。
トニーはそれを敵対行為と判断し、アイアンマンスーツでソーを追跡。森の中でアイアンマンとソーの激しい戦闘が始まります。
ソーの雷を受けたマーク6は、通常なら損傷するどころかエネルギーを吸収し、一時的に出力が大幅に上昇します。トニーはその力を利用して反撃しますが、ソーの肉体とムジョルニアは非常に強く、双方が森を破壊するほどの戦いになります。
そこへスティーブが仲裁に入ります。
スティーブはまず話し合おうとしますが、ソーがムジョルニアを振り下ろすと、キャプテン・アメリカの ヴィブラニウム製シールド が衝撃を受け止め、強烈な衝撃波が周囲へ広がります。
この瞬間、三人は互いが単純な敵ではないことを理解し、戦闘を止めます。
フェーズ1で別々に主人公だったアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーが初めて同じ画面でぶつかる象徴的な場面ですが、重要なのは最初の接触が 共闘ではなく衝突 だという点です。

11. ヘリキャリアへ集められるヒーローたち
ロキはS.H.I.E.L.D.の巨大空中母艦 ヘリキャリア へ収容されます。
ここでトニー、スティーブ、ソー、ブルース、ナターシャ、フューリーらが一堂に会します。
ロキはハルク対策用に作られた特殊な収容室へ閉じ込められます。床が開けば、そのまま上空から落下させられる構造です。
フューリーはロキを尋問しますが、ロキはむしろS.H.I.E.L.D.側の問題を見抜いています。
彼はブルースの存在を意識し、「怪物」を空中の密閉空間へ連れてきたことを嘲笑します。
一方、ブルースとトニーは科学者同士として意気投合します。
トニーはブルースをハルクという怪物ではなく、優秀な科学者として扱い、彼の研究に強い興味を示します。ブルースも、自分を恐れず普通に接するトニーに少しずつ心を開きます。
ただしトニーは、あえてブルースへ刺激を与えるような行動も取り、スティーブはそれを危険だと考えます。
こうして一つの場所へ集まった彼らは、敵を倒す前に 互いを信用できるかどうか という問題へ直面します。

12. ナターシャ対ロキ――言葉による尋問
ナターシャは収容室のロキを一人で訪ねます。
彼女はクリントを救いたいと話し、自分には過去に多くの罪があり、その「赤い帳簿」を消すためS.H.I.E.L.D.で働いていると語ります。
ロキは彼女の弱点を突き、クリントとの関係を利用して精神的に追い詰めようとします。
しかし実際には、ナターシャ自身がロキを誘導していました。
ロキが興奮しながら「ハルクを暴れさせる」意図を口にした瞬間、ナターシャは表情を変え、必要な情報を得たことを告げて立ち去ります。
この場面はブラック・ウィドウの能力を象徴しています。
彼女にはアイアンマンスーツも超人血清も神の力もありません。しかし相手に自分が優位だと思わせ、会話から情報を引き出す諜報能力によって、ロキの計画の重要部分を見抜きます。
同時に、彼女がクリントに対して単なる同僚以上の強い信頼と恩義を持っていることも分かります。

13. S.H.I.E.L.D.への疑念――フェーズ2兵器の発覚
テッセラクトを探すため、ブルースとトニーは研究を続けます。
しかしトニーは、フューリーがすべてを説明していないと疑っていました。
彼はJ.A.R.V.I.S.を使ってS.H.I.E.L.D.の機密データへ侵入し、スティーブも独自にヘリキャリア内を調査します。
その結果、S.H.I.E.L.D.がテッセラクトのエネルギーを利用して 大量破壊兵器を開発する「フェーズ2」計画 を進めていたことが発覚します。
フューリーは、ソーが地球へ現れ、デストロイヤーとの戦闘で町が壊滅しかけたことを理由に挙げます。
「地球には、自分たちでは対抗できない存在がいると分かった。だから抑止力が必要だった」という説明です。
しかしソーから見れば、テッセラクトという宇宙の力を地球人が兵器へ変えようとしたこと自体が、他の宇宙勢力から注目される原因になります。
ここで問題になるのは、ロキだけではありません。
S.H.I.E.L.D.も「世界を守るため」という理由で危険な兵器を開発しており、ヒーローたちは自分たちを集めた組織そのものを信用できなくなります。
この疑念は後の『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で明らかになるS.H.I.E.L.D.内部の問題へもつながっていきます。

14. ロキのセプターが増幅する対立
ヘリキャリアの会議室で、ヒーローたちとフューリーは激しく言い争います。
スティーブはトニーを「自分のためにしか戦えない男」と批判し、トニーはスティーブを「血清によって作られた英雄」と挑発します。
ソーは人類がテッセラクトを兵器へ使おうとしていることを非難し、ブルースはS.H.I.E.L.D.が自分を危険な怪物として扱っていることに苛立ちます。
ナターシャもフューリーの秘密主義へ不信を抱いています。
この場面で、ロキのセプターが机の中央に置かれていることが重要です。
後にセプター内部がマインド・ストーンだったと判明することを踏まえると、全員の感情的対立が異常なほど激しくなっている背景には、セプターの精神干渉が影響していたと考えられます。
ただし対立の原因そのものは偽物ではありません。
トニーとスティーブの価値観の違い、S.H.I.E.L.D.への不信、ブルースの恐怖はすべて元から存在していました。ロキはそこへ刺激を加え、 一つのチームになる前の弱点を増幅している のです。
ロキの狙いは、力でアベンジャーズを倒すことではなく、彼ら自身に互いを壊させることでした。

15. ホークアイによるヘリキャリア襲撃
ロキの計画通り、洗脳されたクリントがヘリキャリアを攻撃します。
クリントはS.H.I.E.L.D.の内部構造や警備体制を熟知しており、外部から正確にエンジン部分へ爆発物を撃ち込みます。
巨大なヘリキャリアはバランスを崩し、墜落の危機に陥ります。
トニーとスティーブは、壊れた巨大タービンを復旧させるため協力します。
トニーはスーツでタービン内部へ入り、手作業で回転を再開させようとします。スティーブは外部のレバーを操作しながら援護します。
直前まで互いを批判していた二人ですが、危機が始まった瞬間には役割を理解して連携しています。
まだ信頼関係は完成していませんが、二人とも根本では「人を救うためなら自分が危険へ入る」人間です。
この小さな共闘が、後のニューヨーク決戦でスティーブが指揮し、トニーがその判断を信じて動く関係の前段階になります。


16. ハルクの暴走――ナターシャとソーの危機
ヘリキャリアへの攻撃の衝撃で、ブルースとナターシャは機関区へ落下します。
ブルースは負傷し、怒りと混乱によって次第にハルクへ変身し始めます。
ナターシャは必死に彼を落ち着かせようとしますが、変身は止まりません。
完全にハルクとなったブルースは、ナターシャを追ってヘリキャリア内部を暴れ回ります。
普段は冷静なナターシャも、狭い通路でハルクに追われる中では明確な恐怖を見せます。
そこへソーが現れ、ハルクを止めるため真正面から戦います。
ソーはムジョルニアを使って応戦しますが、ハルクの怪力はアスガルド人であるソーにも通用し、二人の戦闘はヘリキャリアをさらに破壊します。
最終的に戦闘機がハルクを外へ誘導し、ハルクは機体へ飛びついたままヘリキャリアから落下します。
ブルースは再び「自分がいるだけで周囲を危険にする」という現実を突きつけられます。
しかしこの暴走は、後のニューヨーク決戦で彼が自らハルクになる場面との対比になります。ここでは怒りに支配されて変身しますが、最後には 自分の意思でその力をチームのために使う ことになります。


17. ナターシャがクリントを取り戻す
ヘリキャリア内部では、ナターシャと洗脳されたクリントが直接対決します。
二人は互いの戦い方を熟知しており、銃、ナイフ、格闘を使った激しい戦闘になります。
最終的にナターシャはクリントの頭部へ強烈な打撃を与え、気絶させます。
目を覚ましたクリントは洗脳から解放されますが、自分がロキのためにS.H.I.E.L.D.の仲間を襲い、ヘリキャリアを危機へ追い込んだ記憶が残っています。
彼は強い罪悪感を抱きます。
ナターシャはそんなクリントへ、自分も過去に多くの罪を犯してきたことを踏まえ、今できることをやるしかないと示します。
この二人には、他のヒーローとは異なる種類の関係があります。
超能力や神の力ではなく、諜報員として「自分の手を汚してきた過去」を共有し、それでもより良い側へ立とうとしている人物同士です。
ロキに利用されたクリントを取り戻したことで、アベンジャーズの6人目がようやく味方側へ戻ります。

18. ロキの脱出とフィル・コールソンの死
混乱の中、ロキは収容室から脱出します。
ソーがロキを追いますが、ロキは幻影を利用してソーを逆にハルク用の収容室へ閉じ込めます。
ロキは床を開き、収容室ごとソーを上空から落下させます。
その後、ロキの前に立ちはだかったのが フィル・コールソン でした。
コールソンはS.H.I.E.L.D.がデストロイヤーの技術を参考に開発した試作兵器を持ち、ロキへ銃口を向けます。
しかしロキは幻影で背後を取り、セプターでコールソンの胸を貫きます。
致命傷を負いながらも、コールソンはロキに「君は負ける。信念がないからだ」と告げ、最後の力で兵器を発射してロキを吹き飛ばします。
コールソンは『アイアンマン』から各作品をつないできた人物でした。
派手な能力はありませんが、トニー、ソー、スティーブら異なるヒーローたちと接触し、S.H.I.E.L.D.の現場側を象徴してきた存在です。
その彼の死が、バラバラだったヒーローたちを初めて同じ方向へ向かせることになります。

19. 「アベンジャーズ」というチームが生まれる瞬間
ヘリキャリア襲撃後、フューリーはトニーとスティーブへコールソンの死を伝えます。
そしてコールソンが持っていたという、血のついたキャプテン・アメリカのヴィンテージカードを見せます。
実際にはカードはコールソンのロッカーに入っており、フューリーはヒーローたちを奮い立たせるため演出を加えていました。
フューリーはアベンジャーズ計画について、「最強の兵器を作る計画ではなく、優れた人々を集め、必要な時に一緒に戦えるか試す計画だった」と語ります。
トニーは、ロキが自分の優位を誇示したがる性格だと分析し、彼が隠れて世界を支配するのではなく、人々の前で勝利を見せつける場所を選ぶと気づきます。
そしてロキが向かった先が、ニューヨークの スターク・タワー だと突き止めます。
ここでトニーとスティーブの関係にも変化が起きます。
スティーブは以前トニーへ「自分を犠牲にできる人間ではない」と言いました。しかしコールソンの死を前にしたトニーは、冗談ではなく本気で怒り、ロキを止めるため真っ先に飛び出します。
残されたスティーブも、ナターシャとクリントへ「スーツを着ろ」と告げます。
この時点で正式な宣言はありませんが、アベンジャーズはここで初めて自分たちの意思で動き始めます。

20. スターク・タワーでロキと対峙するトニー
トニーは一足先にスターク・タワーへ戻ります。
セルヴィグは屋上にテッセラクトを利用した装置を完成させており、スターク・タワーのアーク・リアクターから必要なエネルギーを供給しています。
マーク6が戦闘で損傷していたため、トニーはいったんスーツを外し、ロキと直接会話します。
ロキは自分の軍隊を誇示し、トニーへ恐怖を与えようとします。
しかしトニーは、ロキがこれから戦う相手を一人ずつ挙げます。
アイアンマン、ソー、ハルク、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ホークアイ。
そして彼らには一つ共通点があると言います。
それが 「アベンジャーズ」 です。
まだ6人全員が同じ場所へ集まってすらいない段階で、トニーが初めて自分たちを一つのチームとして口にします。
ロキはセプターでトニーを洗脳しようとしますが、胸のアーク・リアクターに阻まれて効果がありません。
怒ったロキはトニーを窓から投げ落とします。
しかし落下するトニーを追って新型スーツ マーク7 が自動装着され、アイアンマンとして復帰。ロキへ反撃します。
直後、テッセラクトの装置が起動し、ニューヨーク上空に巨大なポータルが開きます。



21. チタウリ軍、ニューヨークへ侵攻
ポータルの向こうから、ロキが借り受けた チタウリ軍 が地球へ侵入します。
多数の兵士が飛行艇でマンハッタンへ降下し、建物や道路を無差別に攻撃します。
さらに巨大な生物型輸送兵器 リヴァイアサン まで出現し、ニューヨークは一気に戦場へ変わります。
アイアンマンは空中から迎撃しますが、敵の数が多すぎて一人では止められません。
そこへキャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ホークアイが到着し、警察と協力して市民の避難を始めます。
ソーもロキを追って参戦します。
それぞれ別々の場所から集まったヒーローたちは、初めて同じ目的―― ニューヨークの市民を守り、ポータルを閉じること ――のために戦い始めます。
しかしまだハルクだけがいません。
ブルースはヘリキャリアから落下した後、郊外の廃墟へ墜落し、老人に助けられていました。彼は自分が再び暴走したことを知りながら、今度は逃げずにニューヨークへ向かいます。


22. 「いつも怒っている」――ハルクがチームへ加わる
ブルースはニューヨークへバイクで到着します。
目の前には巨大なリヴァイアサンが接近していました。
スティーブはブルースに、今こそ怒る時だと伝えます。
するとブルースは、長年の秘密を明かします。
「僕はいつも怒ってる」
そして自分の意思でハルクへ変身し、リヴァイアサンを一撃で止めます。
ここは『インクレディブル・ハルク』から続くブルースの大きな到達点です。
以前のブルースは怒りを抑え、ハルクにならないことを目標としていました。しかし本作では、怒りを完全に消したのではなく、常に自分の中に存在するものとして受け入れています。
ヘリキャリアでは混乱によってハルク化し、味方を襲いました。一方ニューヨークでは、ブルース自身が「今ここで必要だ」と判断してハルクになります。
同じ変身でも意味がまったく違います。
ここで6人全員がついに同じ戦場へそろい、カメラが円を描くように彼らを映す場面によって、初代アベンジャーズが完成します。

23. キャプテン・アメリカが指揮するアベンジャーズ
6人が集まると、スティーブは即座に状況を整理し、それぞれへ役割を与えます。
ホークアイには高所から敵の動きを監視させ、トニーには周辺飛行を担当させます。ソーにはポータル付近で敵の進入を抑えさせ、ナターシャには地上戦を任せます。
そしてハルクへの指示は非常に短く、 「暴れろ」 というものです。
スティーブは本作で最も現代社会に不慣れな人物ですが、戦場では圧倒的な指揮能力を見せます。
これは『ザ・ファースト・アベンジャー』でハウリング・コマンドーズを率いた経験がそのまま生きているためです。
一方、トニーもスティーブの指示へ反発せず動きます。
ヘリキャリアでは互いを激しく批判していた二人が、実戦では相手の能力を理解し始めています。
アベンジャーズが強いのは、6人が同じ能力を持つからではありません。
飛行と火力のアイアンマン、指揮と防御のキャプテン・アメリカ、神としての力を持つソー、圧倒的な破壊力のハルク、諜報・近接戦のブラック・ウィドウ、遠距離攻撃と索敵のホークアイ。
まったく異なる能力を持つ者たちが、それぞれの役割を理解した時に初めてチームとして機能することが、ニューヨーク決戦で描かれます。

24. ニューヨーク決戦――それぞれの戦い
戦闘はマンハッタン全体へ広がります。
ソーはクライスラー・ビルの避雷針を利用して雷を集め、ポータルから侵入するチタウリへ大規模な攻撃を行います。
ホークアイはビルの屋上から戦場全体を観察し、特殊矢を使って敵を正確に撃破します。矢が尽きても接近戦で戦い続けます。
ナターシャはチタウリ兵から飛行艇を奪い、スターク・タワーの屋上へ向かいます。
スティーブは地上で警察へ具体的な避難経路を指示し、市民を守りながら戦います。最初は彼を信用しなかった警官たちも、実際の戦闘能力と判断を見て指示に従います。
ハルクはリヴァイアサンを次々と破壊し、ソーとも自然に連携します。ヘリキャリアでは殴り合った二人が、今度は同じ敵へ向かって戦っています。
そしてロキがハルクの前で「自分は神だ」と威圧しようとすると、ハルクは話を聞かずロキを床へ何度も叩きつけます。
王や神という肩書に執着するロキが、最も原始的な力によって完全に打ちのめされる場面です。
それぞれの戦い方は違いますが、全員が互いの穴を埋めるように動き始めています。


25. セルヴィグの正気とポータルを閉じる方法
スターク・タワーの屋上へ到達したナターシャは、テッセラクト装置を止めようとします。
そこではセルヴィグがロキの洗脳から解放され始めていました。
セルヴィグは、自分が完全に支配される前に装置へ安全装置を組み込んでいたことを思い出します。
ポータルを閉じるには、テッセラクトを覆うエネルギー障壁を突破する必要があります。
通常の武器では触れることすらできませんが、ロキのセプターなら同じ系統のエネルギーを持つため障壁を突破できると分かります。
ここで、ロキが持ち込んだセプターがロキ自身の侵略を止める鍵になります。
ナターシャはセプターを使って装置を停止する準備に入ります。
しかし地上では、さらに大きな問題が発生していました。
26. 世界安全保障理事会の核攻撃決定
ニューヨークの被害拡大を見た 世界安全保障理事会 は、マンハッタンごと核兵器で破壊する決定を下します。
フューリーは強く反対します。
アベンジャーズがまだ戦っており、民間人も多数残っているからです。
しかし理事会はS.H.I.E.L.D.の指揮系統を越えて戦闘機へ命令を出します。
フューリーは自らロケットランチャーで一機を止めますが、別の戦闘機が離陸し、核ミサイルをニューヨークへ発射します。
ここではS.H.I.E.L.D.の上層組織でさえ、危機に対して「都市ごと犠牲にして封じ込める」という判断をすることが描かれます。
対照的にアベンジャーズは、危険な状況でも市民を一人でも多く救おうと現場に残っています。
世界を守るための組織と、目の前の人々を守ろうとするヒーローの判断が必ずしも一致しないことは、後のMCUでも繰り返される重要な構図です。

27. トニー・スタークの自己犠牲
アイアンマンは接近する核ミサイルを発見します。
トニーはミサイルを背後からつかみ、自分のスーツの推進力で進路を変更します。
そしてスターク・タワー上空のポータルへ向かいます。
スティーブは無線越しにトニーの意図を理解します。
以前、スティーブはトニーへ「自分の命を犠牲にして他人を守るような男ではない」と言いました。
しかしトニーはここで、核ミサイルを宇宙へ運ぶため自らポータルへ突入します。
宇宙空間へ出ると、チタウリの母船が見えます。
トニーはミサイルを母船へ向けて放し、核爆発によって母船を破壊します。
母船と接続されていたチタウリ兵やリヴァイアサンは次々と機能を停止します。
しかしトニーのスーツも宇宙空間で停止し、意識を失います。
ここは『アイアンマン』から続くトニーの成長における大きな転換点です。
最初のトニーは自分の才能と命を自分のために使っていました。アフガニスタンでインセンから「命を無駄にするな」と託され、他人のため戦うようになりましたが、本作ではついに自分が戻れない可能性を理解したうえで、世界を救うため命を投げ出します。


28. ポータル閉鎖とハルクによる救出
トニーが宇宙へ消えたのを見たスティーブは、ナターシャへポータルを閉じるよう命じるのを一瞬ためらいます。
しかしトニーが戻ってくる可能性を信じ、ギリギリまで待ちます。
母船爆発後、意識を失ったトニーがポータルへ向かって落下します。
彼が地球側へ戻った瞬間、ナターシャがセプターで装置を停止し、ポータルが閉じます。
そのまま落下するトニーを、ハルクが空中で受け止めます。
地上へ下ろされてもトニーは動きません。
ソーたちが心配する中、ハルクが大声で叫ぶと、その衝撃でトニーが目を覚まします。
トニーは状況を理解すると、死にかけた直後にもかかわらず「みんなでシャワルマを食べに行こう」と話します。
緊張感を崩すトニーらしい反応ですが、同時に彼が生還したことを示す場面でもあります。
ニューヨークの空にはポータルが消え、チタウリ軍も停止。ロキの侵攻は失敗します。

29. ロキの敗北とアベンジャーズの解散
戦闘後、アベンジャーズはスターク・タワーでロキを確保します。
ロキはハルクに叩きのめされ、軍隊も失い、完全に敗北していました。
ソーはロキとテッセラクトをアスガルドへ持ち帰ります。
地球にとってテッセラクトは巨大なエネルギー源でしたが、同時に宇宙から侵略者を呼び込む危険な存在でもあります。そのため当面はアスガルドで管理されることになります。
戦いが終わると、アベンジャーズは正式な組織として同じ場所に残るわけではありません。
トニーはスターク・タワーの復旧へ戻り、スティーブはバイクで去り、ブルースはトニーとともに移動し、ナターシャとクリントはS.H.I.E.L.D.へ戻ります。
ソーはアスガルドへ帰還します。
それでもフューリーは心配していません。
世界安全保障理事会から「彼らをどう管理するのか」と問われても、必要になれば彼らは再び戻ってくると考えています。
アベンジャーズは命令で縛られた部隊ではありません。
一度互いを信じ、同じ危機を乗り越えたからこそ、次に世界が必要とした時も自分たちの意思で集まれるチームになったのです。

30. 戦いの後――世界がヒーローの存在を知る
ニューヨーク決戦は世界中で報道されます。
市民の反応はさまざまです。
アベンジャーズを英雄として称える人もいれば、街を破壊した危険な存在として警戒する人もいます。
ここまでのMCUでは、アイアンマンの存在こそ公表されていましたが、ソー、ハルク、キャプテン・アメリカ、宇宙人の侵略などが一般市民の目の前で同時に起きたことはありませんでした。
ニューヨーク決戦によって、地球の人々は「超人」「神」「宇宙人」「巨大怪物」が現実に存在する世界で暮らしていると知ることになります。
この事件の影響は本作だけでは終わりません。
トニーは宇宙からの侵略と死の恐怖を経験したことで、『アイアンマン3』では深刻な不安やPTSDに苦しみます。
ニューヨークに残されたチタウリの残骸は後に回収・管理され、『スパイダーマン:ホームカミング』ではエイドリアン・トゥームスたちが兵器へ転用します。
そして何より、「地球には宇宙規模の敵が存在する」という事実が明確になったことで、MCUの物語はフェーズ2以降さらに大きな規模へ進んでいきます。
ミッドクレジットシーン
ロキの侵攻失敗後、宇宙ではジ・アザーが主へ報告しています。
彼は、人類は予想以上に強く、地球へ再び挑むことは「死に恋するようなもの」だと語ります。
その言葉を聞いて振り返る人物が、 サノス です。
ここでサノスがMCUへ初登場します。
本作のロキとチタウリは独立して地球を侵略していたのではなく、背後にはさらに巨大な存在がいたことが明かされます。
公開当時は正体を知らない観客も多い短い場面でしたが、後のMCUを踏まえると非常に重要です。
サノスはロキへチタウリ軍とセプターを与え、テッセラクトを回収させようとしていました。つまり『アベンジャーズ』の時点で、後のインフィニティ・サーガ最大の敵が、すでに地球とインフィニティ・ストーンへ関心を向けていたことになります。

ポストクレジットシーン
ニューヨーク決戦後、6人のアベンジャーズは、戦闘で壊れた店内に座って無言で シャワルマ を食べています。
トニーが戦闘中に言っていた店へ本当に行ったことを示す場面です。
物語上の大きな伏線はありませんが、世界を救った直後のヒーローたちが疲れ切って食事をしているだけという、アベンジャーズらしいユーモアのある締めになっています。
また、「世界を救う神や超人」であっても、戦いが終われば同じテーブルで食事をする仲間になったことを象徴する場面として見ることもできます。

主要キャラクターまとめ


トニー・スターク / アイアンマン
『アイアンマン』『アイアンマン2』から続く中心人物の一人。
スターク・タワーのアーク・リアクターを完成させ、兵器企業からクリーンエネルギー企業へ進もうとしています。
本作序盤では相変わらず自信過剰で、S.H.I.E.L.D.を信用せず、スティーブとも激しく衝突します。ナターシャから以前「チームには不向き」と評価された通り、他人の指示へ従うことを嫌います。
しかし危機の中ではスティーブとタービンを修理し、ニューヨークでは彼の指揮を受け入れます。
そして最大の成長が、核ミサイルを抱えてポータルへ突入する場面です。
スティーブから「自分を犠牲にできない」と言われたトニーが、実際にはチームの中で最も大きな自己犠牲を選びます。
この宇宙空間での経験は『アイアンマン3』のPTSDへ、さらに「次の宇宙からの脅威に備えなければならない」という恐怖は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でウルトロン開発へ向かう原因の一つになります。


スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ
第二次世界大戦から約70年後の世界へ目覚めたスーパーソルジャー。
本作では、敵と戦うこと以上に「現代に自分の居場所を作れるか」という問題を抱えています。
価値観の違うトニーとは最初から衝突し、S.H.I.E.L.D.がテッセラクト兵器を開発していたことにも強い不信を抱きます。
しかしニューヨーク決戦では、軍人としての経験と判断力を発揮して自然にチーム全体の指揮を取ります。
キャプテン・アメリカの強みは超人的な身体能力だけではなく、混乱した戦場で状況を整理し、それぞれの能力を最大限に活かすリーダーシップにあります。
本作でトニーとの対立と信頼の両方が始まり、この関係は『エイジ・オブ・ウルトロン』を経て『シビル・ウォー』で決定的な衝突へ発展します。

ソー
アスガルドの王子で、ロキの兄。
本作では地球を守るヒーローである一方、ロキを単なる敵ではなく家族として扱います。
ロキが地球で大量の人間を殺し、侵略を進めていても、ソーには「弟を連れ戻したい」という感情が残っています。
そのため最初はS.H.I.E.L.D.の任務よりロキの身柄を優先し、アイアンマンたちと衝突します。
しかしニューヨーク決戦では完全に地球側へ立ち、チタウリと戦います。
『マイティ・ソー』で地球とジェーンを大切な存在として認識した経験があるため、ミッドガルドを守ることはソーにとって他人の世界を守ることではありません。
戦後はロキとテッセラクトをアスガルドへ持ち帰り、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』へつながります。


ブルース・バナー / ハルク
ガンマ線の事故によってハルクへ変身する科学者。
本作ではエドワード・ノートンからマーク・ラファロへ俳優が交代していますが、『インクレディブル・ハルク』と同一人物です。
S.H.I.E.L.D.からはテッセラクトのガンマ線追跡のために招かれ、トニーとは科学者同士として強い相性を見せます。
ヘリキャリアでは混乱によってハルクが暴走し、ソーやナターシャを危険にさらします。しかし終盤では「自分はいつも怒っている」と明かし、自らハルクへ変身します。
これは、ハルクを消そうとしていた『インクレディブル・ハルク』からさらに進み、 怒りとハルクを自分の一部として受け入れた ことを示します。
ニューヨークではチーム最大級の戦力となり、リヴァイアサンを一撃で止め、ロキを圧倒します。

ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ
S.H.I.E.L.D.の精鋭エージェント。
『アイアンマン2』ではトニーを監視する側でしたが、本作ではアベンジャーズの主要メンバーとして本格的に描かれます。
彼女の強みは格闘能力だけではなく、相手の心理を読み、情報を引き出す諜報能力です。ロキとの会話では、逆に自分が弱い立場に見せかけて彼の計画を聞き出します。
またクリントへの強い恩義があり、洗脳された彼を自ら取り戻します。
ナターシャは自分の過去を「赤い帳簿」と表現し、それを少しでも清算するためS.H.I.E.L.D.で戦っています。
後の『ウィンター・ソルジャー』『エイジ・オブ・ウルトロン』『ブラック・ウィドウ』では、彼女の過去や「家族」「贖罪」というテーマがさらに掘り下げられます。

クリント・バートン / ホークアイ
S.H.I.E.L.D.の弓使いで、優秀な狙撃手・エージェント。
本作序盤でロキに洗脳され、多くの時間を敵側として行動します。
そのため他のメンバーよりチーム加入が遅くなりますが、洗脳解除後はすぐに戦場へ戻ります。
クリントの強みは、特殊能力を持たない人間でありながら、戦場全体を見渡して正確な攻撃を行えることです。ニューヨーク決戦では高所から敵の動きを監視し、スティーブの指示に応じて仲間を支援します。
またナターシャとは深い信頼関係があり、彼女をS.H.I.E.L.D.側へ引き入れた過去も後の作品で明かされます。
本作では家庭について描かれませんが、『エイジ・オブ・ウルトロン』以降、アベンジャーズの中で最も普通の生活を持つ人物であることが重要になります。

ロキ
本作のメインヴィラン。
『マイティ・ソー』で宇宙へ落下した後、サノス側の勢力と接触し、チタウリ軍とセプターを与えられています。
目的は地球を征服し、自分が王として君臨することです。
ロキは強力な魔術や戦闘能力を持ちますが、本作で最も危険なのは人間の弱点を見抜く能力です。
クリントとセルヴィグを洗脳し、ナターシャを言葉で傷つけようとし、ヘリキャリアではヒーローたちの不信を利用して内部崩壊を狙います。
一方で、他人を支配することへ執着するのは、自分自身が王として認められなかった劣等感の裏返しでもあります。
ニューヨークでは最終的にハルクへ一方的に叩きのめされ、侵攻は失敗。ソーによってアスガルドへ連れ戻されます。
その後『ダーク・ワールド』『ラグナロク』『インフィニティ・ウォー』へ続き、さらに別時間軸のロキがドラマ『ロキ』の中心人物となります。

ニック・フューリー
S.H.I.E.L.D.長官で、アベンジャーズ計画を進めてきた人物。
『アイアンマン』のポストクレジットでトニーへ計画を語ってから、各作品のヒーローをつなぐ役割を担ってきました。
本作ではついに計画を実行し、個性も能力もまったく違う人物たちを一か所へ集めます。
ただしフューリーは完全な善人として描かれているわけではありません。テッセラクト兵器の開発を隠し、コールソンの死後にはカードを利用してヒーローたちの感情を動かします。
目的のためなら情報操作も行う人物ですが、世界安全保障理事会の核攻撃には反対し、最後までアベンジャーズを信じます。
「彼らを管理する」のではなく、「必要な時に彼ら自身が戻ってくると信じる」という考えが、アベンジャーズというチームの性質を決めています。

フィル・コールソン
S.H.I.E.L.D.エージェントで、フェーズ1の各作品をつないできた人物。
『アイアンマン』でトニーと接触し、『アイアンマン2』から『マイティ・ソー』へ移動し、本作ではアベンジャーズ計画の現場担当として動きます。
キャプテン・アメリカの熱心なファンでもあり、スティーブへヴィンテージカードへのサインを頼もうとしていました。
ロキによって致命傷を負いますが、最後まで抵抗し、「君は負ける」と言い切ります。
本作においてコールソンの死は、バラバラだったヒーローたちを団結させる最大のきっかけです。
映画本編だけを見るとここで死亡した扱いですが、その後ドラマ『エージェント・オブ・シールド』では極秘計画によって蘇生した物語が描かれます。

エリック・セルヴィグ
『マイティ・ソー』から続いて登場する天体物理学者。
S.H.I.E.L.D.のもとでテッセラクト研究を進めますが、ロキに洗脳され、ポータル装置を完成させてしまいます。
ただし完全に支配される中でも、無意識に装置へ停止方法を組み込んでいました。
最終的にはナターシャへセプターを使う方法を伝え、ポータル閉鎖へ貢献します。
テッセラクト、アスガルド、地球の科学をつなぐ研究者としてフェーズ1で重要な役割を持つ人物です。

マリア・ヒル
S.H.I.E.L.D.の高官で、フューリーの側近。
本作がMCU初登場です。
冒頭の研究施設崩壊からヘリキャリア攻撃まで現場で指揮を執り、フューリーへ状況を報告します。
彼の命令に従いながらも、コールソンのカードを使った演出などには冷静に疑問を持つ立場です。
後の『ウィンター・ソルジャー』『エイジ・オブ・ウルトロン』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』などでも、フューリーやアベンジャーズを支える人物として登場します。
重要アイテム・組織
テッセラクト
青く光る立方体で、フェーズ1全体をつなぐ最重要アイテムの一つ。
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』ではヒドラが超兵器の動力源として利用し、戦後ハワード・スタークが回収しました。
本作ではS.H.I.E.L.D.がエネルギー研究を行っていますが、ロキに奪われ、チタウリ軍を地球へ呼ぶポータルの動力源にされます。
後に内部には スペース・ストーン が存在していることが明らかになります。
つまり本作のニューヨーク決戦は、インフィニティ・ストーンを巡る戦いの非常に早い段階でもあります。
ロキのセプター
ロキがサノス側の勢力から与えられた杖。
人間の精神を支配する能力を持ち、クリントやセルヴィグを洗脳します。
またヘリキャリアでは、近くにいる者たちの感情や対立を増幅しているように描かれます。
本作の終盤ではナターシャがセプターを使ってテッセラクト装置の障壁を突破し、ポータルを閉じます。
後に内部には マインド・ストーン が存在すると判明し、『エイジ・オブ・ウルトロン』ではヒドラの実験、ワンダとピエトロの能力、ウルトロン、ヴィジョン誕生へつながります。
アベンジャーズ計画
ニック・フューリーが進めてきた、地球規模の脅威へ対抗するため優れた能力を持つ人物を集める構想です。
『アイアンマン』のポストクレジットで初めて名前が出され、『アイアンマン2』ではトニーが候補者として評価されます。
本作で初めて実戦投入されますが、S.H.I.E.L.D.の命令だけで成立したチームではありません。
最終的に6人はコールソンの死とニューヨーク侵攻を受け、自分たちの意思で集まり戦います。
P.E.G.A.S.U.S.計画
S.H.I.E.L.D.がテッセラクトのエネルギー研究を進めていた計画・研究施設です。
本作冒頭でセルヴィグが研究を行い、クリントが警備に就いていた地下施設もこの計画に関わる拠点です。
S.H.I.E.L.D.はテッセラクトを新しいエネルギー源として研究していましたが、その裏ではフェーズ2兵器への転用も進めていました。
テッセラクト研究が「平和利用」と「軍事利用」の両方を含んでいたことが、ヒーローたちのS.H.I.E.L.D.への不信につながります。
S.H.I.E.L.D.
地球規模の安全保障を担う国際的な諜報組織。
本作ではアベンジャーズを集める側である一方、テッセラクトを利用した大量破壊兵器開発を隠していたことも明らかになります。
「世界を守る組織」でありながら、その方法が常に正しいとは限らないという疑念が本格的に描かれ始めます。
この不信は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で、S.H.I.E.L.D.内部へヒドラが長年潜伏していた事実へつながります。
ヘリキャリア
S.H.I.E.L.D.が運用する巨大空中母艦。
複数の大型タービンによって飛行し、ステルス機能まで備えています。
本作中盤の主要舞台で、ヒーローたちが初めて一堂に会する場所です。
同時にロキの策略によって内部崩壊が起き、ハルクとソーの戦闘、ホークアイの襲撃、コールソンの死などが集中して発生します。
「アベンジャーズが一度完全に失敗する場所」として物語上重要です。
スターク・タワー
トニーがニューヨークに建設した高層ビル。
大型アーク・リアクターによって自家発電し、クリーンエネルギーの未来を示す象徴として作られました。
しかしロキはその巨大なエネルギーを利用し、屋上にテッセラクト装置を設置します。
ニューヨーク決戦で大きく損傷しますが、最後には「STARK」の文字が壊れ、 Aの文字だけが残る 演出があります。
その後ビルは アベンジャーズ・タワー として改装され、『エイジ・オブ・ウルトロン』などでチームの拠点になります。
チタウリ
ロキが地球侵攻のため借り受けた宇宙軍勢。
個々の兵士、飛行艇、巨大なリヴァイアサンなどで構成されています。
母船と兵士がネットワークのように接続されており、トニーが母船を核兵器で破壊すると地球側の兵士も機能停止します。
ニューヨーク決戦後、残骸や兵器は地球に大量に残ります。
その後『スパイダーマン:ホームカミング』では、回収されたチタウリ技術が闇市場の高性能兵器へ転用され、戦後処理そのものが新しい問題を生み出していることが描かれます。
リヴァイアサン
チタウリ軍が使用する巨大な生物型輸送・攻撃兵器。
装甲が厚く、通常兵器では簡単に止められません。
ニューヨークへ到着したブルースがハルクへ変身し、一撃で進行を止める場面によって、ハルクの圧倒的なパワーを示す存在になります。
マーク7
トニーがニューヨーク決戦で使用する新型アイアンマンスーツ。
ブレスレット型の認証装置と連動し、トニーの身体を追跡しながら空中で自動装着できます。
ロキにスターク・タワーから投げ落とされたトニーを救い、そのままニューヨーク決戦へ投入されます。
マーク6よりも装備が充実し、大量のチタウリを相手に長時間戦える性能を持ちます。
フェーズ2兵器
S.H.I.E.L.D.がテッセラクトのエネルギーを利用して開発していた兵器群。
フューリーは、ソーやデストロイヤーのような地球外の強大な存在が現れたことで、地球側にも対抗手段が必要になったと説明します。
しかし秘密裏に兵器開発していたことがアベンジャーズ候補たちの不信を招き、ロキに利用されます。
「危険な敵へ備えるため、さらに危険な兵器を作る」という問題は、後のウルトロン開発やソコヴィア協定にも通じるMCUの繰り返しのテーマです。
世界安全保障理事会
S.H.I.E.L.D.を監督する国際的な上層組織。
ニューヨーク侵攻を止めるため、民間人やアベンジャーズが残っているにもかかわらずマンハッタンへの核攻撃を命令します。
フューリーとは同じ「世界を守る側」でも、許容できる犠牲の大きさが異なります。
後の『ウィンター・ソルジャー』でもS.H.I.E.L.D.上層部と世界安全保障を巡る問題が重要になります。
MCU的に重要なポイント
1. 初代アベンジャーズ6人が初めて集結する
本作最大の意味は、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイの6人が初めて一つのチームとして戦うことです。
それまでの5作品は、この瞬間のための準備でもありました。
ただ集められただけではチームになれず、対立、失敗、コールソンの死を経て初めて互いを信じるようになる点が重要です。
2. トニーとスティーブの関係が始まる
本作でトニーとスティーブは初対面から激しく衝突します。
スティーブはトニーを自己中心的と見なし、トニーはスティーブを時代遅れの優等生のように扱います。
しかし戦場では互いの能力を認め、ニューヨークではトニーがスティーブの指揮へ従います。
この「対立しながらも互いを認める」関係が、『エイジ・オブ・ウルトロン』を経て『シビル・ウォー』の決裂へ続き、最終的には『エンドゲーム』で再び信頼を取り戻す長い物語になります。
3. ブルースがハルクとの共存を大きく進める
『インクレディブル・ハルク』では、ブルースはハルクを治すことから、少しずつ自分の意思で使う方向へ進みました。
本作の「僕はいつも怒ってる」という場面では、怒りを消すのではなく常に自分の中にあるものとして受け入れています。
自分の意思でハルクへ変身し、仲間と同じ敵を攻撃できることは、ブルースとハルクの関係における大きな進展です。
4. ニューヨーク決戦がMCU世界を変える
チタウリ侵攻は、一般市民の前で起きた初の大規模な宇宙人侵略です。
この事件以降、地球社会は超人や宇宙人の存在を前提に変化します。
トニーのPTSD、チタウリ技術の流出、アベンジャーズへの賛否、政府による超人管理など、後の多くの物語の土台になります。
『スパイダーマン:ホームカミング』では戦闘後の残骸回収が物語の出発点となり、『エンドゲーム』では2012年のニューヨーク決戦そのものがタイムトラベル先として再登場します。
5. ロキのセプター=マインド・ストーン
本作ではセプターの正体は説明されません。
しかし後に、その内部にマインド・ストーンがあることが判明します。
セプターは戦後S.H.I.E.L.D.側へ渡り、その後ヒドラの手に渡ります。
『エイジ・オブ・ウルトロン』ではワンダとピエトロの強化、ウルトロンの誕生、ヴィジョンの誕生へつながり、最終的にはサノスが求める6つのインフィニティ・ストーンの一つとして重要になります。
6. テッセラクト=スペース・ストーン
フェーズ1で複数作品をつないできたテッセラクトは、後にスペース・ストーンを収める容器だと判明します。
本作では宇宙間ポータルを開く能力が本格的に描かれ、サノス側がこれを狙っていたことも示されます。
『インフィニティ・ウォー』冒頭ではサノスがついにテッセラクトを手に入れ、スペース・ストーンを回収します。
7. サノスが初登場する
ミッドクレジットでサノスが初めて姿を見せます。
この短い登場から、MCUはフェーズ1の「アベンジャーズ結成」を終え、さらに大きなインフィニティ・サーガへ進み始めます。
ロキの地球侵攻が失敗しても、その背後にいる存在はまだ何も失っていません。
サノスという脅威はその後長い時間をかけて近づき、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』でアベンジャーズ最大の敵となります。
8. スターク・タワーからアベンジャーズ・タワーへ
ニューヨーク決戦で損傷したスターク・タワーは、その後アベンジャーズの拠点へ改装されます。
本作ラストで「STARK」の文字のうち「A」だけが残る演出は、トニー個人の象徴だった建物がチームの象徴へ変わることを示しています。
『エイジ・オブ・ウルトロン』では実際にアベンジャーズ・タワーとして運用されています。
9. S.H.I.E.L.D.への不信が明確になる
本作ではS.H.I.E.L.D.がヒーローを集める一方、テッセラクト兵器の開発を隠しています。
スティーブとトニーは独自に調査し、フューリーがすべてを話していないことを突き止めます。
この「安全保障組織を無条件には信用できない」という問題は、『ウィンター・ソルジャー』でS.H.I.E.L.D.内部のヒドラ潜伏が明らかになる流れへつながります。
10. トニーが宇宙の脅威を知る
トニーは核ミサイルを運ぶためポータルの向こうへ入り、宇宙空間に巨大なチタウリ母船を目撃します。
この経験によって、地球の外には自分の技術をはるかに超える規模の敵がいることを身体で理解します。
『アイアンマン3』では死の恐怖がPTSDとして残り、『エイジ・オブ・ウルトロン』では「次の侵略へ備える」という焦りから、地球を守る自動防衛システムとしてウルトロンを生み出そうとします。
本作の勝利は、トニーにとって同時に新しい恐怖の始まりでもあります。
作品のテーマ
『アベンジャーズ』の中心テーマは、 「違う人間同士が、互いを信じて一つの目的のために戦えるか」 です。
本作の6人は、能力だけでなく価値観も立場もまったく違います。
トニーは個人の判断を信じ、スティーブは規律と責任を重視します。ソーはアスガルドの王子で、ブルースは自分の力を恐れています。ナターシャとクリントは過去の罪と任務を背負う諜報員です。
だからS.H.I.E.L.D.が同じ場所へ連れてきただけではチームになりません。
ロキはその違いを正確に見抜き、セプターと心理戦で互いへの不信を増幅します。ヘリキャリアでは実際にチームは崩壊し、ハルクは暴走し、クリントは敵側にいて、ソーも落下し、コールソンまで死亡します。
一度完全に失敗するからこそ、その後のニューヨーク決戦に意味があります。
彼らはフューリーに命令されたから再集結したのではありません。
コールソンを失い、ロキを止めなければさらに多くの人が死ぬと理解し、それぞれが自分の意思で同じ場所へ向かいます。
そして戦場では、自分一人の強さを証明するのではなく、他のメンバーの強さを利用します。
スティーブが指揮し、トニーが空を守り、ソーが敵の流入を抑え、ハルクが巨大兵器を破壊し、ナターシャがポータルを閉じ、クリントが戦場全体を監視する。
つまり本作で描かれる「チーム」とは、同じ考えの者が集まることではありません。
違いを残したまま、それでも相手を信じ、自分にできないことを任せることです。
さらにロキとの対比も重要です。
ロキは他人を支配することで一つにまとめようとします。アベンジャーズは自由な意思を持ったまま協力します。
ロキが作るのは服従による軍隊であり、フューリーが目指したのは信頼によるチームです。
だから最終的に勝つのは、最初から統率されていたチタウリ軍ではなく、最後まで口論しながらも互いを選んだアベンジャーズなのです。
まとめ
『アベンジャーズ』は、フェーズ1で別々に描かれてきたヒーローたちが初めて集まり、ロキとチタウリによる地球侵攻へ立ち向かう物語です。
しかし本作の本当の中心は、単なるヒーロー集合ではありません。
トニーとスティーブは価値観が合わず、ソーはロキを家族として扱い、ブルースはハルクという自分の力を恐れ、ナターシャは洗脳されたクリントを救おうとします。さらにS.H.I.E.L.D.がテッセラクトを兵器へ利用していたことまで発覚し、ロキの策略によって一度は完全にバラバラになります。
その崩壊の中でフィル・コールソンが死亡し、ヒーローたちは初めて「命令されたから」ではなく「自分たちが止めなければならないから」という理由で同じ場所へ向かいます。
ニューヨーク決戦では、スティーブが指揮を執り、トニーが空を守り、ソーとハルクが圧倒的な戦力となり、ナターシャがポータルを閉じ、クリントが遠距離から戦場を支えます。
そして最後には、かつて自己中心的だったトニーが核ミサイルを抱えて宇宙へ飛び込み、自分の命と引き換えに街を救おうとします。
フェーズ1で描かれてきた各主人公の成長が、一つの戦いの中でつながった瞬間です。
MCU全体では、ニューヨーク決戦が以降の地球社会を大きく変え、トニーのPTSD、チタウリ技術の流出、S.H.I.E.L.D.への不信、アベンジャーズ・タワー、ロキのセプター=マインド・ストーン、テッセラクト=スペース・ストーンなど、多数の物語へ波及します。
さらにミッドクレジットではサノスが初登場し、フェーズ1で完成したアベンジャーズの物語が、そのままインフィニティ・サーガというさらに巨大な戦いへ接続されます。
『アベンジャーズ』は、 「ヒーローが集まった映画」ではなく、「互いを信用できなかった6人が、失敗と犠牲を経て本当のチームになるまでを描いた作品」 です。
そしてこの一作によって、MCUは個別のヒーローシリーズから、複数作品が一つの歴史を共有する巨大なユニバースへ完全に変わりました。

